「Re:保護された FPD から画像データを抽出する。」の補足説明です。
インターネット上 PDF の画像データは、「ペイント系」と「ドロー系」の 2 種類のデータがある。メーカの技術資料の多くはドロー系を使って作画しているが「文書に関する制限」がかかっている。このため、画像データをコピーすることはできない。Inkscape (フリーソフト)は、ドロー系画像を抽出することができるので、その方法を紹介します。

はじめに

(1) ペイント系画像データの例
Windows 画面の規格で、画像データは 96dpi( 1 インチあたり 96 × 96 のドットの点画)。
Windows のパソコン画面上の画像を「キャプチャ」などを使ってコピーすると画像データの解像度は 96dpi になる。
画像処理ソフトを使って解像度を小さくする(粗く)することはできるが、解像度を大きく(高精細化)することはできない。

【資料出典】三菱電機「三菱汎用ACサーボ MELSERVO-J3」 p9
PLC サンプル
← 画面を拡大すると画素の粗さが目立つ。

(2) 解像度の話

メディア 解像度
Windows 画面 96dpi
Microsoft Word に添付される画像デー 220dpi(自動的に変換される)
商業印刷物(ポスター) 約 350dpi
レーザプリンタ 600dpi

Microsoft 社の Visio で作成した画像データを Word に直接貼り付けることができるが、せっかくのドロー系のデータも、220dpi の解像度になる。
( 220dpi の解像度は、素人的にはその粗さは気にならない。)

【余談】
Microsoft の Word は文書を読ませるためのツールで、デフォルトフォントはセリフ体の「 MS 明朝」(10.5pt)が使われている。
セリフ体フォントは視認性の高い文字で、学校の教科書や新聞に使われている。

一方、Excel は PC 画面上の表データに使われる半角英数字が見やすように「 MSP ゴシック」(11pt)が使われている。
Word の段落設定が難しいからといって Excel で技術文書を書く強者もいるが、客先に失礼だと思います。
また、Word を編集するときに MS 明朝体は視認性が悪いので「メイリオ」などで資料作成し、フォント変換を忘れてそのまま客先に出す強者もいる。

ペイント系の画像を貼り付けた仕様書やドキュメントは、いかにもコピー&ペーストで作成し安っぽく見える。
客先から一円でも多く金を稼ぎたいのであれば、資料作作成にも気遣いしたいと考えている。

(3) ドロー系画像データの例
icon 高精細画像例(PDF)の例 … 画像を拡大しても画像は荒くなりません。【資料出典】三菱電機「三菱汎用ACサーボ MELSERVO-J3」

PDF データから線画を抽出する操作方法

ドロー系の作画ソフトの Illustrator があるが、プロのイラストレータが使用する「デファクトスタンダード」で機能が多すぎます。
Microsoft 社の Visio もあるが価格が高い。

フリーソフトの Inkscape は、電気設備の仕様書やドキュメント作成にちょうどよい機能で CAD 図も描けます。
また、PDF化された CAD データを読み取って DXF 変換できるので CAD データの修正もできます。Inkscape はある意味では、Visio を凌駕しているともいえます。同じくフリーソフトで LibreOffice の Draw があるが、Inkscape と比較にならないくらい使えない。(所詮、プレゼン用図形程度)

保護された画像データを抽出するのは「コンプライアンス」の問題があるので、自己責任で行ってください。ここでは、あくまでも Inkscape の機能説明の目的です。

(1) Inkscape をインストールする。 … 公式サイトからインストールしてください。
icon URL: https://inkscape.org/ja/download/windows/

インストールする前にお読みください。

Inkscape のソフトを適当なディレクトリーに格納するとパスが通らないのか「日本語化」ができない?ようです。←よくわからない。
Inkscape インストール時に表示される標準ディレクトリーに格納することをお勧めします。

(2) Inkscape の日本語化
Inkscape を立ち上げるとメニューバーは英語で表示されます。日本語化するには、
Inkscape Portable を立ち上げる → メニューバー「Edit」 → 「Preferences」 → 「Interface」 → 「Languages」で Japanese(ja)を指定 → Inkscape を再起動する。
※ Tool の表示枠が小さく Preferences ( Shift + Ctrl + P )が隠れているので、マウスを使って表示枠を広くしてください。

(3) 線画の画像データを抽出する
Inkscape は、Illustrator で作成された画像データを読み込むことができる。(商業印刷物のドロー系画像データーは、99% Illustrator を使って書かれている。)

(4) Inkscape は、ペイント系の点画データをドロー系データに変換できる。
点画データを選択 → パス(P) → ビットマップのトレース(Shift + Alt + B)で、ドロー系線画に変更できます。(重宝な機能です。)
詳細は、インターネットで各自で調べてください。

投稿日 2017/11/26 (Sun)
更新日  
 

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