【66616】OCR の瞬時要素について … の補足説明です。
超反限時特性、強反現時特性、普通反限時特性の動作時間と電流タップの倍数との間にはある式が決まっています。
保護協調の対象が、①電線およびケーブル。②変圧器。③誘導電動機。
これら電気機器の熱特性の引用元が同じなので各社とも同じ特性曲線になっていると勝手に解釈しています。

超反限時特性

(1) 適用範囲
短絡電流が電線やケーブルに流れたときの短絡保護協調にこの特性曲線のデータをもちいます。
短絡電流が流れたときの発熱量(熱エネルギーまたは電力量)は、電流×電流×時間 … I2t :通過電流 2 乗時間積で考えます。

短絡電流を 2 秒以内に遮断できると銅線の温度上昇は起こるが、絶縁物の温度上昇は起こらないといわれています。
このため電線やケーブルの I2t 電流 2 乗時間積のデータは裸銅線で記載されています。
しかし、絶縁物の温度上昇限度を超えるような電流を流して電線やケーブルを損傷させたのでは元も子もありません。
絶縁物の温度許容限度に達する前に遮断させる必要があります。

下のグラフは、CV ケーブルの短絡容量(銅導体)を示したものです。
データは、古河電工 > 電設資材ガイド2017~2018 > 付録 > 電線・ケーブルの短絡時許容電流にあります。
(導体の温度上昇値をは書いていませんが、おそらく 230 ℃と思われます。)←現在計算プログラム確認中
矢印 URL: http://www.furukawa.co.jp/product/catalogue/pdf/densetu/pdf/8.pdf

下のグラフは、電線断面積 mm2 あたり電流 2 乗時間積( I2t )を流したときの温度特性曲線です。

CV ケーブルの温度特性
電線の熱特性

(2) データの場所
これら日本電線工業会から示された前提条件があるので、超反限時特性は各社とも同じ値になっていると解釈しています。
電線メーカの各社技術資料にある「電線ケーブルの短絡時許容電流計算式(簡略式)」の使用引用元は、電線工業会に基づくものです。
簡略データは 5 ~ 6 %程度の誤差があるので注意が必要です。

強反限時特性

(1) 適用範囲
変圧器や電動機の熱容量は大きいので過電流が流れてもすぐに焼損しないが、蓄積された熱量が基準値を超える前に過電流を遮断する必要があります。熱容量の大きな機器の短時間の過負荷電流を保護するときにこの特性曲線をもちいます。

(2) 変圧器の過負荷耐量の資料の大元の出処は、電気協同研究会:第 54 巻第 5 号です。
なので、強反限時特性の変圧器の特性曲線は各社とも同じになっていると解釈しています。
矢印 URL: http://www.aichidenki.jp/products/catalog_pdf/databook/5.pdf → 4. 過負荷運転
矢印 URL: http://www.daihen.co.jp/products/electric/faq/how/q19.html  → Q19. モールド変圧器の許容過負荷は …

(3) 誘導電動機の短時間定格
各社の電動機の短時間定格は概ね次のようになっています。資料の引用元は、日本電気学会の旧 JEC-2137:誘導機だと思われます。

電動機の容量kW 短時間定格%
5 分 15 分 30 分
0.2 ~ 0.75 150 120 110
1.5 ~ 7.5 150 130 115
1.1 ~ 37 150 140 120
投稿日 2017/12/26 (Tue)
更新日  
 

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