【66667】制御盤の重心位置について … の補足説明です。
「JEM TR-144:配電盤・制御盤の耐震設計指針」の計算式はあっていますが、計算の考え方に誤りがあります。
当該指針では盤内部品の基板(中板)の重心位置を無視して、盤一体として重心計算をしているので盤重心が盤中心線上になっています。
しかし、実際の盤では基板(中板)の質量は大きく、盤中心線から最も離れた位置にあるため、未実装の盤では盤中心線から離れた位置に重心が移動しています。

JEM TR-144 の盤重心の考方

盤中心線から各機器の重心位置の距離×部品重量を積算して、盤総重量で割って重心位置を計算します。
高さ方向の重心位置は、盤床面から各機器の重心位置の距離×部品重量を積算して、盤総重量で割って重心位置を計算ます。

部品寸法と部品重量と位置を表計算ソフトに入れて、重心計算式の書式をコーピー&ペーストすれば、手計算よりもはるかに楽に重心を求めることが
できます。

(1) JEM TR-144 の計算式
 盤中心と盤全体の重心位置との関係 … 位置

I0  I1・W1 +I2・W2 + … In・Wn
W0

 盤基礎面から盤全体の重心位置までの高さ

H0  H1・W1 +H2・W2 + … Hn・Wn
W0
G1 :重量機器を含まない盤の重心位置(著しく偏心していない場合は、箱体の中心とする。←※ここが違う。
G2 :重量機器の重心位置(著しく偏心していない場合は、機器の中心とする。)
G0 :全体の重心位置
W1 :重量機器を含まない盤の質量
W2 :重量機器の質量
W0 :盤の総質量
盤図

(2) 計算の結果 … 重心が中心線から大きくずれる原因として、

モデル盤で計算した結果、上下方向で 190mm、奥行きで 180mm 重心が移動しています。
重心移動の挿絵を見れば、盤搬送中の盤転倒事故多発の原因も納得できます。計算に使ったモデル盤では、2.8 度傾けると転倒の恐れがあるので、
盤搬入作業中は転倒防止の対策が必要になります。

投稿日 2018/01/11 (Thu)
更新日  
 

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