結論から先にいうと、熱計算は相当面倒で熱計算をせず概略、電力容量〔W〕の 2 ~ 3 倍以上の安全率を見ます。
「温度」「電気」など目に見えないものは、計算しないで経験値(概算値)あてはめて、シャンシャンで終わりです。

抵抗器の熱設計

(1) 危険電圧の表示
小さな抵抗器に 200V の電圧がかかっているので非常に危険です。リード線の絶縁と「危険表示」は必須ですね。
リード線は温度が高いので、ワニスガラスクロス系(耐熱 180 ℃)のチューブで保護します。
リード線保護

(2) 金属皮膜抵抗器の電力密度
発熱体の温度が高くても表面積が広ければ、発熱体の表面温度が低くなります。例えば、人間の 1 日の消費カロリーは約 2400kcal。電力に換算すると 116W になります。人間の表面積は大きいので体温は 36 ℃ですが、白熱灯の 110W タイプは点灯時は素手で触れないくらい熱くなります。
白人系のお姉さんの体温は暖かく、黒人系のお姉さんの体温が冷たく感じるのは、肌の放射率が関係しています。(カミさん、ごめんなさい!)

発熱体の表面温度は、その表面積に大きく依存しています。39k Ωの抵抗器を 200V の電源に接続した場合の電力は 1.02W です。
下記の表は、1.02W の電力を金属皮膜抵抗器の各 W 数の抵抗器に接続したときの電力密度です。

【金属皮膜抵抗器の電力密度】
電力
〔W〕
パナソニック〔mm〕 KOA〔mm〕 赤羽〔mm〕 平均〔mm〕 表面積
〔cm2
1.02W の電力
密度〔W/cm2
L:
長さ
D:
直径
L:
長さ
D:
直径
L:
長さ
D:
直径
L:
長さ
D:
直径
L:長さ
〔cm〕
D:直径
〔cm〕
1 9.0 2.8 9.0 3.0 9.0 3.0 9.0 2.9 0.900 0.293 0.897 1.14
2 12.0 4.0 12.0 4.0 11.0 4.0 11.7 4.0 1.167 0.400 1.591 0.64
3 15.0 5.5 15.5 6.0 15.0 5.5 15.2 5.7 1.517 0.567 2.951 0.35
5 24.0 8.0 24.5 9.0 24.3 8.5 2.425 0.850 7.039 0.14
電力密度
電力容量
〔W〕
温度上昇
〔deg〕
1 330
3 170
5 70
5W の金属皮膜抵抗器電力密度は、0.14〔W/cm2〕。温度上昇は 70deg あります。盤内の温度 40 ℃を加算すると、
110 ℃になります。39kΩの抵抗器を 200V の電源に接続した場合、5W 以上が必要と思います。
… やっぱり、200V は大きな電力容量が必要。

(3) 抵抗器の取付方向 … 縦向きの方が、若干冷却効果が大きい。

温度差〔deg〕= $ \Bigl( \displaystyle \frac{発熱量〔W〕}{伝熱面積〔m^2〕 \times 2.51 \times 係数 C} \Bigr)^0.8 \times 長さ L〔m〕^2 $
係数
というように、抵抗 1 つを取り付けるのにめんどくさい計算が必要で、自分で計算するよりもメーカの営業担当者に計算をお願いするほうが楽ですね。メーカ営業担当者いわく、「エッ抵抗 1 個?。お答えはいつできるか保証できませんが … 」

投稿日 2018/03/27 (Tue)
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