(1) JIS B9960-1(IEC 60204-1) 機械類の安全性-機械の電気装置-第 1 部:一般要求事項より引用
この規格は装置の共通規格で、機械類の安全規格の上位に位置する規格です。この規格によると 3.22:等電位ボンディングとは、導電性部分間の電気的接続であって、これによって等電位を達成することを意図とするものとあります。等電位ボンディングの施工は 2 種類あります。
(2) 等電位ボンディングの施工例
電技解釈第 18 条では、建築物の鉄骨に保護ボンディングを施工した場合、鉄骨の接地抵抗値は問わない。
JIS B9960-1(IEC 60204-1)によれば、建築構造物の接地の有無に関係なく、電気工作物が PE 接地線と同電位で接続していれば「保護(等電位)
ボンディング」と呼んでも問題はないと解釈できます。(ケージ内の装置は、ケージに接地すれば大地接地と同じ。)
(3) 外部の保護接地システムを接続する端子 … JIS B9960-1 5.2 外部の保護接地システムを接続する端子からの抜粋
電源の接地系統に応じて、機械を外部の保護接地システムまたは、外部保護導体に接続するための端子を入力電源ごとに電圧相導体用端子の近くに設けなければならない。端子サイズは、表 1 に示す断面積をもつ外部の保護用銅導体を接続できるものとしなければならない。
銅以外の外部保護接地導体を用いる場合には、その接地導体に適する寸法の端子を選ばなければならない( 8.2.2 参照)。
〔注記〕外部保護導体接続用端子( PE 端子)のサイズは、次の手順で決めることになる。
- 表 1 によって、電源の相導体断面積から外部保護導体の断面積を決める。
- 決まった外部保護導体の断面積から、この保護導体を接続する PE 端子のサイズを決める。
装置に給電する電源の 相導体の断面積 S〔mm2〕 |
外部保護導体(銅)の最小断面積 Sp 〔mm2〕 (左欄の S に対応して Sp を決める。) |
---|---|
S ≦ 16 | S |
16 < S ≦ 35 | 16 |
35 < S | S/2 |
(4) 機能ボンディングおよび保護ボンディングの施工
JIS B9960-1 機械類の安全性-機械の電気装置-第 1 部:一般要求事項は、機能ボンディングおよび保護ボンディングの具体的処理について言及はありません。等電位イコール、クリーン接地ではなさそうです。実務的には、計装用などの機能ボンディングと保護ボンディングは区別して施工します。
実際、大規模な計装システムの DCS などの機能接地は、ノイズ垂れ流しのパワーエレクトロニクス盤の保護接地と明確に区別して施工します。
しかし、PLC 制御のアナログ回路やカウンタ回路の機能接地は、パワーエレクトロニクス盤の保護接地と共用します。規模の大小に関係なく、ノイズによる誤動作のダメージの大きさによって接地方法を決めています。
(5) 接地線のインピーダンスについて
保護接地であれば、配線のリアクタンス分は無視できるが、高周波成分を含んだノイズの場合、配線のリアクタンス分は無視できなくなります。
例えば、ラジオノイズの周波数 1MHz の配線インピーダンスは、商用周波数の 20,000 倍になります。接地帰線のインピーダンスを考慮すると盤側で
接地を取ったほうがノイズ対策が有効になります。
サイズ 〔mm2〕 |
50Hz | 60Hz | ||
---|---|---|---|---|
IV 線 | IV 線 | |||
3 条(密接平積み) | 3 条(密接平積み) | |||
R(60 ℃) | X | R(60 ℃) | X | |
2 | 10.70 | 0.114 | 10.70 | 0.136 |
3.5 | 6.02 | 0.106 | 6.02 | 0.127 |
5.5 | 3.85 | 0.106 | 3.85 | 0.127 |
8 | 2.67 | 0.106 | 2.67 | 0.127 |
14 | 1.50 | 0.103 | 1.50 | 0.123 |
22 | 0.954 | 0.101 | 0.954 | 0.121 |
38 | 0.564 | 0.0976 | 0.564 | 0.117 |
(1) JIS B9960-1 機械類の安全性-機械の電気装置-第 1 部には、電源の開閉についての記述があります。
【66983】3 相 4 線 電磁接触器による N 相の開路についての回答です。
JIS B9960-1:機械類の電気安全からの抜粋
5. 入力電源導体の接続、断路器及び開閉用機器
5.3.3 要求事項
入力電源断路器は、53.3.2の(a)~(d)に規定する種類のいずれかである場合は、次の要求事項をすべて満足しなければならない。
〔注記〕適切な定格で用いるプラグ及びコンセント、並びに JIS C8285-1 に適合するケーブルカプラ又は機器用カプラは、これらの要求事項をすべて満足できる。入力電源断路器がプラグ・ソケット対である場合、機械をオンオフする目的には適切な使用負荷種別をもつ開閉機器を用いなければならない。このことは、前述のインタロック開閉機器を併用することによって達成してもよい。
日本は TT 配電システムを認めているが、TN-S や TN-C 配電システムを認めてなく、PEN の考え方がありません。TT 配電システムは、4 極配線用遮断器で電源を開路できます。電磁開閉器も同様に N 相の開路ができます。(JIS B9960-1 は、積極的に開路を勧めています。)
配電システムの記号
投稿日 | 2018/08/08 (Wed.) |
更新日 | |