線間電圧が 0V なのに対し、主回路(動力系)配線の対地間電圧が 97V 発生する説明です。

【67190】対地電圧 … の補足説明です。

(1) インバーター 2 次側配線と対地間の電位発生のメカニズム
制御盤からモータへの配線は、他の主回路(動力系)配線と一緒にケーブルラックなどに布設します。他の主回路(動力系)の電線どうしの距離が小さいほど誘導電圧の影響を受けます。

三菱ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器 〈総合カタログ〉より引用
icon URL: http://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/lvcb/yn-c-0701/y0701p1803.pdf

表 4-36 △結線 3 φ 3W 200V 電路の 600V ビニル絶縁電線(IV)で 1km 配線した場合の漏洩電流 … 〔μA/m〕に換算

電線サイズ 4m 以上
〔μA/m〕
10 cm 以上
〔μA/m〕
1.5 mm 以上
〔μA/m〕
 密着 
〔μA/m〕
8 以下 0.60 1.29 19.9 100
14 0.66 1.44 22.1 110
22 0.72 1.55 23.9 120
38 0.81 1.75 26.9 135
60 0.99 2.14 32.9 165
100 1.14 2.46 37.9 189
150 1.25 2.72 41.8 209
250 1.46 3.16 48.6 243
325 1.52 3.29 50.7 253
500 1.71 3.69 56.8 284

8mm2 以下は電線の絶縁被覆の厚みが同じなので漏洩電流の大きさも同じ値です。
また、3 心 600V 架橋ポリエチレン絶縁電線(CV)は 50 %程度となります。

漏洩電流の単位は〔mA/km〕になっています。m あたりに変換すると〔μ A/m〕で、コンデンサ容量に換算すると〔nF/m〕です。
ケーブルの絶縁良否判定をする基準の 0.1mA と比較してもコンデンサによる漏洩電流の大きさは、2 桁の開きがあり通常この漏洩電流は無視します。
誘導電圧が 97V もあるのは、400V 系配線などと接近または混在しているために発生しているものと思います。

(2) 誘導電圧を簡単に確認する方法として、デジタル式テスタとアナログ式テスタの測定値を比較すればわかります。
デジタル式テスタの入力インピーダンスは、通常 10M Ω以上。アナログ式テスタの入力インピーダンスは、10k Ω /V。ケーブルと対地間に寄生するコンデンサの容量は〔nF/m〕程度で大きさで、インピーダンスとしては非常に大きな値となります。入力インピーダンスが 10k Ω /V のアナログ式テスタで測定すれば、97V よりも小さな値になります。それぞれのテスタを使って測定した電圧にテスタのインピーダンスを当てはめれば、ケーブルに寄生するコンデンサ容量を推測できます。

ケーブルがアンテナになってな電界(ノーズ)をかき集めて、〔nF〕のコンデンサを介してノイズを大地に流れている。
ノイズ電流×対地間コンデンサのインピーダンスが、97V の値と思います。

【67197】のチーラーユニットのコンデンサ焼損

「1500KVA 400V のトランスに 450kW のインバータがぶら下がっていてチラーを増設したら、チラーのコンデンサーが数日でパンクした」って
  先輩が言ってました。 … それこそ、インバータからの高調波がコンデンサ焼損の原因だと思います。発生のメカニズムは、

  1. 大容量の変圧器ほど「うさぎの耳」が発生しやすい。
  2. 変圧器からインバータ電源の配線が短い場合、電源インピーダンスが小さくなります。このような施工のインバータユニットは、軽負荷運転の
    ときインバータ 1 次電流が「ウサギの耳」状のパルス電流になることが知られています。

「ウサギの耳」をフーリエ解析するのは、高度な数学的知識が必要です。 … なので、周波数成分はさっぱりわかりません。高次の高調波が含有されているものと思います。

チーラーユニットは、軽負荷運転のとき力率が相当悪いので力率調整用のコンデンサをユニット内に持っています。ウサギの耳の高調波電流で力率調整用のコンデンサが焼損したと思います。

投稿日 2018/10/18 (Thu.)
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