コンベアの配線についてさまざまな意見が掲示板に出ています。
さまざまな規格・基準を貼り付けての投稿ですが、規格・基準の一部を見た判断は業務の方向性を誤る恐れがあります。

規格・基準の前後の文脈を見る必要性を感じました。
技術情報は、「鳥の目」「虫の目」で見ることが必要だと改めて考えさせられました。

目次 … 項目をクリックすると該当リストにジャンプします。

第 1 節:機内配線の配線材料について

第 2 節:機内配線の配線材料について

第 1 節:機内配線の配線材料について

第 1 項:電技解釈を読む

(1) 電技解釈 第 1 条 【用語の定義】(省令第1条)より抜粋 電技解釈 用語の確認

(2) 電技解釈 第 142 条【電気使用場所の施設及び小出力発電設備に係る用語の定義】(省令第 1 条) より引用
電気使用場所の施設及び小出力発電設備 … 電気使用場所の定義

• 低圧幹線  :省略
• 低圧分岐回路  :省略
• 低圧配線  : 低圧の屋内配線、屋側配線及び屋外配線 
• 屋内電線  :屋内に施設する電線路の電線及び屋内配線
• 移動電線  :電気使用場所に施設する電線のうち、造営物に固定しないものをいい、電球線及び電気機械器具内の電線を除く。
以下、省略

(3) 電技解釈 第 146 条【低圧配線に使用する電線】(省令第 57 条 第 1 項)より引用
低圧配線は、直径 1.6〔mm〕 の軟銅線若しくはこれと同等以上の強さ及び太さのもの又は断面積が 1〔mm2〕以上の MI ケーブルで
あること。ただし、 配線の使用電圧が 300〔V〕以下の場合において次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

  1. 電光サイン装置、出退表示灯その他これらに類する装置又は制御回路等 … 以下省略
  2. 電光サイン装置、出退表示灯その他これらに類する装置又は制御回路等 … 以下省略
  3. 第 172 条 第 1 項の規定により 断面積 0.75〔mm2〕以上のコード又はキャブタイヤケーブルを使用する場合 
  4. 第 172 条 第 3 項の規定によりエレベータ用ケーブルを使用する場合

(4) 第 172 条【特殊な配線等の施設】(省令第 56 条第 1 項、第 2 項、第 57 条第 1 項、第 63 条第 1 項)より引用
第172条は、ショウウィンドー又はショウケース内の低圧屋内配線に特化した項目で産業設備の機内配線を想定したものではありません。
icon「電技解釈 第 172 条」へ

(5) コードの種類 … JIS C3306:ビニルコードより抜粋
今回話題となった配線材料は、ビニルキャブタイヤ丸形コード( VCTF )です。

【ビニルコードの種類と記号】
種類 記号
単心ビニルコード VSF
二種単心ビニルコード HVSF
2 個よりビニルコード VTF
二種 2 個よりビニルコード HVTF
ビニル平形コード VFF
二種ビニル平形コード HVFF
ビニルキャブタイヤ丸形コード VCTF
二種ビニルキャブタイヤ丸形コード HVCTF
ビニルキャブタイヤ長円形コード VCTFK

第 2 項:配線施工の方法

ビニルキャブタイヤコードは機内配線に使えるか、使えないのかを調べた。

(1) 電技解釈 第133 条 【臨時電線路の施設 】(省令第 4 条)

第 1. 項 第 1 号 ~ 6. 号:省略

第 7 号:使用電圧が 300V 以下の低圧引込線の屋側部分又は屋上部分であって、使用期間が 4 月以内のものを、雨露にさらされない場所に
がいし引き工事により施設する場合は、第 116 条第 2 項(同条第 4 項で準用する場合を含む。)で準用する第 110 条第 2 項第一号ニの
規定にかかわらず、電線相互間及び電線と造営材との間を離さないで施設することができる。
第 7 号は、建造物等の改築等に伴う臨時引込の施設について示したものです。

8. 号 ~ 9. 号:省略
第 133 条では、使用期間の短い臨時的に施設する電線路は、事故の応急復旧の迅速化、経済性等から考えて、本格的な工事を行うことが必ずしも
有利でないことから、保安面で問題のない限りにおいて簡便な工事方法によってよいこととしている。
この規定は、従来、それぞれの当該電線路の規定の中で定められていたが、基準運用の利便を図るためにまとめたものである。

(2) 電技解釈 第 156 条【低圧屋内配線の施設場所による工事の種類】(省令第 56 条第 1 項)より抜粋
低圧屋内配線は、次の各号に掲げるものを除き、156-1 表に規定する工事のいずれかにより施設すること。
※この条文は、コンベアの配線とは直接関係なさそうです。

  1. 第 172 条第 1 項の規定により施設するもの
  2. 第 175 条から第 178 条までに規定する場所に施設するもの … 特殊場所の施設

(3) 電技解釈 第171 条 【移動電線の施設】(省令第 56 条、第 57 条第 1 項、第 66 条)より抜粋
低圧の移動電線は、第 181 条第 1 項第七号(第 182 条第五号において準用する場合を含む。)に規定するものを除き、次の各号によること。

  1. 使用電圧は、300〔V〕以下であること。
  2. 電線の断面積は、0.75〔mm2〕以上であること。
  3. 電線は、171-1 表に規定するものであること。
【電技解釈 第 171 条:移動電線に使用できる電線】
電線の種類 区分
使用電圧が 300V 以下のもの 使用電圧が 300V を
超えるもの
屋内に施設する場合 屋側又は屋外に施設する場合
ビニルコード    
ビニルキャブタイヤコード  
耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤコード  
防湿コード  
防湿コード以外のゴムコード    
ゴムキャブタイヤコード    
ビニルキャブタイヤケーブル
ビニルキャブタイヤケーブル
各種キャブタイヤケーブル 以下 省略

○:使用できる。
△:熱などの条件付きで使用できる。
▲:熱などの条件付きで使用できる。

 この条文によれは、熱を発する電気機器以外は、ビニルキャブタイヤコードを使うことができると解釈できる。 

(4) 電技解釈の解説 … 第171 条【移動電線の施設】
第 1 項 移動電線も電球線の場合と同様、原則として外装又は絶縁体の材料がビニル又は耐燃性ポリオレフィンであるもの以外のコード又は
キャブタイヤケーブルを使用すべきであるが、 電気を熱として利用しない家庭用及び業務用の電気機械器具 及び電気を熱として利用するもの
のうち比較的温度の低い保温用電熱器、電気温水器等については外装又は絶縁体の材料がビニル及び耐燃性ポリオレフィンであるものを使用
することを認めている。

また、屋側又は屋外に施設される低圧の移動電線については、雨露にさらされる可能性の多い場所であるから、屋内における移動電線の施設と
同様な施設方法のほか、使用電線等に条件を加えている。移動電線を湿気の多い場所等に施設する場合に電線の種類に制限を受けること及び
雨露にさらされないように施設される移動電線に防湿コードを使用してもよいことは、電球線の場合と同様である。なお、300〔V〕 以下の
低圧の移動電線は、電球線の場合と異なり外傷を受けやすいので 1 種キャブタイヤケーブルは使用できず、また、当然絶縁電線も使用できない。

第六号は、移動電線と電気機械器具との接続方法を規定したものである。この接続点は最も損傷しやすく、感電、短絡事故のおそれの高いところ
である。移動電線と電気機械器具との接続は人が容易に触れないように施設した端子金物にキャブタイヤケーブルをねじり止めし又は差込み
接続器その他これに類するもので行うこととしている。
ビニルテープ類で被覆して、コードを直接接続する方法は保安の観点からは好ましくない。

(5) 電技解釈 第172 条【特殊な配線等の施設】(省令第 56 条第 1 項、第 2 項、第 57 条第 1 項、第 63 条第 1 項)より抜粋
第 172 条 第 1 項:ショウウィンドー又はショウケース内の低圧屋内配線を、次の各号により施設する場合は、外部から見えやすい箇所に限り、
コード又はキャブタイヤケーブルを造営材に接触して施設することができる。

  1. ショウウィンドー又はショウケースは、乾燥した場所に施設し、内部を乾燥した状態で使用するものであること。
  2. 配線の使用電圧は、300〔V〕以下であること。
  3. 電線は、断面積 0.75〔mm2〕以上のコード又はキャブタイヤケーブルであること。
  4. 電線は、乾燥した木材、石材その他これに類する絶縁性のある造営材に、その被覆を損傷しないように適当な留め具により、1〔m〕以下の
    間隔で取り付けること。
  5. 電線には、電球又は器具の重量を支持させないこと。
  6. ショウウィンドー又はショウケース内の配線又はこれに接続する移動電線と、他の低圧屋内配線との接続には、差込み接続器その他これに
    類する器具を用いること。

第 4 号は、電線の取付け方法として、これを取り付ける造営材は、比較的絶縁性のある乾燥した木材、コンクリート、石材等とし、かつ、
その場合は、ステープル等を使用して電線の被覆を損傷しないように施工し、ステープル自体も脱落しないようにすべきことが定められている。

また、電線には、可とう性のあるコードやキャブタイヤケーブルを使用するので、取付け点間の距離は、がいし引き工事の場合の 1/2、
すなわち 1〔m〕 以下とし、第五号では、第 170 条と同様、配線には電球、電灯器具の重量を支持させないようにすべき旨を定めている。

電球線の場合は、いったんがいし等にこれを引き留め又はシーリング等を利用して電球線を引き出すこととし、電灯器具等は他の支持方法で
固定し、又はつり下げ、配線からリード線だけを配線するようにすべきである。
なお、電線の接続については、第 12 条のコード及びキャブタイヤケーブルの接続に関する規定が適用される。

 なぜ、コンベア配線の説明に電技解釈 第 1 項が出てきたのは不明。
 電技解釈 第 172 条 第 1 項は、ショウウィンドー及びショウケース内の配線の施設について規定している。 

第 2 節:必要な資格と資格の範囲

第 1 項:資格

配線が違法だ、合法だとのさまざまな意見があります。
配線施工法に特に違法性はないが、作業者の資格には注意する必要がありそうです。

(1) 電気主任技術者
事業用電気工作物には、電気工作物の保安の監督者として電気主任技術者の資格が必要となる。

(2) 電気工事士
一般用電気工作物及び自家用電気工作物(最大電力 500〔kW〕未満の需要設備に限る。)の電気工事には、電気工事士の資格が必要となる。
最大電力 500〔kW〕以上の自家用電気工作物の工事は、電気工事士の資格が不要。
例えば、500〔kW〕未満の需要家の設備において、電気工事士の資格がない制御盤屋さんが電動機の回転方向を変更する配線作業は、
制御盤内・盤外を問わず「違法」といえます。 

第 2 項:電気工作物について … 参考程度

(1) 電気工作物
電気工作物とは、電気を供給するための発電所、変電所、送配電線路をはじめ、工場、ビル、住宅等の受電設備、屋内配線、電気使用設備などの
総称をいう。

(2) 事業用電気工作物
「一般用電気工作物」以外の電気工作物をいう。

(3) 一般用電気工作物
主に一般住宅や小規模な店舗、事業所などのように、 他の者から低圧( 600〔V〕以下)の電圧で受電している場所 などの電気工作物をいう。

(4) 自家用電気工作物
事業用電気工作物のうち、電気事業の用に供する電気工作物以外のもの。
例えば、工場・ビル等の 600〔V〕を超えて受電する需要設備(発電所も含まれる)。

(5) 一般用電気工作物
600〔V〕以下で受電する需要設備又は小出力発電設備で、 構外にわたる配電線路を有さない設備。
小出力発電設備以外の発電設備がない等安全性の高い電気工作物。
例えば、一般家庭、商店、小規模事業所等の屋内配線等、家庭用太陽光発電・燃料電池発電等の小出力発電設備。

投稿日 2020/09/28 (Mon.)
更新日  
 

PageTop

inserted by FC2 system