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電気設計 資料作成の目的
電気設計業務に必要な業務要件を整理し文書データ化しました。
制御に使う電線およびケーブルの技術情報は、第 5 編 保全技術情報 🡲 第 7 章にあります。

目次 … 項目をクリックすると該当リストにジャンプします。

第 1 節:基本設計
• 第 1-1 項:仕様打ち合わせ
• 第 1-2 項:電気安全

第 2 節:システム設計
• 第 2-1 項:負荷調査
• 第 2-2 項:電気方式および接地方式
 📄 各種電気方式(配電方式)
 📄 接地系統の運用
 📄 接地系統の種類 … JIS C60364-1

• 第 3 項:制御方式

第 4 項:電技解釈
 📄 電技解釈 第 146 条
 📄 電技解釈 第 148 条
 📄 電技解釈 第 149 条

第 3 節:盤内回路設計
• 第 3-1 項:主幹回路設計
 📄 入力電源の接続
 📄 銅帯(ブスバー)の許容電流および締め付けトルク

• 第 3-2 項:分岐回路設計
 📄 短絡保護とその考え方
 📄 地絡保護の考え方
 📄 感電保護の考え方
 📄 分岐回路の電線保護
 📄 盤内主要機器の保護
 📄 変圧器の保護
 📄 誘導電動機の保護

• 第 3-3 項:電圧変動と電圧降下
 📄 電圧降下の基準
 📄 電圧降下の計算
 📄 電圧変動が電気機器およぼす影響

• 第 3-4 項:(有接点式)シーケンス設計
 📄 シーケンス図

• 第 3-5 項:主要部品の特性
 📄 配線用遮断器
 📄 漏電遮断器
 📄 限流ヒューズ
 📄 PLC
 📄 電磁開閉器
 📄 コントロールリレー
 📄 直流回路の接地
 📄 低圧力率改善コンデンサ

• 第 3-6 項:盤内配置設計
 📄 操作パネル(スイッチ、ランプ等)の配置
 📄 作業スペースの考慮

• 第 3-7 項:PLC プログラム設計

• 第 3-8 項:排熱、絶縁
 📄 発熱を考慮した配置
 📄 絶縁を考慮した配置

• 第 3-9 項:耐熱設計

第 4 節:設計図面および製作仕様書
• 第 4-1 項:電気設備工事でよく使う図書の種類
• 第 4-2 項:製作仕様書仕様書

第 5 節:参考資料
• 第 5-1 項:JEM 1323:配電盤・制御盤の接地

第 1 節:基本設計

第 1-1 項:仕様打ち合わせ

(1) 見積もり仕様書で不明確な情報を整理する。

 設置環境
• 屋内または屋外
• 水場、防爆区域など特殊環境
 ユーティリティの供給および廃棄 
• 電気
• 工業用水
• 圧縮空気(圧力、出口相対湿度)など
 動作フロー 
• 設備の重要度 … 停止してよいもの、24 時間連続稼働など
• タクトおよびタイミングチャート
• 類似設備の資料・写真など
• オペレータの人数、操作、イレギュラー処理など
• 設計製作、施工過程でのルール決めなど

(2) 打ち合わせ議事録は金を貰う方が書きます。
理由は自分に不利なことは積極的に書かないからです。自分に不利な案件は「コスト」に置き換えて解釈します。
大切なことは、「記憶」よりも「記録」だと考えています。
議事録

第 1-2 項:電気安全

電気安全の規格・基準の範囲は広い。
規格・基準を体系的に見ないとインターネットの情報だけに頼ると偏った知識や誤った解釈をする恐れがあります。

   電気安全に関する「安衛法」および「JIS 規格」の詳細内容 

労働安全衛生法および労働安全衛生規則

(1) 労働安全衛生法(労衛法) … JIS 規格の上位規定(機械安全の JIS 原案者は、通産省と厚労省です。)
JIS Z8051:安全側面-規格への導入指針 および JIS B9700:機械類の安全性-設計のための一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減は、
労衛法にリンクしているため違反した場合は罰則があると考えています。

【労働安全衛生法 第 3 条 2 項】
機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。

(2) 労働安全衛生規則(労衛則)
icon URL: https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-1-m-0.htm

隔離の原則および停止の原則
第 101 条 原動機、回転軸等による危険の防止
第 102 条 ベルトの切断による危険の防止
第 105 条 加工物等の飛来による危険の防止
第 106 条 切削屑の飛来等による危険の防止
第 107 条 掃除等の場合の運転停止等
第 108 条 刃部のそうじ等の場合の運転停止等
第 108 条 2 項 ストローク端の覆い等
第 109 条 巻取りロール等の危険の防止

電気安全に関する JIS 規格

(1) 電気安全の規格体系

ISO/IEC ガイド 51
JIS Z8051 安全側面-規格への導入指針
タイプ A 規格
JIS B9700 機械類の安全性-設計のための一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減
タイプ B 規格(一般)
JIS B9703 機械類の安全性-非常停止-設計原則
JIS B9705-1 機械類の安全性-制御システムの安全関連 部-第 1 部-設計のための一般原則
JIS B9710 機械類の安全性-ガードと共同するインターロック装置-設計及び選択のための原則
JIS B9711 機械類の安全性-人体 部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
JIS B9712 機械類の安全性-両手操作制御装置-機能的側面及び設計原則
JIS B9714 機械類の安全性-予期しない起動の防止
JIS B9715 機械類の安全性-人体 部位の接近速度に基づく安全防護物の位置決め
JIS B9716 機械類の安全性-ガード-固定式及び可動式ガードの設計及び製作のための一般要求事項
JIS B9717-1 機械類の安全性-圧力検知保護装置-第 1 部-圧力検知マット及び圧力検知フロアの設計及び試験のための一般原則
JIS B9718 機械類の安全性-危険区域に上肢及び下肢が到達することを防止するための安全距離
タイプ B 規格(電気・制御)
JIS B3501 プログラマブルコントローラ-第 1 部:一般情報
JIS B3502 プログラマブルコントローラ-第 2 部:機器要求事項及び試験
JIS B3503 プログラマブルコントローラ-第 3 部:プログラム言語
JIS B6011 工作機械-操作方向
JIS B8361 油圧-システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
JIS B8370 空気圧-システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
JIS B9704-1 機械類の安全性-電気的検知保護設備-第 1 部:一般要求事項及び試験
JIS B9704-2 機械類の安全性-電気的検知保護設備-第 2 部:能動的光電保護装置を使う設備に対する要求事項
JIS B9704-3 機械類の安全性-電気的検知保護設備-第 3 部:拡散反射形能動的光電保護装置に対する要求事項
JIS B9705-2 機械類の安全性-制御システムの安全関連部-第 2 部:妥当性確認
JIS B9706-1 機械類の安全性-表示、マーキング及び操作-第 1 部:視覚:聴覚及び触覚シグナルの要求事項
JIS B9706-2 機械類の安全性-表示、マーキング及び操作-第 2 部:マーキングの要求事項
JIS B9706-3 機械類の安全性-表示、マーキング及び操作-第 3 部:アクチュエータの配置及び操作に対する要求事項
JIS B9960-1 機械類の安全性-機械の電気装置
JIS B9961 機械類の安全性-安全関連の電気・電子・プログラマブル電子制御システムの機能安全
JIS B9962 機械類の安全性-機械類のケーブルレス制御システムに対する要求事項
JIS C0457 電気及び関連分野-取扱説明の作成-構成、内容及び表示方法
JIS C0508-1 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第 1 部:一般要求事項
JIS C0508-2 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第 2 部:電気・電子・プログラマブル電子安全関連系に対する要求事項
JIS C0508-3 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第 3 部:ソフトウェア要求事項
JIS C0508-4 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第 4 部:用語の定義及び略語
JIS C0508-5 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第 5 部:安全度水準決定方法の事例
JIS C0508-6 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第 6 部:第 2 部及び第 3 部の適用指針
JIS C0508-7 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全-第 7 部:技術及び手法の概観
JIS C0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード)
JIS C60079-11 爆発性雰囲気で使用する電気機械器具-第 11 部:本質安全防爆構造
JIS C8201-1 低圧開閉装置及び制御装置-第 1 部:一般規則
JIS C8201-2-1 低圧開閉装置及び制御装置-第 2-1 部:回路遮断器(配線用遮断器及びその他の遮断器)
JIS C8201-2-2 低圧開閉装置及び制御装置-第 2-2 部:漏電遮断器
JIS C8201-3 低圧開閉装置及び制御装置-第 3 部:開閉器、断路器、断路用開閉器及びヒューズ組みユニット
JIS C8201-4-1 低圧開閉装置及び制御装置-第 4-1 部:接触器及びモータスタータ-電気機械式接触器及びモータスタータ
JIS C8201-4-2 低圧開閉装置及び制御装置-第 4-2 部:接触器及びモータスタータ-交流半導体モータ制御器及びスタータ
JIS C8201-4-3 低圧開閉装置及び制御装置-第 4-3 部:接触器及びモータスタータ-非モータ負荷用交流半導体制御器及び接触器
JIS C8201-5-1 低圧開閉装置及び制御装置-第 5 部:制御回路機器及び開閉素子-第 1 部:電気機械式制御回路機器
JIS C8201-5-2 低圧開閉装置及び制御装置-第 5 部:制御回路機器及び開閉素子-第 2 部:近接スイッチ
JIS C8201-5-5 低圧開閉装置及び制御装置-第 5 部:制御回路機器及び開閉素子-第 5 部:機械的ラッチング機能をもつ電気的非常停止機器
JIS C8201-5-8 低圧開閉装置及び制御装置-第 5-8 部:制御回路機器及び開閉素子-3 ポジションイネーブルスイッチ
JIS C8201-5-101 低圧開閉装置及び制御装置-第 5 部:制御回路機器及び開閉素子-第 101 部:接触器形リレー及びスタータの補助接点
JIS C8201-7-1 低圧開閉装置及び制御装置-第 7 部:補助装置-第 1 部:銅導体用端子台
JIS C8201-7-2 低圧開閉装置及び制御装置-第 7-2 部:補助装置-銅導体用保護導体端子台
タイプ B 規格:表示・図記号・製品情報
JIS B9706-1 機械類の安全性-表示、マーキング及び操作-第 1 部:視覚、聴覚及び触覚シグナルの要求事項
JIS B9706-2 機械類の安全性-表示、マーキング及び操作-第 2 部:マーキングの要求事項
JIS B9706-3 機械類の安全性-表示、マーキング及び操作-第 3 部:アクチュエータの配置及び操作に対する要求事項
JIS C0617-1 電気用図記号-第 1 部:概説
JIS C0617-2 電気用図記号-第 2 部:図記号要素、限定図記号及びその他の一般用途図記号
JIS C0617-3 電気用図記号-第 3 部:導体及び接続 部品
JIS C0617-4 電気用図記号-第 4 部:基礎受動 部品
JIS C0617-5 電気用図記号-第 5 部:半導体及び電子管
JIS C0617-6 電気用図記号-第 6 部:電気エネルギーの発生及び変換
JIS C0617-7 電気用図記号-第 7 部:開閉装置、制御装置及び保護装置
JIS C0617-8 電気用図記号-第 8 部:計器、ランプ及び信号装置
JIS C0617-9 電気用図記号-第 9 部:電気通信-交換機器及び周辺機器
JIS C0617-10 電気用図記号-第 10 部:電気通信-伝送
JIS C0617-11 電気用図記号-第 11 部:建築設備及び地図上の設備を示す設置平面図及び線図
JIS C0617-12 電気用図記号-第 12 部:二値論理素子
JIS C0617-13 電気用図記号-第 13 部:アナログ素子
JIS Z9101 図記号-安全色及び安全標識-安全標識及び安全マーキングのデザイン通則
JIS Z9103 図記号-安全色及び安全標識-安全色の色度座標の範囲及び測定方法
JIS Z9104 安全標識-一般的事項

(2) JIS B9700:リスク低減方策 3 ステップメソッド
リスクアセスメントを実施した後のリスク低減方策 3 ステップメソッドと呼ばれる保護方策の優先順位があります。

 ステップ  方策  内容
 ステップ 1 本質的安全設計方策 • 危険源の除去、危険源への接近不要化
• 機械および制御システムの適切な設計
 ステップ 2 安全防護 • 固定式ガード
• インターロック付き固定式ガード
• 保護装置
付加保護装置 • 非常停止機能、脱出・救護、吊り上げ装置
• エネルギー遮断と消散、デッキ・階段
 ステップ 3 使用上の情報 • 信号・警報装置、表示・標識、取扱い説明
• 作業手順書、教育訓練、個人用防具

(3) 製品安全システムの作り込み
装置の安全制御システムであれば「安全リレー」を使って構築可能です。
設備規模が大きい場合は、安全制御システムは「セーフティコントローラー」や「安全 PLC 」を使います。

【安全制御システム構築の難易度の例】
項目 安全リレー セーフティコントローラ 安全 PLC
1. リスクアセスメントの実施 ○:可能 ○:可能 ○:可能
2. 安全仕様書の作成 ○:可能 ○:可能 ○:可能
3. 安全システムの知識やノウハウの習得 ○:可能 ○:可能 ○:可能
4. 安全回路の設計 ×:高難度 ◎:簡単 ◎:簡単
5. 配線 ×:高難度 ◎:簡単 ◎:簡単
6. 専用ソフトウェアの知識の習得 不要 不要 ×:高難度
7. ソフトウェアの設計 不要 不要 ×:高難度
8. 安全性能の検証 ○:可能 ◎:簡単 ○:可能
9. 妥当性確認用の文書作成 ○:可能 ◎:簡単 ○:可能
10. 妥当性確認 ×:高難度 ◎:簡単 ×:高難度
11. ソフトウェアの管理 不要 不要 ○:可能

JIS B9705-1:制御カテゴリからの引用

第 1 章(補):機械類の安全性に転記しました。

JIS B9703:停止カテゴリ

(1) 非常停止機能は、次の停止カテゴリのどちらかに従う機能としなければならない。

停止カテゴリ 説明
カテゴリ 0 次の停止カテゴリのどちらかに従う機能としなければならない。
• 機械アクチュエータへの動力の即時供給遮断
• 危険な部位とその機械アクチュエータ間の機械的分離(切り離し)。必要な場合、ブレーキによる制動
カテゴリ 1 停止するために、機械アクチュエータへの動力を必要とし、停止したとき動力が遮断される制御停止。動力供給遮断の例には、次を含む。
• 機械の電気モータへの電力遮断。
• 動力可動要素からの機械エネルギー源の切り離し。
• 機械の液圧/空圧機械アクチュエータへの流体動力源遮断。

第 2 節:システム設計

第 2-1 項:負荷調査

負荷容量の見積もり

(1) 負荷設備台帳を作る。
回路設計に必要な負荷特性を収集します。
icon 負荷リスト

 • 負荷設備容量の推定 
所要電力量の集計は、配電盤・制御盤を設計する上で重要な情報です。
設備ごとに負荷の種類、容量、台数、用途などできるだけ正確に調査し所要電力と力率を調べます。
この調査は手間はかかるが、設計の設備台帳となる基礎データなので面倒であっても設備の負荷リストは計画の早い段階で作成する。
設計の初期段階では、設備概要の不確定部分が多く設備容量も未知の部分が多い。
不明な所要電力であっても似たような設備の電力容量を参考にするなどして所要電力を推定して配電盤・制御盤の設計を行う。
設計を進めいていく過程で不明であった電力量も徐々に明らかになっていくので、所要電力が分かった時点で負荷リストを都度更新します。
 • 負荷の分布 
負荷リストは使用電圧別にブロックを分けておく。負荷によっては、絶対に停電が許されない負荷、数分程度は停電が許される負荷、
場合によっては、停止が不可能な負荷などにグループ分けを行なうことも必要です。

(2) 供給電力の推定
負荷設備容量が求められると、次に供給電力を算定する必要があります。
最大需要電力とは、需要設備の所要電力を設備容量から想定してこれ以上使用電力が超過しないという最大使用電力でです。
一般に生産設備は 24 時間連続で運転されるので、使用電力は時刻によって変化している。このため、ある期間における需要電力の最大値を求めて
この最大需要電力により所要電力を決定する。最大需要電力を算定するには、需要率や負荷率などの係数が用いられます。

 • 需要率 
最大需要電力は、負荷の種類や使用状態などにより異なる。統計データなどから負荷設備容量と最大需要電力との比率は一定の割合となってます。この比率を需要率として表している。需要率は次式で表され需要率が 100 %とは負荷がすべて使用されている場合でです。
一般の電気設備では、100 %以下が通常です。設備容量が求まれば、全設備の需要率の統計データを参考に、この式から最大需要電力を算出して供給電力を決定することができます。
 需要率=  最大需要電力( 1 時間平均)〔kW〕 
総設備容量〔kW〕
× 100〔%〕
 • 負荷率 
負荷率とは、ある一定の期間における負荷の最大需要電力に対するその期間の負荷の平均需要電力との比率を百分率で表したものです。
平均電力の期間のとり方により期間を 1 日とした場合日負荷率、期間を 1 ヶ月とした場合は月負荷率、期間を 1 年とした場合の負荷率を年負荷率という。負荷率は、測定する期間が長くなるほど負荷率は小さくなります。負荷率は需要電力の変化を時間や月日の推移で係数的に把握できるので設備の利用度や最大需要電力の算出の参考にします。
 負荷率= 負荷の平均電力〔kW〕
 最大需要電力( 1 時間平均)〔kW〕 

第 2-2 項:電気方式および接地方式

接地工事の詳細は、第 4 編 電気設備工事設計・施工  第 4 :接地工事を参照願います。

各種電気方式(配電方式)

(1) 単相
単相

(2) 三相
三相

接地系統の運用

(1) 非接地系 … 大地に対して意識的に接地のない方法

(2) 直接接地系 … 電路、変圧器または、発電機の中性点を直接大地に接続します。

(3) 抵抗接地系

接地系統の種類 … JIS C60364-1 より引用

(1) TN 接地系統
TN 接地系統

TN 系の三角結線の 2 次側接地は IEC で認めています。
JIS C60364-1:低圧電気設備-第 1 部:基本的原則、一般特性の評価及び用語の定義
312.2.1 TN 系統    312.2.1.1 単一電源方式
図 31A2 - 系統の全体に渡って、別個の接地した線導体および保護導体を持つ TN-S 系統で、三角結線の接地が認められています。
TN 系の三角結線接地

(2) TT 接地系統 … 日本は TT 接地系統です。
TT 接地系統

(3) TI 接地系統
TI 接地系統

第 3-3 項:制御方式

制御方式の選定

(1) 各種制御方式
制御方式の区分の切り口によって分類内容が異なります。

 区分   内容 
有接点回路 • 電磁接触器 … 電気開閉器のフレームサイズは icon第 5 項:電磁接触器の特性を参照してください。
• 継電器(リレー)
 ①微小負荷電流(mA 以下)
 ②小電流(1 ~ 2〔A〕)
 ③中電流(3 ~ 5〔A〕)
 ④大電流(15 ~ 30〔A〕)など、用途に応じて選択する。
無接点回路 • PLC
• デジタル回路(パルス回路)
• MOS 系リレー
• C-MOS ロジック IC
アナログ回路 • 計装信号( 4 ~ 20 mA)
• 演算増幅器(オペアンプ)

第 2-4 項:電技省令および電技解釈

配電回路保護の電技解釈

電技解釈 第 146 条

 電技解釈 第 146 条 2 項 
絶縁電線は、絶縁物の材質ごとに耐熱温度の上限が規定されていて、電線の使用温度によって許容電流が変わります。
ビニル絶縁電線の使用周囲温度は 30 ℃で規定されているので、この温度よりも高い温度で使用するときは温度補正計算します。
たとえば、制御盤内の基底温度は 40 ℃のため、制御盤内で使用するビニル絶縁電線の許容電流は補正計算する必要があります。

【電技解釈第 146 条 146-3 表】
絶緑体の材料および施設場所の区分 許容電流補正係数の計算式
ビニル混合物(耐熱性を有するものを除く。)および天然ゴム混合物 $ \sqrt{ \displaystyle \frac{ 60- \theta }{ 30 } } $
ビニル混合物(耐熱性を有するものに限る。)、ポリエチレン混合物(架橋したものを除く。)
およびスチレンブタジエンゴム混合物
$ \sqrt{ \displaystyle \frac{ 75- \theta }{ 30 } } $
エチレンブロビレンゴム混合物 $ \sqrt{ \displaystyle \frac{ 80- \theta }{ 30 } } $
ポリエチレン混合物(架橋したものに限る。) $ \sqrt{ \displaystyle \frac{ 90- \theta }{ 30 } } $
ふっ素樹脂混合体 電線またはこれを収める線ぴ、電線管、ダクト等を通電による温度の上昇により他の造営材に
障害を及ぼすおそれがない場所に施設し、かつ、電線に接触防護措置を施す場合
$ 0.9 \times \sqrt{ \displaystyle \frac{ 80- \theta }{ 30 } } $
その他の場合 $ 0.9 \times \sqrt{ \displaystyle \frac{ 180- \theta }{ 30 } } $
けい素ゴム混合物 電線またはこれを収める線ぴ、電線管、ダクト等を通電による温度の上昇により他の造営材に
障害を及ぼすおそれがない場所に施設し、かつ、電線に接触防護措置を施す場合
$ \sqrt{ \displaystyle \frac{ 180- \theta }{ 30 } } $
その他の場合 $ \sqrt{ \displaystyle \frac{ 90- \theta }{ 30 } } $

(2) 絶縁電線を合成樹脂管、金属管、金属可とう電線管などに収めて使用する場合の注意事項
146-4 表の電流減少係数は、同一管内の電線数が増加すれば、その需要率も低下することが考えられることから、電線数が 11 本以上の場合に
ついては需要率( 50 ~ 75 %)を考慮して示している。

(※)誘導電動機の始動電流は定格電流の 6 ~ 7 倍であるが、始動電流が流れる時間が短時間であるため無視できます。

(※)電気設備の技術基準の解釈【解説】に、電線数 11 本の記述があります。
その根拠は、1964 年(昭和 39 年)以前の旧電技解釈では、同一管内の電線数が 11 本までだった名残です。

【 146-4 表】
同一管内の電線数 電流減少係数
3 以下 0.70
4 0.63
5 または 6 0.56
7 以上 15 以下 0.49
16 以上 40 以下 0.43
41 以上 60 以下 0.39
61 以上 0.34

電技解釈 第 148 条

(1) 電技解釈 第 148 条【低圧幹線の施設】

二 電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具

四 低圧幹線の電源側電路には、当該低圧幹線を保護する過電流遮断器を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

【電技解釈 第 148 条 低圧幹線の施設】
負荷の種類 電線の許容電流:Iw 遮断器の定格電流:Ib
Σ Im ≦ Σ Il のとき
電技解釈第148条
Iw ≧ Σ Im+Σ Il Ib ≦ 3Σ Im+Σ Il
または
Ib ≦ 2.5Iw のいずれか小さい値
ただし、Iw>100A のときで、
この値が遮断器の標準定格に該当しないときは
直近上位の定格でもよい。
Σ Im > Σ Il かつ Σ Im ≦ 50A のとき
電技解釈第148条
Iw ≧ 1.25×Σ Im+Σ Il
Σ Im > Σ Il かつ Σ Im > 50A のとき
電技解釈第148条
Iw ≧ 1.1×Σ Im+Σ Il

電技解釈第 149 条

(1) 電技解釈第 149 条【低圧分岐回路等の施設】
原則として電線の長さを 3〔m〕以下とすべきであるが、電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の定格電流の 55〔%〕以上であれば、電線の長さの
制限は受けない。電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の定格電流の 35〔%〕以上あれば、電線の長さを 8〔m〕まで延長してもよいこととして
います。
電技解釈第148条②

 電技解釈第 149 条 2 項 
電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具のみに至る低圧分岐回路の考え方

【電技解釈 第 149 条】 分岐回路の定格電流の選定
負荷電流の種類 電線の許容電流( Iw ) 配線用遮断器の定格電流( Ib )
50A を超える機器の場合
電技解釈第149条

2 項 3 号ハ
Iw ≧ Ib

2 項 3 号ロ
Ib ≦ 1.3Ib
ただし、その値が過電流遮断器の標準定格に
該当しないときは、その値の直近上位の標準定格
電動機がある場合
Im ≦ 50A のとき
電技解釈第149条

2 項二号ロ
Iw ≧ 1.25 Im

2 項二号イ
Ib ≦ 2.5Iw
ただし、当該電線の許容電流が100Aを超える場合で
あって、その値が過電流遮断器の標準定格に該当
しないときは、その値の直近上位の標準定格

Im > 50A のとき
電技解釈第149条

2 項二号ロ
Iw ≧ 1.1 Im
50A 以下の機器の場合
電技解釈第149条
電線サイズ≧ 1.6φ Ib ≦ 20A
電線サイズ≧ 2.6φ Ib ≦ 30A
電線サイズ≧ 8mm2 Ib ≦ 40A
電線サイズ≧ 14mm2 Ib ≦ 50A

第 3 節:盤内回路設計

第 3-1 項:主幹回路設計

入力電源の接続

(1) 入力電源導体の接続
入力電源導体の接続においてはプラグ接続による場合を除き、電源導体を電源断路器に直接接続することが望ましい。
JIS B9960-1 (機械類の安全性 … )規則上、盤内で中継端子受けできない。
icon※電線およびケーブルの最小曲げ半径

(2) 主幹配線用遮断器の取り付け位置
操作手段入力電源断路器の操作手段(例えば、ハンドル)は、作業面から 0.6 m 以上 1.9 m 以下の容易に手が届く位置に設けなければならない。
上限は 1.7 m を推奨する。

(3) 受電表示灯の保護
1 次側電圧を確認する目的で受電ランプを盤に取付けたものを見ることがあります。電気安全上非常に危険なケースといえます。
最近の盤は、主電源を開放しないと盤の扉が開かない構造になっています。主幹 1 次側に受電ランプがあると扉を開いても充電部が存在することに
なります。制御盤内の作業前に残留電圧の有無を確認することが電気安全で求められているため、受電表示灯は無意味なものです。

銅帯(ブスバー)の許容電流および締め付けトルク

(1) 銅帯の許容電流の計算
熱計算でス「テファンボルツマンの係数」計算しているものをときどき見ますが、正確な熱計算とはいえません。
熱計算は「放射」「対流」「伝導」が複雑に絡み合うので素人では計算ができないといえます。
このため多くのサイトでは、安全率を 2 ~ 3 倍にとった値を用いています。( ← これでは計算する意味がありません。)
   電気設備用語辞典の熱計算を参照してください。

(2) 銅の物性|銅表面の酸化特性
100 ℃以上の温度領域では、酸化の初期は直線則で、中期以降は順次 2 乗則、3 乗則となります。100 ℃を超えると皮膜が著しく成長し、
接触抵抗への酸化皮膜の影響は著しく増大します。銅帯の許容電流は、

(3) 銅帯の寸法
ブスバーに使用される銅帯の代表的寸法表

【 JIS H3140:銅ブスバー 表-1 バスバーの代表的寸法】
厚み
〔mm〕
幅〔mm〕
10 12 15 16 18 20 25 30 32 35 38 40 45 50 60 65 70 75 80 100 125 150 175 200 250 300
2.0
2.4
2.6
3.0
3.2
4.0
4.5
5.0
6.0
6.5
8.0
10.0
13.0
15.0
20.0
30.0

(4) JIS C4620:キュービクル式高圧受電設備 … 「解説表-04:銅帯の電流容量」から抜粋。
同規格は「配電盤技術便覧」から引用している。便覧データの銅帯の使用温度は、周囲温度 30 ℃、銅帯の温度上昇を 35K ( 65 ℃)のときの値を
用いています。
銅帯の許容電流の資料は数種類あります。この中で最も引用数が多いのが「 JIS C4620:キュービクル式高圧受電設備の解説表」の値ですが、
インターネットでは閲覧することはできません。

【解説表-04:銅帯の電流容量】
銅帯の配置 銅帯1枚 銅帯2枚 銅帯3枚
温度上昇 30℃ の場合 65℃ の場合 30℃ の場合 65℃ の場合 30℃ の場合 65℃ の場合
3 × 25 230 362
4 × 25 290 457
50 510 803
5 × 25 340 535
50 610 961
6 × 25 380 598
30 430 677
40 550 866
50 680 1071
75 940 1481 1670 2631
100 1200 1891 2020 3183 2580 4065
125 1440 2269 2350 3703 3020 4759
150 1680 2647 2710 4270 3370 5310
8 × 50 800 1260
75 1100 1733 1890 2978
100 1400 2206 2260 3561 2930 4617
125 1650 2600 2620 4128 3360 5294
150 1930 3041 3020 4759 3820 6019
10 × 50 880 1386
75 1220 1922 2030 3199
100 1540 2426 2450 3860 3110 4901
125 1820 2868 2820 4443 3540 5578
150 2120 3340 3220 5074 4080 6429
12 × 75 1320 2080 2150 3388
100 1660 2615 2600 4097 3300 5200
125 1950 3072 2980 4696 3760 5925
150 2280 3593 3380 5326 4260 6713

〔備考-01〕表の値は、周囲温度 30 ℃とした場合で、かつ銅帯が裸で開放した条件における場合を示す。
〔備考-02〕65 ℃の換算式は、$ I_{t} =I_{30} \Bigl(\displaystyle \frac{ t}{ 30 } \Bigr)^{1.7} $

It :30 ℃以外の温度上昇 T ℃における電流容量〔A〕
I30 :30 度における電流容量〔A〕

(5) JIS C8480:キャビネット形分電盤 … 分電盤と配電盤は電流容量が異なるのでデータを採用する場合は注意が必要です。

【表-6:電流密度】
基準定格電流〔A〕 電流密度〔A/mm2
125A 以下 3.0 以下
125A を超え 250A 以下 2.5 以下
250A を超え 400A 以下 2.0 以下
400A を超え 600A 以下 1.7 以下

(6) 日本配電制御システム工業会資料

【 垂直配置 1 枚の許容電流〔A〕】
寸法
t × H〔mm〕
30 35 40 45 50
2 × 12 110 120 130 140 150
3 × 12 140 150 170 180 190
3 × 15 170 190 200 210 230
3 × 20 210 230 250 270 290
3 × 25 260 280 310 330 350
4 × 15 200 220 240 250 270
4 × 18 230 250 270 290 310
4 × 20 250 280 300 320 340
4 × 25 300 330 360 380 410
4 × 30 350 390 420 450 480
5 × 20 290 310 340 360 390
5 × 25 340 380 410 440 460
5 × 30 400 440 470 510 540
5 × 40 510 560 600 650 690
6 × 20 320 350 380 410 430
6 × 25 380 420 450 490 520
6 × 30 440 490 520 560 600
6 × 40 560 620 670 710 760
6 × 50 680 740 800 860 920
6 × 75 950 1,040 1,120 1,200 1,280
6 × 100 1,210 1,330 1,440 1,540 1,640
8 × 25 450 500 540 580 610
8 × 30 530 580 620 670 710
8 × 40 660 720 780 840 890
8 × 50 790 860 930 1,000 1,070
8 × 75 1,100 1,200 1,300 1,400 1,480
8 × 100 1,380 1,510 1,640 1,750 1,870
10 × 50 890 970 1,050 1,120 1,200
10 × 75 1,220 1,330 1,440 1,550 1,650
10 × 100 1,530 1,670 1,810 1,940 2,060
10 × 150 2,120 2,320 2,510 2,690 2,860
15 × 100 1,830 2,000 2,160 2,320 2,460
15 × 150 2,500 2,730 2,960 3,170 3,370
【 垂直配置 2 枚の許容電流〔A〕】
寸法
t × H〔mm〕
30 35 40 45 50
2-6 × 75 1,600 1,750 1,890 2,020 2,150
2-6 × 100 1,990 2,180 2,360 2,520 2,690
2-8 × 75 1,820 1,990 2,160 2,310 2,460
2-8 × 100 2,250 2,460 2,660 2,860 3,040
2-10 × 75 2,030 2,220 2,400 2,570 2,730
2-10 × 100 2,480 2,710 2,930 3,140 3,350
2-10 × 150 3,330 3,650 3,950 4,230 4,500
2-15 × 100 2,970 3,250 3,510 3,760 4,010
2-15 × 150 3,940 4,310 4,660 5,000 5,320
銅帯の配列

(7) 電設工業会資料に記載されている銅帯の許容電流
データの出典は旧電気工業会規格 JEM-20 (1939 年で規格が古すぎて規格名は不明)である。このデータを使用しているものは、

【第9-1:銅導体の許容電流例(周囲温度:70 ℃)】
寸法〔mm〕 枚数 概算断面積
〔mm2
概略重量
〔kg/m〕
許容電流〔A〕AC 許容電流〔A〕DC
厚さ 垂直取付 水平取付 垂直取付 水平取付
3 25 1 75 0.667 250   250  
3 25 2 150 1.13 450   450  
3 50 1 150 1.13 500   500  
3 50 2 300 2.27 900   900  
6 50 1 300 2.27 700 500 700  
6 50 2 600 5.33 1100 900 1100 900
6 50 3 900 8.0 1300 1100 1400 1200
6 75 1 450 4.0 1000 850 1000 900
6 75 2 900 8.0 1600 1400 1700 1500
6 75 3 1350 13.0 1900 1600 2100 1800
6 75 4 1800 16.0 2200 1800 2500 2100
6 100 1 600 5.33 1300 1100 1400 1200
6 100 2 1200 10.7 2200 1600 2400 1800
6 100 3 1800 16.0 2500 2000 2900 2300
6 100 4 2400 21.3 2900 2300 3500 2800
6 150 1 900 8.0 1900 1400 2100 1500
6 150 2 1800 16.0 3000 1900 3500 2200
6 150 3 2700 24.0 3500 2300 4200 2800
6 150 4 3500 32.0 4100 2600 5100 3200

(8) 銅帯の接続ボルトの本数
接続ボルトの本数は、 短絡電流による電磁力とブスバーの強度計算をする必要があると思います。 
同方向で「吸引力」。逆方向で「反発力」が働く。

計算式は、三菱電機(株)ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器技術資料集より引用。ブスバーに働く電磁力の大きさは、
銅帯間隔 30〔mm〕の銅帯直下の短絡電流の大きさを 25〔kA〕と仮定すると短絡時の電磁力の大きさは、 約 4,166〔N〕

f = 2
 d 
× i1 × i2 × 10-7〔N/m〕
f :銅帯に働く力
d :銅帯間隔〔m〕
i1、i2 :電流瞬時値〔A〕

ブスバー


短絡電流が 25〔kA〕の場合、約 4,166〔N〕安全率 2 倍とすると、締結力は 8,200〔N〕以上欲しい。

【ボルトの疲労強度の例】
ねじの呼び 有効断面積
〔mm2
強度区分(12.9) 強度区分(10.9)
疲労強度
〔N/mm2
許容荷重〔N〕 疲労強度
〔N/mm2
許容荷重〔N〕
M4 8.78 128 1,117 89 774
M5 14.2 111 1,568 76 1,088
M6 20.1 104 2,087 73 1,460
M8 36.6 87 3,195 85 3,116
M10 58.0 73 4,204 72 4,145
M12 84.3 66 5,537 64 5,370
M14 115.0 60 6,880 59 6,762
M16 157.0 57 8,928 56 8,771

(9) 銅帯の締め付けトルク
JIS B1083:ねじの締付け通則 … トルクと締付け力との関係より引用

T = Tth + Tb = K・F・d〔N・m〕

T :締付けトルク
Tth :ねじ部トルク
Tb :座面トルク
K :トルク係数 … ボルト表面電気亜鉛めっき:0.17 と仮定
F :初期締付け力又は締付け力
d :ねじの呼び径〔mm〕

(10) 締め付けボルト本数
接触面積当たりの締付け圧力 Sf = 銅帯接触部面積〔mm2〕(a×b)× 3.92〔N〕
3.92:銅の締付け力〔N/mm2〕。4.90:アルミニューム締付け力〔N/mm2

必要ボルト数 n = Sf
 Ff 
〔本〕

ボルトを規定値で締結後、浸透液で確認したところ、ボルト周辺のみ浸透していないといわれている。 … 接触効率が悪い。
重ね合わせ長さ l が導体の厚さ D に比較して小さいと銅帯の部分は電流が通りにくく計算値よりも大きくなることがわかっている。

板状銅帯の接続あたっては重ね合わせの長さ l は銅帯の幅に無関係に 14D くらいにとり、ボルトの径は銅帯の厚さが厚いときは太くし、
ボルトの本数は銅帯の幅に対しボルトの頭径 × 2 につき 1 本の割で使えば集中抵抗が小さくなって電気的には適当である。
工業用電気加熱ハンドブック|電気書院刊 3.3 大電流母線より引用

接続効率

電気協同研究会遮断器実用性能専門委員会資料より引用

【主端子取付部穴明け数および使用ボルト径】
定格電流〔A〕 穴数 使用ボルト径〔mm〕
1,200 4 穴 12
800 4 穴 12
800 4 穴 12
600 2 穴 12
400 2 穴 12

第 3-2 項:分岐回路設計

分岐回路以降の保護対象と考え方は、

短絡保護とその考え方

(1) 短絡保護の技術計算は、第 6 編 電気設備の技術計算 第 2 章:動力設備の技術計算 第 5-3 項:短絡電流の計算を見てください。

ケーブルの過電流特性に配線用遮断器の動作特性曲線を重ねると、配線用遮断器の動作特性が配線過電流特性に沿っていることがわかります。
配線用遮断器は配線保護用で、他の機器保護は不向きといえます。
電線およびケーブルの短絡許容時間は 2 秒以下です。配線用遮断器の動作特性は、0.01 秒以上(交流半サイクル)が書かれています。
0.01 秒以下の動作は保証してないので、この時間よりも短い時間での保護は限流ヒューズを使って保護します。
ケーブルの過電流特性

(2) 主回路の保護協調

 選択遮断方式 
負荷回路のどの点で事故が発生しても、他の分岐回路および主幹遮断器に影響はなく事故回路のみを遮断する最も優れた方式です。
• 短時間遮断要素を持った配線用遮断器が必要
• 回路の短絡容量以上の遮断容量が必要です。
 カスケード遮断方式  … 最も安価で高速遮断ができる。
短絡事故のとき分岐配線用遮断器と主幹配線用遮断器を同時に動作させ、それぞれの遮断時のアークを分担して回路を遮断します。
分岐配線用遮断器よりも大きな電流を遮断できるので、見かけ上分岐配線用遮断器の遮断容量が大きくなります。
この方式は、電技解釈 第 33 条【低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等】で規定されています。

「短絡電流を遮断する能力」とは、全領域の短絡電流を遮断する能力のことであり、単一の過電流遮断器を使用する場合は最大短絡電流を
遮断する能力である「遮断容量」を有していれば、それ以下の短絡電流を遮断することは可能であるが、2 個の過電流遮断器を組み合わせて
1 つの過電流遮断器として使用する場合は、最大短絡電流を遮断する能力である遮断容量を有しているばかりでなく、遮断容量の大きい
過電流遮断器と遮断容量の小さい過電流遮断器との動作協調がとれていることを意味しています。構築の条件として、
• 組合せは配線用遮断器のメーカーの保証するものに限定されます。
• バックアップ遮断器の遮断電流波高値が、被バックアップ遮断器の機械的強度以下であること。
• 短絡電流遮断時の最大遮断ジュール積分(最大遮断I2t )が被バックアップ遮断器の熱的強度以下であること。
• 被バックアップ遮断器の全遮断特性曲線とバックアップ遮断器の開極特性曲線との交点(クロスポイント)が被バックアップ遮断器の
 定格遮断容量以内であること。

カスケード遮断

icon 最大遮断ジュール積分(最大遮断I2t )一般名は「通過電流 2 乗時間積」です。電気設備用語辞典を参照してください。
通過電流2乗時間積

 全容量遮断方式 
すべての遮断器がその設置点においてあらゆる故障電流を十分遮断できる構成されたものです。
上位の主幹配線用遮断器が同時に遮断されなくても分岐配線用遮断器のみでその系統の短絡容量を遮断できるよう選定します。
• 分岐配線用遮断器のみで十分遮断容量を持っている。
• 主幹配線用遮断器の瞬時遮断電流以下では、「選択遮断」それ以上の電流では「カスケード遮断」になります。

地絡保護の考え方

(1) 低圧電路地絡保護指針 JEAG 8101-1971
制定は古いが、接地工事のバイブル本です。今でも有効な指針です
電気機器の外箱と架台は、電気回路と誤って接触したとき危険な対地電圧の発生を防止し地絡検出器の動作を確実にするために接地します。
低い抵抗で機器を接地することは感電の危険性を少なくする有効な方法で、この接地を「保護接地」といいます。
詳しくは、電技解釈 第 29 条 「機械器具の金属製外箱等の接地」を見てください。表は JEAG 8101 の引用です。

【第 202-1 表 保護接地の種類と抵抗値】
種類 許容接触電圧〔V〕 接地抵抗値〔Ω〕
第 1 級保護接地 25 r ≦ 25/( E - 25 )× R2
第 2 級保護接地 50 r ≦ 50/( E - 50 )× R2
第 3 級保護接地 制限なし r ≦ 100
【第 104-1 表:許容接触電圧】
種別 接触状態 許容接触電圧
第 1 種 人体の大部分が水中にある状態 2.5〔V〕以下
第 2 種 人体が著しくぬれている状態
金属製の電気機械装置や構造物に人体の一部が常時触れている状態
25〔V〕以下
第 3 種 第 1、2 種以外の場合で、通常の人体状態において接触電圧が加わると、危険性が高い状態 50〔V〕以下
第 4 種 第 1、2 種以外の場合で、通常人体状態において、接触電圧が加わっても危険性の低い状態
接触電圧が加わるおそれがない場合
制限なし

(2) 漏電遮断器方式
日本の湿度の高い気象、大地抵抗の低い土壌などを考えると有効な地絡保護といえます。

漏電遮断器方式の長所
• 地絡を検出したとき、0.1 秒程度の高速遮断ができるので感電保護に有効な方法です。
 また、感度定格電流と動作時間によって、機器保護や人体の感電保護の選択ができる。
• 漏電遮断器施設以降の電路の地絡保護ができる。(電路ごとに単独保護ができる。)
• 地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設すれば、D 種接地工事の抵抗値を 500〔Ω〕に緩和できる。

漏電遮断器方式の短所
• 電路保護の信頼依頼性を高めるため、分岐回路ごとに漏電遮断器を設置するため設備費がかかる。

(3) 漏電警報方式
整定値以上の漏電電流が流れた場合、警報を出す。

漏電警報方式の長所
• 地絡が生じたとき、軽微なうちに早期発見ができるので漏電火災に最適である。
• 検出器を施設した点以降の電路でのすべての地絡を検出できる。
• 自動遮断しないので、生産上特に重要な電路の保護に適する。

漏電警報方式の短所
• 感電に対する直接保護ができない。
• 保護効果を確保するために、漏電遮断器方式と併用が必要。
• 警報を出してもオペレータが気づかなければ無意味になる。

(4) 過電流遮断方式
内線規程の接地保護の考え方です。

過電流遮断方式の長所
• 信頼度の高い配線用遮断器を利用して地絡事故を生じた電路を迅速確実に保護できる。
• 電路の金属配管などを地絡電流帰路となる地絡専用線に利用するので経済的に構成できる。

過電流遮断方式の短所
• 地絡が生じて遮断されるまでの間、許容値を超える接触電圧が生じる恐れがある。
• 感電保護ができない。

(5) 絶縁変圧器方式
絶縁変圧器の 2 次側を非接地方式として運用する。

絶縁変圧器方式方式の長所
• 地絡時に充電部に接触電圧が生じないので、感電保護ができる。

絶縁変圧器方式の短所
• 地絡が生じても検出できない。
• 電路の地絡保護の信頼性の上から大規模電路には不向き。
• 混触防止板付きの変圧器が必要になる。

感電保護の考え方

(1) 人体通過電流時間積 30〔mA・s〕
• 定格感度電流 30〔mA〕以下
• 漏電遮断動作までの電流・時間積 30〔mA・s〕以内 … 高速形を採用する根拠。
• 通常は接地工事を行うので(定格感度電流)×(接地抵抗値)≦(許容接触電圧)の関係が保たれるように選定すれば定格感度電流は30mAに
 こだわることなく 200〔mA〕や 500〔mA〕でも感電保護が可能です。

保護接地抵抗を極力小さくして架台の接地抵抗を大きくすれば、200〔mA〕や 500〔mA〕の漏電遮断でも人体に流れる電流を 30〔mA〕以下に
することは可能です。
感電保護

【各領域における生理学上の影響】
領域名 領域の範囲 生理学上の影響
AC-1 曲線 a 以下 通常無反応。
AC-2 曲線 a と曲線 b の間 通常有害な生理的影響はない。
AC-3 曲線 B と曲線c1 の間 通常、器官の損傷は予期していない。電流が 2 秒より長く持続すると、けいれん性の筋収縮や呼吸困難のおそれがある。
心房細動や一時的心停止を含む。
AC-4 曲線 c1 を超える 大きさや時間とともに増大し、心停止、呼吸停止、重度のやけどのような病理生理学上の危険な影響が起こる可能性がある。
AC-4.1 c1 ~ c2 領域 AC-3 の影響に加えて心室細動の確率が 5%まで増加。
AC-4.2 c2 ~ c3 領域 AC-3 の影響に加えて心室細動の確率が 50%まで増加。
AC-4.3 曲線 c3 を超える 領域 AC-3 の影響に加えて心室細動の確率が 50%を超えて増加。
感電電流

(2) TN 接地系統 (欧米)の考え方
人体の感電事故で主幹を遮断させる方法と、個別回路の保護目的ごとに漏電遮断器を入れる日本の方式の考え方はどちらが有利かがわかると
思います。欧州の土壌が岩盤のため日本のような接地方式が取れないので「等電位ボンディング接地」を採用しています。
TN 接地系統 (欧米)

分岐回路の電線保護の考え方

電線の電流に関するキーワードは、電流の大きさ順に 「短絡時許容電流」   「短時間許容電流」  「定格電流」になります。

(1) 電線の種類
icon 電線の電気的特性は、第 4 編 電気設備工事設計・施工第 1 節: 電力用ケーブルの特性に記載しています。

(2) 配線用遮断器で保護できる電線サイズ
短絡電流の大きさは、数式を用いて計算しても不明なパラメータが多いことや短絡点の条件により短絡電流の値が異なるため正確な値を
求めることはできません。一般的には、メーカのカタログ値を用いて設計します。

【配線用遮断器で保護可能な電線】    ○:保護可
電線
サイズ
許容電流
〔A〕
配線用遮断器定格電流〔A〕
10 20 30 40 50 60 75 100 125 150 175 200 225 250 300 350 500 400 600
2 27                                  
3.5 37                                
5.5 49                            
8 61                          
14 88                        
22 115                    
38 162                
60 217            
100 298        
150 395    
200 469  
250 556
325 650
400 745
500 842

(3) 電線・ケーブルの過電流特性
配線用遮断器は動作時間に幅はあるが、短絡電流を 0.1 秒以上 2 秒以下で遮断します。
CVケーブルの短絡容量
ビニル電線短絡容量
※CV ケーブルの電流時間特性は、三菱電機配線用遮断器のカタログから引用したが、どうも特性曲線の傾きがおかしい。
CVケーブル

(4) 電線・ケーブルの短絡時許容電流計算式
短絡継続時間内は 2 秒以下と短いため、電線またはケーブルの導体に発生した熱量は、導体部分から絶縁体に向って放射されるひまがなく、 もっぱら導体内部に蓄積されるものと考えられます。詳しい計算式は、JCS_0168-2:低圧ケーブルの許容電流計算にあります。
短絡許容電流

Q :導体の熱容量(銅)…3.4〔J/℃・cm3
S :導体の断面積〔mm2
α :20℃における導体の温度係数(銅)…0.00393
r1 :20℃における交流導体抵抗〔Ω/cm〕
T1 :短絡前の導体温度〔℃〕
T2 :短絡時の最高許容温度〔℃〕
t :短絡電流の持続時間〔sec〕

電線に大電流が短時間(JIS C60364-4-43では 5 S 以下)流れた場合、発生した熱がすべて導体に蓄積されるものとすると、
次の簡略式が成り立ちます。実用上瞬時許容電流の厳密に計算しても意味がなく、この概算式で十分で広く一般に使用されています。

瞬時許容電流 I〔A〕=係数 k × $ \displaystyle \frac{電線の断面積 \ A \ 〔mm^2〕}{\sqrt{短絡時間 \ (T_{s})}} $

導体の種類 温度上昇 簡易計算式
IV 線 60 ℃→ 120 ℃ $I=96 \displaystyle \frac{A}{\sqrt{t}}\ 〔A〕$
CV ケーブル 90 ℃→ 230 ℃ $I=134 \displaystyle \frac{A}{\sqrt{t}}\ 〔A〕$

(5) 電線の短絡電流許容量

$\Bigl( \displaystyle \frac{I}{S} \Bigr)^2 \times t=5.05 \times 10^4 \times \ln \displaystyle \frac{234+T}{234+T_{0}} $

I :短絡電流実効値〔A〕
S :電線の断面積〔mm2
t :短絡電流通過時間〔s〕
T :短絡時の導体温度〔℃〕
T0 :短絡前の導体温度〔℃〕

IV 電線の絶縁被覆の厚みが異なるため、8mm2 以下の温度上昇限度は 300℃ 。14mm2 以上は 150℃ で I2t を計算する例が多い。
※ I2t (通過電流 2 乗時間積)は、icon 電気設備用語辞典 通過電流 2 乗時間積 を参照してください。

【電線の温度が 60℃ から 150℃ に達する I2t 】
電線サイズ 許容 I2t〔A2・s〕 許容短絡電流
対称値 Is〔kA〕
力率
2 0.056 ×106 2.34 (0.9)
3.5 0.172 ×106 4.08 (0.9)
5.5 0.424 ×106 6.24 (0.8)
8 0.896 ×106 8.41 (0.6)
14 2.74 ×106 14.0 (0.5)
22 6.78 ×106 15.2 (0.3)
30 13.6 ×106 20.7 (0.3)
38 20.2 ×106 26.2 (0.3)
50 35 ×106 34.5 (0.3)
60 50.4 ×106 41.4 (0.3)
80 89.6 ×106 55.2 (0.3)
100 140 ×106 69.0 (0.3)
125 219 ×106 86.2 (0.3)
150 315 ×106 103 (0.3)
200 560 ×106 138 (0.3)
250 875 ×106 172 (0.3)
IV 線 I2t

(6) 電線・ケーブルの短時間許容電流計算式
短時間許容電流の計算式 … 【出典】電線工業会
 短時間の定義:数時間。温度上昇 10 ~ 15〔deg〕。短時間許容温度での運用可能時間は、累積時間で 10 時間以内/月。
短時間許容電流

I3 :短時間許容電流〔A〕
I1 :常時許容電流または過負荷電流が流れる前の導体電流〔A〕
T6 :短時間許容温度〔℃〕
T1 :常時許容温度または過負荷電流が流れる前の導体温度〔℃〕
n :線心数
r2 :短時許容温度での交流導体抵抗〔Ω/cm〕
r :常時許容温度または過負荷電流が流れる前の導体温度での交流導体抵抗〔Ω/cm〕
Rint :ケーブル部分熱抵抗〔℃・cm/W〕(表面放散熱抵抗を含む)
Rout :管路および土壌部分の熱抵抗〔℃・cm/W〕
α1 :ケーブル部分温度上昇の時定数の逆数( 1 /時)この値は導体サイズ、ケーブル種類によって異なる。

(7) 電線・ケーブルの過負荷の例
電線およびケーブルの過電流事故は、「過負荷電流」「負荷量の増加」があります。
過電流事故

盤内主要機器の保護

(1) インバータユニット、サーボアンプ、スイッチング電源ユニット
これらの機器は機器内に大容量のコンデンサがあるため、電源投入の 1 サイクル目に大きな突入電流が流れます。
突入電流の電流値は、入力の定格電流の 10 ~ 100 倍程度ですが、時間が〔μs〕と短いため、1 次側の配線用遮断器は動作することはありません。
メーカが推奨する配線用遮断器を用います。

(2) パワーデバイス(SCR、パワー MOS-FET など)を使った機器の保護
短絡事故や地絡事故が発生すると、パワーデバイスを使った回路でも大きな電流が流れます。半導体素子の通過電流時間積 I2t の値は小さく、
通常の配線用遮断器では保護できません。パワーデバイスは、限流ヒューズを使って過電流保護をします。

限流ヒューズは、第 5 項:主要部品の特性 icon 限流ヒューズのカタログデータの見方で 詳しく説明します。

変圧器の保護

(1) 変圧器の保護協調
配線用遮断器は電線やケーブルを保護する目的の機器なので、配線用遮断器で変圧器を保護することは難しい。
変圧器内の電磁鋼板は磁気飽和近くまで磁束を高めるている。電源再投入の際、磁束方向と同じ方向の電圧がかかると簡単に磁気飽和が発生し、
磁気抵抗が小さくなり励磁電流が一気に増えます。これを「励磁突入電流」といいます。
配線用遮断器の選択は、配線用遮断器の遮断特性 > 変圧器の励磁突入電流 × 励磁突入電流の継続時間になるように選定します。

富士電機配線用遮断器カタログから引用 … 励磁突入電流 < 配線用遮断器瞬時引き外し電流値( 0.01 秒実効値)
※突入電流波高値倍数を 20kVA 以下:23.5 倍、20kVA 超:18倍 として計算しています。

変圧器の 1 次側は巻線の短絡保護の配線用遮断器を、2 次側には変圧器の負荷の短絡保護および過電流保護の配線用遮断器を取り付けます。
変圧器の保護協調

【 3 相変圧器 200-220V/105V 】
変圧器容量
〔kVA〕
定格一次電流
〔A〕
励磁突入電流
〔A〕
0.5 1.3 30.8
1 2.6 61.7
1.5 3.9 92.5
2 5.2 123.3
3 7.9 185.0
5 13.1 308.4
7.5 19.7 462.5
10 26.2 616.7
15 39.4 925.1
20 52.5 1233.4
30 78.7 1417.1
50 131.2 2361.9
75 196.8 3542.8
100 262.4 4723.8
150 393.6 7085.7
200 524.9 9447.6
【 3 相変圧器 400-440V/210V 】
変圧器容量
〔kVA〕
定格一次電流
〔A〕
励磁突入電流
〔A〕
0.5 0.7 15.4
1 1.3 30.8
1.5 2.0 46.3
2 2.6 61.7
3 3.9 92.5
5 6.6 154.2
7.5 9.8 231.3
10 13.1 308.4
15 19.7 462.5
20 26.2 616.7
30 39.4 708.6
50 65.6 1180.9
75 98.4 1771.4
100 131.2 2361.9
150 196.8 3542.8
200 262.4 4723.8

【 単相変圧器 200-220V/100-110V 】
変圧器容量
〔kVA〕
定格一次電流
〔A〕
励磁突入電流
〔A〕
0.5 2.3 56.8
1 4.5 113.6
1.5 6.8 170.5
2 9.1 227.3
3 13.6 340.9
5 22.7 568.2
7.5 34.1 852.3
10 45.5 1136.4
15 68.2 1704.5
20 90.9 2272.7
30 136.4 3409.1
50 227.3 5681.8
75 340.9 8522.7
100 454.5 11363.6
【単相変圧器 400-440V/210-105V 】
変圧器容量
〔kVA〕
定格一次電流
〔A〕
励磁突入電流
〔A〕
0.5 1.1 28.4
1 2.3 56.8
1.5 3.4 85.2
2 4.5 113.6
3 6.8 170.5
5 11.4 284.1
7.5 17.0 426.1
10 22.7 568.2
15 34.1 852.3
20 45.5 1136.4
30 68.2 1704.5
50 113.6 2840.9
75 170.5 4261.4
100 227.3 5681.8
【励磁突入電流の大きさの例】
容量
〔kVA〕
単相モールド変圧器 三相モールド変圧器
第 1 波波高値
(波高値)
減衰時定数
(サイクル)
第 1 波波高値
(波高値)
減衰時定数
(サイクル)
5 45 2 32 2
10 43 2 31 3
20 43 3 26 3
30 37 3 24 3
50 35 4 22 4
75 30 6 15 5
100 27 7 15 5
150 24 8 15 6
200 21 10 14 6
300 17 12 12 8
500 19 12 12 15


※第 1 波波高値(波高値)は、 1 次側定格電流に対する倍数です。

(2) 励磁突入電流を抑える方法
SCR などを用いて変圧器の電力調整を行こなう回路では、SCR の立ち上がりの位相制御のゲートオンタイミングを 1 秒程度のランプ関数で
出力をオンします。理由は励磁突入電流を抑制するためです。
SCR 出力を 0〔%〕にするときは、位相制御のゲートオンタイミングを 2 秒程度のランプ関数で立ち下げれば、変圧器の容量に無関係に
残留磁束を消磁できます。その理由は、ほとんどの変圧器の最大磁束密度は 1.8〔T〕以下で使っているためです。
鉄心の消磁

誘導電動機の保護

(1) 熱動形継電器(サーマルリレー)による保護
メーカカタログの電動機ごとに配線用遮断器と熱動形継電器の組わせ表があるので、この値を用いて設計します。
配線用遮断器と電磁開閉器を使って、短絡事故、拘束事故、過電流事故から配線および電動機を保護しています。
電動機の保護

始動時間が長い場合は、飽和リアクトル付きの熱動形継電器を用います。
始動時間が長くて熱動形継電器が動作したかの判断は、電動機の外郭温度が室温と同じ程度に低いので判断ができます。
飽和リアクトル付きサーマル

整定電流 6 倍では、飽和リアクトル付きサーマルリレーの動作時間が長くなっています。
飽和リアクトル有無の特性を比較すると、電流整定倍率 2 倍以上では傾きが異なっています。これは、飽和リアクトル電流特性が非直線のためです。
特性が非直線であれば、素人はリアクトルの磁気回路計算が無理です。メーカのカタログに頼るのが得策です。
飽和リアクトル

(2) 熱動形継電器のコールドスタート、ホットスタートとは
コールドスタートは始動時の拘束事故の保護特性曲線、ホットスタートは運転中の過電流保護特性曲線です。
運転中は、熱動形継電器のヒータエレメントが電動機の負荷電流で予熱されているので遮断時間が短いのが特徴です。
ホットスタート、コールドスタート特性

(3) 熱動形継電器の取り扱いで注意すること
線路電流から電動機内部コイルの温度を推定しているので正確な巻線温度ではありません。欠相運転の検出ができない場合があります。

熱動継電器の温度補正

(4) 三相誘導電動機 Y 結線の欠相運転時の電流

Y 結線の欠相電流
 拘束時線電流の 0.87 倍。
 全負荷時線電流の 1.73 倍。


(5) 三相誘導電動機 △ 結線|外線欠相運転時の電流

△ 結線の外線欠相電流
 拘束時線電流の 0.87 倍。
 全負荷時線電流の 1.73 倍。
 全負荷時相電流の 2.0 倍 or 1.0 倍。


(6) 三相誘導電動機 △ 結線|内線欠相運転時の電流

△ 結線の内線欠相電流
 拘束時線電流の 0.58 倍。
 全負荷時線電流の 0.87 倍。 …  2 素子熱動継電器では欠相運転を検出できないことがある。
 全負荷時相電流の 1.5 倍。


(7) 熱動形継電器は三相誘導電動機の過電流保護専用です。
電力ヒータなどの過電流保護に適してないので、電動機以外の保護に使わないでください。

(8) 400〔V〕系の電動機回路に電流計を取り付けるときは必ず変流器を介して配線する。その理由は、
• 回線がすべて対地間電圧があるため変流器がない場合、電流計の端子に触れると感電する。
• 電流計配線と主回路線を明確に分けるなど。
400V 誘導電動機

第 3-3 項:電圧変動と電圧降下

電圧降下の基準

(1) 電圧降下の考え方
電圧変動(電圧降下)は電源品質上の問題であり、技術的な問題ではないので電技解釈にその規定はありません。

電気事業法施行規則 第 38 条【電圧および周波数の値】の解釈は、一般用電気工作物( 600V 以下の受電)への電気を供給する場所
(引込線の接続点)においての受電電圧を決めたものです。高圧受電設備の場合は事業用電気工作物の規定になるので、電気事業法施行規則
第 38 条は、その適用除外になります。

【第 38 条 電圧および周波数の値】
標準電圧 維持すべき値
100V 101V の上下 6V を超えない値
200V 202V の上下 20V を超えない値
内線規程 JEAC8001-2011 の電圧降下|条文の抜粋
1310項:電圧降下 1310-1〔電圧降下〕(対応省令:第4条) … この条文は一般用電気工作物向けの「勧告」であって説得力はありません。
  1. 低圧配線中の電圧降下は幹線および分岐回路においてそれぞれ標準電圧の 2 %以下とすること。
    ただし、電気使用場所内の変圧器により供給される場合の幹線の電圧降下は 3 %以下とすることができる。〔勧告〕
〔注-01〕 引込線取付点から引込口までの部分も幹線に含めて計算すること。
〔注-02〕 電気使用場所内に設けた変圧器から供給する場合はその変圧器の二次側端子から主配電盤までの部分も幹線に含める。
〔注-03〕 配線方式、負荷電流および電線太さによる電圧降下の値については資料 1-3-2 参照のこと。
  1. 供給変圧器の二次側端子(電気事業者から低圧で電気の供給を受けている場合は、引込線取付点)から最遠端の負荷に至る電線の
    こう長が 60m を超える場合の電圧降下は、前項にかかわらず、負荷電流により計算し 1310-1 表によることができる。〔勧告〕
【1310-01 表 こう長が 60m を超える場合の電圧降下】
供給変圧器の 2 次側端子または
引き込み線取付け点から最遠端の
負荷に至る間の電線のこう長〔m〕
電圧降下〔%〕
電気使用場所内に
設けた変圧器から
供給する場合
電気事業者から
低圧で電気の供給を
受けている場合
120 以下 5 以下 4 以下
200 以下 6 以下 5 以下
200 超過 7 以下 6 以下

(2) 定常電圧降下
配電路のケーブル、変圧器などにインピーダンスがあるため、負荷電流が回路に流れると電圧降下が生じます。
電圧降下が大きいと電力の損失や生産設備能力の低下などの問題が発生します。電圧降下ができるだけ小さくなるように電線やケーブルサイズなど
選定する必要があります。

電圧降下の計算内線規程 JEAC 8001:資料番号 1-3-2「電線最大こう長表」より引用

単相 2 線式(電圧降下 1V 銅線)
電流
〔A〕
単線〔mm〕 より線〔mm2
1.6 2 2.6 3.2 14 22 38 60 100 150 200 250 325 400 500
1 56 88 149 226 384 606 1020 1650 2780 4240 5420 6990 8930 11100 13500
2 28 44 75 113 192 303 512 823 1390 2120 2710 3490 4460 5550 6760
3 19 29 50 75 128 202 342 548 927 1410 1810 2330 2980 3700 4510
4 14 22 37 57 96 152 256 411 696 1060 1350 1750 2230 2780 3380
5 11 18 30 45 77 121 205 329 556 848 1080 1400 1780 2220 2710
6 9.3 15 25 38 64 101 171 274 464 707 903 1160 1490 1850 2260
7 8 13 21 32 55 87 146 235 397 606 774 998 1280 1590 1930
8 7 11 19 28 48 76 128 206 348 530 677 873 1120 1390 1690
9 6.2 9.8 17 25 43 67 114 183 309 471 602 776 992 1230 1500
12 4.7 7.4 12 19 32 51 85 137 232 353 451 582 744 926 1130
14 4 6.3 11 16 27 43 73 118 199 303 386 499 637 793 966
15 3.7 5.9 10 15 26 40 68 110 185 282 361 466 595 740 902
16 3.5 5.5 9.3 14 24 38 64 103 174 265 338 436 558 694 845
18 3.1 4.9 8.3 13 21 34 57 91 155 236 301 388 496 617 751
25 2.2 3.5 6 9 15 24 41 66 111 170 217 279 357 444 541
35 1.6 2.5 4.3 6.5 11 17 29 47 79 121 155 200 255 317 386
45 1.2 2 3.3 5 8.5 13 23 37 62 94 120 155 198 247 301
〔備考 1〕 電圧降下が 2V 又は 3V の場合は、電線こう長はそれぞれ本表の 2 倍又は 3 倍となる。他もまたこの例による。
〔備考 2〕 電流が 20A 又は 200A の場合は、電線こう長はそれぞれ本表の 2A の場合の 1/10 又は 1/100 となる。他もまたこの例による。
〔備考 3〕 より線 5.5mm2 及び 8mm2 の場合は、それぞれ単線 2.6mm 及び 3.2mm に対する電線最大こう長の数字をとってよい。
1.6mm は、2mm2 と同じ。2.0mm は、3.5mm2 と同じ。
〔備考 4〕 本表は、力率 1 として計算したものである。
三相 3 線式(電圧降下 2V 銅線)
電流
〔A〕
単線〔mm〕 より線〔mm2
1.6 2.0 2.6 3.2 14 22 38 60 100 150 200 250 325 400 500
1 129 204 345 522 888 1400 2370 3800 6430 9800 12500 16100 20600 25700 31200
2 65 102 172 261 444 701 1180 1900 3210 4900 6260 8070 10300 12800 15600
3 43 68 115 174 296 467 788 1270 2140 3270 4170 5380 6870 8550 10400
4 32 51 86 131 222 351 592 951 1610 2450 3130 4030 5150 6410 7810
5 26 41 69 104 178 280 473 760 1290 1960 2500 3230 4120 5130 6250
6 22 34 57 87 148 234 394 634 1070 1630 2080 2690 3440 4280 5210
7 18 29 49 75 127 200 338 543 918 1400 1790 2310 2950 3660 4460
8 16 26 43 65 111 175 296 475 803 1230 1560 2020 2580 3210 3900
9 14 23 38 58 99 156 263 422 714 1090 1390 1790 2290 2850 3470
12 11 17 29 44 74 117 197 317 535 816 1040 1340 1720 2140 2600
14 9.2 15 25 37 63 100 169 272 459 700 894 1150 1470 1830 2230
15 8.6 14 23 35 59 93 158 253 428 653 834 1080 1370 1710 2080
16 8.1 13 22 33 55 88 148 238 401 612 782 1010 1290 1600 1950
18 7.2 11 19 29 49 78 131 211 357 544 695 896 1150 1430 1740
25 5.2 8.2 14 21 36 56 95 152 257 392 500 645 825 1030 1250
35 3.7 5.8 9.9 15 25 40 68 109 184 280 357 461 589 733 893
45 2.9 4.5 7.7 12 20 31 53 84 143 218 278 359 458 570 694
〔備考 1〕 電圧降下が 4V 又は 6V の場合は、電線こう長はそれぞれ本表の 2 倍又は 3 倍となる。他もまたこの例による。
〔備考 2〕 電流が 20A 又は 200A の場合は、電線こう長はそれぞれ本表の 2A の場合の 1/10 又は 1/100 となる。他もまたこの例による。
〔備考 3〕 より線 5.5mm2 及び 8mm2 の場合は、それぞれ単線 2.6mm 及び 3.2mm に対する電線最大こう長の数字をとってよい。
1.6mm は、2mm2 と同じ。2.0mm は、3.5mm2 と同じ。
〔備考 4〕 本表は、力率 1 として計算したものである。

電圧降下の計算

(1) 比較的に電線こう長が短く電線が細い場合は、以下の計算式により電圧降下値を計算することができる。

e :電圧降下〔V〕
I :負荷電流〔A〕
L :電線のこう長〔m〕
A :使用電線の断面積〔mm2
配電方式 電圧降下計算式 対象電圧降下
直流 2 線式
単相 3 線式
$ e= \displaystyle \frac{ 35.6 \times L \times I }{ 1000 \times A } \ 〔V〕$ 電圧線間
三相 3 線式 $ e= \displaystyle \frac{ 30.8 \times L \times I }{ 1000 \times A } \ 〔V〕$ 電圧線間
単相 3 線式
三相 4 線式
$ e= \displaystyle \frac{ 17.8 \times L \times I }{ 1000 \times A } \ 〔V〕$ 電圧線~中性線間

35.6、30.8、17.8 の係数について

電気抵抗〔Ω〕= 1
 58 × 0.97 
× 1
 A 
17.8
 1000 
× 1
 A 

単相 3 線式は、17.8 × 1 倍。
三相 3 線式は、17.8 ×√3 倍。≒ 30.8
単相 2 線式は、17.8 × 2 倍。= 35.6

(2) 電圧降下の簡易計算

•  負荷電流 〔A〕
•  電線長さ 〔m〕
•  断面積  〔mm2〕 …  3.5, 5.5, 8, 14, 22, 38, 60, 100, 150, 200, 250, 325 の中から選択する。



• 電圧降下
 単相 3 線式の電圧降下:〔V〕
 三相 3 線式の電圧降下:〔V〕
 三相 4 線式の電圧降下:〔V〕

(3) ケーブル特性を考慮した電圧降下の計算
icon Excel を使った計算例:Excel_2020-1117.xlsx
データ入力のセルにカーソルを乗せると入力候補が表示される。リスト上の値をクリックしてください。
入力画面

配電線路の中性線に対する 1 相分の等価回路 …  電圧降下 e = K1 I (R cosθr+ X sinθr)L 
電圧降下ベクトル

e :電圧降下〔V〕
K1 :配線方式による係数
 • 単相 3 線式は 17.8 × 1 倍。
 • 三相 3 線式は 17.8 ×√3 倍。
 • 単相 2 線式は 17.8 × 2 倍。
I :通電電流〔A〕
R :電線 1km あたりの交流導体抵抗〔Ω/km〕
X :電線 1km あたりのリアクタンス〔Ω/km〕
cosθr :負荷端力率
L :電線のこう長〔km〕

送電端電圧 ES がわかっているときの電圧降下計算式:
$$ E_{R} = \sqrt{ E_{S}^2 - ( \ IX \cos \theta - IR \sin \theta \ )^2 } - ( \ IR \cos \theta + IX \sin \theta \ ) $$

(4) 単相 2 線式
電圧降下量は負荷電流の大きさに比例するので、単線 2 線式の場合は電圧降下の大きさは、往復分 17.8 × 2 倍になる。
単相 2 線式

(5) 三相 3 線式
線電流の大きさは負荷電流の大きさの √3 倍の大きさなので 17.8 × √3 倍になる。
三相 3 線式

(6) 三相 4 線式
三相 4 線式または単相 3 線式の場合は、平衡負荷を前提に考えているので中性線に電流は流れない。
よって中性線の電圧降下量は 0 として考えるので、17.8 × 1 倍。
三相 4 線式

供給変圧器の二次側端子又は引込・取り付き点から
最遠端の負荷に至る間の電線のこう長
電圧降下〔%〕
電気使用場所に設けた変圧器から供給する場合 電気事業者から低圧で電気の供給を受けている場合
分岐回路 幹線 合計 分岐回路 幹線 合計
60〔m〕以下 2〔%〕以下 3〔%〕以下 --- 2〔%〕以下 2〔%〕以下 ---
60〔m〕超過、120〔m〕以下 --- --- 5〔%〕以下 --- --- 4〔%〕以下
120〔m〕超過、200〔m〕以下 --- --- 6〔%〕以下 --- --- 5〔%〕以下
200〔m〕超過 --- --- 7〔%〕以下 --- --- 6〔%〕以下

電圧変動が電気機器におよぼす影響

(1) 誘導電動機の電圧変動 … JEM 2137:誘導電動機を参考
誘導電動機のインバーター駆動が一般的になり、電圧定格や周波数定格を重視しなくなったが、定格や多重定格の意味を理解しないといけないと
考えています。

領域 A 内の電圧変化および周波数変化に対し誘導電動機は、定格トルク値〔N・m〕において連続的に運転して支障があってはならず、
領域 B 内の電圧変化および周波数変化に対しては、定格トルク値〔N・m〕において運転して事実上支障があってはならない。
誘導機が多重定格電圧または定格電圧を有する場合、温度上昇限度はおのおのの定格電圧に対し適用する。
誘導電動機電圧・周波数特性

電圧変動が ± 5〔%〕の場合、連続運転において定格トルク値〔N・m〕の変動に支障があってはならない。
電圧変動が ±10〔%〕の場合、運転中に定格トルク値〔N・m〕の変動に支障があってはならない。

電圧変動が起きると定格トルクが変動し誘導電動機の電流も変化します。
多重定格電圧の場合は、耐熱クラスを超えない範囲で定格電流を修正する必要があります。

【誘導電動機の過不足電圧による特性変化】
項目 電圧の影響 90% 110% 120%
始動トルクおよび最大トルク V2 -19〔%〕 +21〔%〕 +44〔%〕
すべり 1/V2 +23〔%〕 -17〔%〕 -30〔%〕
全負荷(効率)   - 2〔%〕 + 5 ~ + 1〔%〕 少し増加
3/4 負荷(効率)   あまり変化はない あまり変化はない -5 ~ - 2〔%〕
全負荷(力率)   + 1〔%〕 - 3〔%〕 - 5 ~ - 15〔%〕
3/4 負荷(力率)   + 2 ~ + 3〔%〕 - 4〔%〕 - 10 ~ - 30〔%〕
全負荷電流   + 11〔%〕 - 7〔%〕 - 11〔%〕
始動電流 V - 10 ~ - 12〔%〕 + 10 ~ + 12〔%〕 + 25〔%〕
全負荷時の温度上昇   + 6 ~ + 7〔deg〕 - 3 ~ - 4〔deg〕 - 5 ~ - 6〔deg〕
最大負荷容量 V2 - 19〔%〕 + 21〔%〕 ± 44〔%〕

三相誘導電動機

三相誘導電動機の始動時に電圧降下などが発生しても「始動トルク」や「定格トルク」にほとんど影響はない。
トルク $τ = \dfrac{p}{4 \pi f} \times \dfrac{E _{20}^2}{(r_{2}/s)^2 - x_{2}^2 } \times \dfrac{r_2}{s} $ 〔N・m〕 … ここではあまり重要な意味はないが、トルクの計算式です。

p :極数
f :周波数〔Hz〕
E20 :回転子静止時 2 次起電力( 1 相あたり)
r2 : 2 次巻線抵抗〔Ω〕
x2 : 2 次巻線 静止時リアクタンス〔Ω〕
s :すべり

三相誘導電時トルク特性

(2) LED ライト
LED ライトの電源は定電流方式のため、電圧変動の影響はありません。

(3) ヒータ
電圧変動の 2 乗に比例して出力が変動します。電力調整ユニットが定電力設定になっていれば、電圧変動の影響はありません。

(4) コンデンサ
コンデンサの無効電力出力は、電圧の 2 乗に比例します。
電圧が -10〔%〕のとき無効電力出力は -20〔%〕になります。力率改善効果も -20〔%〕になります。

(5) 電磁接触器、電磁開閉器
電磁接触器の付勢と消勢の間に 2〔%〕の余裕があるため電圧降下を起こしてもマグネットがバタつかない。

コイルの動作 付勢電圧および消勢電圧
付勢(オン) 定格電圧の 60 ~ 75〔%〕
消勢(オフ) 定格電圧の 38 ~ 58〔%〕

第 3-4 項:(有接点式)シーケンス回路設計

シーケンス図

【シーケン図の方式】
名称 説明
CWD(Control Wiring Diagram) :装置・盤、機器の境界を明確にし、これらのケーブル接続を中心に表す方式。
EWD(Elementary Wiring Diagram) :装置・盤、機器などの動作・機能を中心に表す方式。
ECWD :動作・機能に加え、ケーブル接続も表した方式。

詳しくは、icon 設計図面および製作仕様書 Chevron-icon 第 1 項:電気設備工事でよく使う図書の種類を参照願います。

第 3-5 項:主要部品の特性

配線用遮断器

(1) 選定に係る検討項目
三菱電機(株)ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器技術資料集より引用

【遮断器選定時の主要検討項目】
検討項目 検討内容
極数、定格電圧の決定 接地方式、交直流、相線式、電圧、周波数
定格電流の決定 負荷の種類、負荷電流、使用条件
電線の決定 電線の種類・サイズ、許容電流
定格遮断容量の決定 推定短絡電流、変圧器容量、電線の仕様、盤の短絡容量 SCCR(米国)
協調の検討 動作特性、負荷特性、遮断方式、過電圧カテゴリー
特殊仕様の決定 特殊用途・仕様
設置方法 取付方法、接続の種別
付属装置 内部付属、外部付属、電気操作
使用環境 特殊環境用(低温用など)
経済性 価格、寿命、保守

(2) 電動機分岐回路における配線用遮断器の選定
三菱電機(株)ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器技術資料集より引用

 全電圧始動(じか入れ始動)の場合
始動突入電流(波高値)は、始動電流(実効値)の 2 倍となる。最大始動電流を電動機全負荷電流の 8 倍とすると、始動突入電流(波高値)は
全負荷電流(実効値)の 16 倍となる。
したがって、配線用遮断器の瞬時引きはずし電流値(実効値で表わされるから)は、電動機全負荷電流(実効値)の 12 倍以上としなければならない。
 スターデルタ始動の場合( Open transition 方式)
始動突入電流(波高値)は全負荷電流(実効値)の 23 倍 $ \biggl[ 8 × 1.8 × \biggl(1 + \displaystyle \frac{1}{\sqrt{ 3 }} \biggr) \biggl] $ となる。 (力率を 0.4 とした場合である。)
したがって、配線用遮断器の瞬時引きはずし電流値(実効値)は、電動機全負荷電流(実効値)の 17 倍以上としなければならない。
【スターデルタ始動電流波高値】
電動機容量 直入れ始動時の
最大始動電流
始動突入電流
直入れ始動 Y - Δ 始動
0.2 ~ 7.5〔kW〕  8 倍 12 倍 16 倍
11 ~ 55〔kW〕  8 倍 12 倍 17 倍
75 ~ 150〔kW〕  8 倍 14 倍 18 倍

スターデルタ始動回路電流波高値

 瞬時再始動の場合
27 倍( 8 × 1.7 × 2 )となる。(力率を 0.5とした場合である。)
したがって、配線用遮断器の瞬時引きはずし電流値(実効値)は、電動機全負荷電流(実効値)の 19 倍以上としなければならない。
 逆転制動(プラッギング)
残留電圧の影響と、すべり= 2 となることによる始動電流の増加分を含めて 2 倍とすると、始動突入電流(波高値)は、全負荷電流(実効値)の
42 倍( 8 × 2. 6 × 2 )となる。(力率を 0.05 とした場合である。)
したがって、配線用遮断器の瞬時引きはずし電流値(実効値)は電動機全負荷電流(実効値)の 29 倍以上としなければならない。

(3) 配線用遮断器のクラス分け … 三菱電機(株)配線用遮断器資料より引用
遮断性能・価格によってクラス分けがある。

(4) 定格短絡遮断容量〔kA〕の規格について

定格限界短絡遮断容量( Icu ): O - 3 分 - CO の動作責務とします。
定格使用短絡遮断容量( Ics ): O - 3 分 - CO - 3分 - CO の動作責務とします。
O 責務  :遮断器は ON 状態で短絡電流を通じ遮断する。
CO 責務:短絡回路を形成しておき、遮断器を投入し短絡電流を通じ遮断する。

配線用遮断器が遮断した場合、過電流による遮断か、短絡電流による遮断かの区別ができないため、一度の再投入(強制投入)が認められています。
再投入後、瞬時に遮断した場合は、回路が短絡しているので短絡電流が通過した配線用遮断器を使用を継続することは認められていません。
遮断クラスによって定格遮断容量の大きさが異なる。

定格短絡遮断容量は、1 接点あたりの遮断容量(電流)です。
2 極および 2 相短絡の場合、定格短絡遮断容量は 2 倍になるわけでなくあくまでも、 1 接点あたりの遮断容量(電流)と考えています。
遮断容量が小さい配線用遮断器を選択した場合、アーク電流を遮断できずに火災の原因になります。

【定格遮断容量〔kA〕の比較】
  電圧 NF250-CV 250〔A〕
(経済品)
NF250-SV 250〔A〕
(汎用品)
NF250-HV 250〔A〕
(高性能品)
AC 690V --- 8/8 10/8
500V 10/8 30/30 50/38
440V 15/12 36/36 65/65
415V 25/19 36/36 70/70
400V 25/19 36/36 75/75
380V 25/19 36/36 75/75
230V 36/27 85/85 100/100
200V 36/27 85/85 100/100
250V 15/12 20/20 40/40

(3) 選択遮断およびカスケード遮断について

選択遮断/カスケード遮断

(4) 配線用遮断器の特性曲線
配線用遮断器の「時遅引き外し動作特性」は、電線の過電流特性に合わせた曲線になっています。
「瞬時引き外し動作特性」は、短絡電流領域の保護特性曲線です。短絡電流が流れてすぐに遮断できれなよいが、汎用の配線用遮断器の短絡遮断は
短絡電流による電磁力で遮断させるため短絡条件などによっては、遮断までに最大 0.02 秒(交流 1 サイクル)かかるときもあります。

注意して見てみたいものは、配線用遮断器の特性曲線の動作時間は、0.01 秒(交流半サイクルの時間)以上の時間領域の特性を示しています。
電線の短絡電流保護の場合は、0.01 秒の短絡電流は問題ありませんが、半導体パワーデバイスを使った機器の場合は、0.01 秒の短絡電流でも
熱破壊します。半導体パワーデバイスを使った機器の短絡電流保護は、「限流機能付き配線用遮断器」を使うか、または限流ヒューズを使って
保護します。限流ヒューズについては、後で詳しく説明します。
配線用遮断器の特性曲線

漏電遮断器

(1) 漏電遮断器の特性
漏電遮断器は過電流遮断の他に、地絡感度電流の特性があり、その特性曲線には「高速形」と「時遅形」があります。
人体の感電保護の場合は、地絡感度電流 30〔mA〕の高速形を採用します。漏電遮断器の 2 次側配線は、施工方法の違いにもよるが漏電電流が
大きい。このため電気設備の地絡耐電流の大きさを考慮して 200〔mA〕以上の時遅形を採用します。

【漏電遮断器の形式と定格感度電流】
動作特性 定格感度電流
形式 動作時間 形式 定格感度電流〔mA〕
高速形 定格感度電流で 0.1 秒以内 高感度形 5、10、15、30
中感度形 50、100、200、500、1000
低感度形 3,000、5,000、10,000、20,000
反時限形 • 定格感度電流で 0.2 ~ 1 秒
• 定格感度電流の 1.4 倍で 0.1 ~ 0.5 秒
• 定格感度電流の 4.4 倍で 0.05 秒以内
高感度形 5、10、15、30
時遅形 • 定格感度電流で 0.1 ~ 2 秒
 10〔A〕の電流で 0.1 秒不動作
高感度形 5、10、15、30
中感度形 50、100、200、500、1000
低感度形 3,000、5,000、10,000、20,000

(2) △結線 3 φ 3W 200V 電路の 600V ビニル絶縁電線(IV)で 1〔km〕配線した場合の漏洩電流
… 三菱電機|配線用遮断器カタログから引用 
8mm2 以下の電線サイズは、ビニル絶縁の厚みが同じため漏洩電流の大きさも同じです。

電線サイズ
〔mm2
大地と電線の距離
4m 以上 10cm 以上 1.5mm
以上
 密着 
8 0.60 1.29 19.9 100
14 0.66 1.44 22.1 110
22 0.72 1.55 23.9 120
38 0.81 1.75 26.9 135
60 0.99 2.14 32.9 165
100 1.14 2.46 37.9 189
150 1.25 2.72 41.8 209
250 1.46 3.16 48.6 243
325 1.52 3.29 50.7 253
500 1.71 3.69 56.8 284
電動機出力
〔kW〕
漏洩電流
〔mA〕
2.2 0.18
3.7 0.26
5.5 0.29
7.5 0.38
11 0.50
15 0.57
18.5 0.65
22 0.72
30 0.87
37 1.00

(3) 漏電遮断器の保護協調
漏電遮断器の地絡遮断は、定格感度電流 50〔%〕未満は、不動作。50〔%〕 < 100〔%〕の間は動作が不確実です。
100〔%〕以上の場合は確実に動作します。漏電遮断器で保護協調をするときは定格感度電流の特性が垂直のため保護協調が取りにくいので、
上位に行くほど遅延時間が長く、定格感度電流も大きいものを選定します。

• 定格電流 ELCB 1 > 定格電流 ELCB 2
• 定格電流 ELCB 1 > 定格電流 ELCB 3

• 定格感度電流 ELCB 1 > 定格感度電流 ELCB 2
• 定格感度電流 ELCB 1 > 定格感度電流 ELCB 3

• 遅延時間 ELCB 1 > 遅延時間 ELCB 2
• 遅延時間 ELCB 1 > 遅延時間 ELCB 3
漏電遮断器の特性曲線

限流ヒューズ

(1) 栓形限流ヒューズの遮断特性と配線用遮断器の遮断特性の比較
限流ヒューズの遮断は 0.01〔s〕以下で全遮断を終えるが、配線用遮断器の遮断は 0.01〔s〕よりも時間がかかる。

限流ヒューズの遮断特性

(2) 半導体保護用限流ヒューズ
半導体・電力パワーデバイスは短絡電流のような大きな電流の耐量がない。
半導体・電力パワーデバイスの I2t > 栓形限流ヒューズの I2t を選択 して半導体・電力パワーデバイスを短絡電流から保護する。

【オムロン(株)ヒータ用ソリッドステート・リレーの I2t 例】
形式 形 G3PE-215B 形 G3PE-225B 形 G3PE-235B 形 G3PE-245B 形 G3PE-515B 形 G3PE-525B 形 G3PE-535B 形 G3PE-545B
適用負荷電流 0.1 ~ 15A 0.1 ~ 25A 0.5 ~ 35A 0.5 ~ 45A 0.1 ~ 15A 0.1 ~ 25A 0.5 ~ 35A 0.5 ~ 45A
電流 2 乗積(I2t) 121A2s 260A2s 1,260A2s 1,260A2s 128A2s 1,350A2s 1,350A2s 6,600A2s
【富士電機(株)ソリッドステートコンタクタの I2t 例】
SSC形式 SS03□ SS08□ SS20□ SS30□ SS40□ SS50□ SS80□
負荷電流 3A 6A 18A 30A 40A 50A 80A
許容I2t〔A2s〕 166 166 640 1000 2560 4000 45000
【 IV 電線の I2t … 温度上昇値〔70K〕】
IV 電線断面積〔㎜2 2 3.5 5.5 8 14 22 38 60 100 150 200 250 325
短絡時 I2t〔×106A2・s〕 0.056 0.172 0.425 0.900 2.740 6.800 20.30 50.50 140 315 560 874 1,500

(3) 限流ヒューズの使用例
主幹配線用遮断器の直下に電源ランプを取り付けることがある。表示灯配線は 2〔㎜2〕などの小さなサイズの電線を使うことが多い。
細い IV 電線の通過電流 2 乗時間積 I2t は、主配線の I2t に比べて非常に小さいので限流ヒューズで短絡保護をする。
限流ヒューズの使用例

【富士電機(株)低圧限流ヒューズの I2t】
形式 BLA003 BLA005 BLA007 BLA010 BLA015 BLA020 BLA030 BLA040 BLA060 BLA075 BLA100 BLA125 BLA150 BLA200
定格電流〔A〕 3 5 7 10 15 20 30 40 60 75 100 125 150 200
許容 I2t 2.88 6.05 16.9 70.7 89.6 164.6 490 863 33.3 × 102 63.8 × 102 116.9 × 102 249 × 102 450 × 102 763 × 102
全遮断I2t 28 110 230 500 750 1.3 × 103 5.0 × 103 9.2 × 103 27 × 103 70 × 103 100 × 103 290 × 103 390 × 103 500 × 103

(2) 動作特性曲線
限流ヒューズの磁器筒の中に珪砂が入っていて、ヒューズエレメントが溶断したときに発生するアーク熱を冷却しているので消弧が速い。
配線用遮断器の瞬時動作は 0.02 秒( 50〔Hz〕の 1 サイクル)以下の動作時間は未定。
限流ヒューズの動作時間は、交流波形の 4 分の 1 ~ 5 分の 1 の短時間で全遮断が終了する。

保護機器の動作特性

(3) 限流ヒューズの動作特性図を読む
限流ヒューズの「限流特性曲線」は、他の保護機器の特性曲線と表示方法が異なっています。
限流ヒューズの能力の高さが特性曲線から読み取れます。また、限流波高値から全遮断時間を計算することもできます。

限流ヒューズの動作特性図

PLC

電磁開閉器

(1) 級別と閉路遮断容量試験条件
JIS C8201-4-1「低圧開閉装置および制御装置」は遮断および閉路電流容量に応じた級別を規定している。


【 JIS C8201-4-1:低圧開閉装置及び制御装置-第 4-1 部「表-1 使用負荷種別」より引用】
使用負荷種別 閉路容量試験 遮断容量試験 代表的適用
電流 力率 電流 力率
AC-1 1.5 Ie 0.8 1.5 Ie 0.8 無誘導又は低誘導負荷、抵抗炉
AC-2 4Ie 0.65 4Ie 0.65 巻線形モータ:始動、停止
AC-3 10Ie ※ 3 8Ie ※ 3 かご形モータ:始動、運転中の停止
AC-4 12Ie ※ 3 10Ie ※ 3 かご形モータ:始動、プラッギング、インチング
AC-5a 3Ie 0.45 3Ie 0.45 放電灯の開閉
AC-5b 1.5Ie ※ 4 1.5Ie ※ 4 白熱灯の開閉
AC-6a ※ 5 ※ 5 変圧器の開閉
AC-6b ※ 6 ※ 6 コンデンサバンクの開閉
AC-7a         家庭用及び同様の適用における低誘導負荷
AC-7b         家庭用のモータ負荷
AC-8a 6Ie ※ 3 6Ie ※ 3 手動復帰式過負荷引外し装置付き密閉形冷媒コンプレッサモータの制御
AC-8b 6Ie ※ 3 6Ie ※ 3 自動復帰式過負荷引外し装置付き密閉形冷媒コンプレッサモータの制御
DC-1         無誘導又は低誘導負荷、抵抗炉
DC-3         分巻モータ:始動、プラッギング、インチング。直流モータのダイナミックブレーキング
DC-5         直巻モータ:始動、プラッギング、インチング。直流モータのダイナミックブレーキング
DC-6         白熱灯の開閉
【直流定格使用電流】
規格 級別 閉路容量試験 遮断容量試験 電気的耐久試験 代表的適用例
閉路容量試験 遮断容量試験 閉路 閉路 閉路 遮断 遮断 遮断
電流 電圧 時定数 電流 電圧 時定数 電流 電圧 時定数 電流 電圧 時定数
JEM-1038 DC1 1.1 le 1.1 Ee 1〔ms〕 1.1 le 1.1Ee 1〔ms〕 le Ee 1〔ms〕 le Ee 1〔ms〕 抵抗負荷
DC2 4 le 1.1 Ee 2.5〔ms〕 4 le 1.1 Ee 2.5〔ms〕 2.5 le Ee 2〔ms〕 le 0.1 Ee 7.5〔ms〕 直流分巻モータの始動、停止
DC4 4 le 1.1 Ee 15〔ms〕 4 le 1.1 Ee 15〔ms〕 2.5 le Ee 7.5〔ms〕 le 0.3 Ee 10〔ms〕 直流直巻モータの始動、停止
JIS C8201-5-1 DC-13 1.1 le 1.1 Ee 6P〔ms〕 1.1 le 1.1 Ee 6P〔ms〕 le Ee 6P〔ms〕 le Ee 6P〔ms〕 直流誘導負荷
(直流電磁石負荷の制御〕
※ 1. :Ie 定格使用電流
※ 2. :試験電圧は定格使用電圧の 1.05 倍
※ 3. :Ie ≦ 100A … 0.45、Ie > 100A … 0.35
※ 4. :白熱灯負荷で実施
※ 5. :突入電流のピークが定格電流の 30 倍以下の変圧器を開閉する場合の AC-6a 級、Ie は AC-3 級 Ie の 0.45 倍とする。
※ 6. :コンデンサバンク設置点での推定短絡電流が ik となる回路内の単一コンデンサバンクを開閉する場合の AC-6b 級 Ie は次式により求める。
AC-6b 級 Ie = ik × X2
 ( X - 1) 2  

JIS C8201-5-1 からの引用
  6 × P の値は、多くの直流誘導負荷が上限 P=50〔W〕、すなわち 6×P =300〔ms〕であることから決めた実験的値である。
  消費電力が 50〔W〕を超える負荷は、小さな負荷の並列接続で構成するものとみなす。
  したがって、消費電力の値には無関係に 300〔ms〕が上限となる。

直流電流の遮断は、同ページ内の「コントロールリレー」 (3) コントロールリレーの接点容量 と考え方は同じ。

(2) 電磁開閉器の定格 … 三菱電機(株)三菱電磁開閉器・技術資料集より引用
 主接点を開閉する場合の定格電流容量 

【電磁開閉器・定格電流】
フレーム 三相かご形モータ負荷容量〔kW〕 三相抵抗負荷〔kW〕( AC-1 級)
標準責務( AC-3 級) 寸動責務( AC-4 級)
200~220〔V〕 380~440〔V〕 200~220〔V〕 380~440〔V〕 200~220〔V〕 380~440〔V〕
T10 2.2 2.7 1.5 2.7 6.5 8
T12 2.7 4 2.2 5.5 6.5 10
T20 3.7 7.5 3.7 5.5 6.5 10
T21 4 7.5 3.7 5.5 11 22
T25 5.5 11 4.5 7.5 11 22
T32 7.5 15 5.5 7.5 11 22
T35 7.5 15 5.5 11 20 40
T50 11 22 7.5 15 27 55
T65 15 30 11 22 34 68
T80 19 37 11 30 41 83
T100 22 45 15 37 50 100

 定格使用電流 とは、定格使用電圧において閉路容量、遮断容量、開閉頻度、寿命を満足する最大適用電流。
 開放熱電流 とは、電磁接触器を開閉することなしに、各部の温度上昇値が規定された値を超えないで 8 時間通電しうる電流。
※主接点開閉は熱的なストレスが大きいことが読み取れる。

【定格使用電流】
フレーム モータ負荷 抵抗負荷 開放熱電流 Ith〔A〕
AC-3 級定格使用電流〔A〕 AC-4 級定格使用電流〔A〕 AC-1 級定格使用電流〔A〕
200~220〔V〕 380~440〔V〕 200~220〔V〕 380~440〔V〕 200~220〔V〕 380~440〔V〕
T10 11 7 8 6 20 11 20
T12 13 9 11 9 20 13 20
T20 18 18 18 13 20 13 20
T21 18 18 18 13 32 32 32
T25 26 25 20 17 32 32 32
T32 32 32 26 24 32 32 32
T35 34 32 26 24 60 60 60
T50 50 48 35 32 80 80 80
T65 65 65 50 47 100 100 100
T80 80 80 65 62 120 120 120
T100 100 93 80 75 150 150 150

配線遮断器と電磁開閉器の保護協調

(1) 保護協調の要件

  1. 電磁開閉器は、電動機の正常状態において起こりうる最大電流を確実に閉路遮断できること。
  2. サーマルリレーは、電動機の過負荷および拘束時の保護を確実に行なえる動作特性をもつこと。
  3. 配線用遮断器は、各短絡点において流れうる短絡電流を確実に遮断しうる容量のものであること。
  4. 分岐回路の電線の太さは短絡電流が流れた場合に、配線用遮断器の遮断時間内に通過する I2t により焼損しないサイズとすること。
  5. 分岐回路の配線は、サーマルリレーまたは配線用遮断器により過電流から確実に保護されること。
  6. 配線用遮断器は、電動機の始動電流または突入電流により誤動作しないこと。
  7. サーマルリレーと配線用遮断器の動作特性は交差点をもち、全電流域にわたって切れ目ない保護動作特性をもち、かつ交差点以下の電流域では
    サーマルリレーの特性が下まわっていること。
  8. 動作特性の交差点は、電磁開閉器の遮断容量以下の電流値であること。
  9. 短絡電流が電磁開閉器に流れた場合、配線用遮断器が遮断するまでに、電磁開閉器が破損しないこと。

電磁開閉器の保護協調

接点の特性

(1) 電磁接触器主回路(端子間)抵抗値
富士電機(株)電磁開閉器技術資料 データブック・保守点検マニュアル・パーツリストより引用

【主接点の接触抵抗値】
電磁接触器主回路
(端子間)抵抗値
主回路(端子間)
抵抗値〔mΩ〕
開放熱電流
〔A〕
SC-03 1.1 20
SC-03 1.1 20
SC-05 1.1 20
SC-4-0 1.1 25
SC-4-1 1.1 32
SC-5-1 1.1 32
SC-N1 0.9 50
SC-N2 0.9 60
SC-N2S 0.7 80
SC-N3 0.6 100
SC-N4 0.55 135
SC-N5 0.4 150
SC-N6 0.3 150
SC-N7 0.3 200
SC-N8 0.35 260
SC-N10 0.25 260
SC-N11 0.2 350
SC-N12 0.15 450
SC-N14 0.2 660
SC-N16 0.2 800

(2) 接点の並列接続 … (株)東芝 電磁開閉器技術資料から引用
交流電磁接触器は三相誘導電動機の制御を主目的としているため 3 極単投構造として設計されている。
これを単相抵抗負荷用として使用する場合は 3 極の主接点を並列に接続して単極とし、さらに定格容量の増大を図ることが可能である。
電磁開閉器の接点

(a) 通電電流(n:並列接点数)
 2 n-1 倍となる。すなわち n = 2、3 のときの通電容量はそれぞれ 2 倍、2.8 倍となる。
(b) 閉路・遮断電流
 各接点の動作・復帰時間にバラツキがあるため単一使用の場合と同一値とする。
(c) 開閉頻度
 接点動作のアンバランスにより同一極のみ発弧し続けることがあるため、単独あるいは単一使用で 2 n-1 倍の電流を開閉したときに許容される
 頻度まで低減する。低減率は遮断電流の 2 乗に反比例させて頻度を落とす。
(d) 耐久性
 1 台の電磁接触器を 2 極あるいは 3 極並列接続した場合、接点寸法公差により初期において 1 極のみ発弧し、その極のみ消耗してゆくが、
 そのうち他の極と同一レベルになると交互に発弧するようになる。
 この場合は遮断電流を一点で遮断したと仮定した電気的耐久性の n 倍の耐久性となるが、通電電流は 2 n-1 倍となるため、各極並列使用時の
 寿命は単独使用の場合の n/(2 n-1 ) 2 = n/4(n-1) 倍となる。すなわち n = 2、3 のときの耐久性はそれぞれ 1/2、3/8 となる。
 各極を並列に接続する短絡線は各極とも完全にバランスした抵抗値とするか、あるいは断面積を大きくして内部導体の金属抵抗値よりはるかに
 小さい値にすることが必要である。

コントロールリレー

直流遮断特性

太陽電池やリチュウムイオン電池などで直流電源のオンオフ制御が増えてくる。
直流電源の開閉は直流パワーリレーを使うが、使用方法を誤ると性能通りの電流開閉ができない恐れがある。

(1) 直流電流が遮断しにくい理由
交流電流は 1 サイクル中に 2 回「ゼロ点」を通過するが、直流電流は連続して流れるので接点開極時に遮断しにくい。
電流波形

(2) 電流遮断の方法は、遮断時のアーク温度を下げる方法が一般的

リレー接点間に永久磁石を取り付けている。
高磁束密度内で遮断すると「ローレンツ力」によってアークが引き延ばされ急速冷却され消弧する。
ローレンツ力

リレー内の磁場との関係上、直流パワーリレーの接点にはプラス・マイナスの極性が存在する。
磁束密度とアーク継続時間

(3) コントロールリレーの接点容量
負荷回路の力率が悪くなると電流が大きくなるだけでなくアーク時間が長くなります。
電流が 0〔A〕のとき、電圧は最大値の 92〔%〕になっています。
開極の時定数&力率
力率0.4の波形

(4) 誘導性リアクタンスを持った負荷を開極するとき逆起電力が発生します。
逆起電力の大きさは誘導性リアクタンスの大きさと電流の変化率に比例します。回路に誘導性リアクタンスがあると遅れ力率のために
電圧垂下よりも遅れて電流が垂下するので、アークエネルギーも大きくなります。 icon電気設備用語辞典「逆起電力」
アークエネルギー

(5) コイルの接点保護
誘導性リアクタンスを持った負荷電流を遮断したときのパルス状のノイズが出るためサージキラーを取付けます。
C の値は負荷電流 1〔A〕に対して 0.5 ~ 1〔μF〕。R 値は負荷電流 1〔A〕に対して 0.5 ~ 1〔Ω〕の値です。
CR 方式
ダイオード方式

(6) 時定数が大きく異る継電器の並列接続
時定数が大きく異なる継電器を並列接続するとき、時定数の合計に見合うダイオードを接続する。
注意すべきことは、時定数の大きな方の継電器の開放時間が長くなります。
時定数の異なる継電器の並列接続

(7) 微小負荷電流
小電力用途の接点最大開閉電流 2〔A〕以下のリレーでは、接点開閉時にアーク放電が発生しないかまたは発生してもアークエネルギーが小さいため
アーク放電が接点に与える影響は小さい。このため接点表面に生成される被膜で接触抵抗が大きくなり接触不良の原因となります。

• 微小負荷電流を開閉する場合は、接点材料が金張り銀パラジウムまたは、金張り銀のものを使う。
• ダブル接点のリレーを使う。
• 密閉形のリレーを使うなどで対策します。

(8) 接点材料

【各種接点材質の特長】
接点材質 特長
Au(金)メッキ + Ag 微小電流接点に使用。
Ag・Pd(銀パラジウム) 耐食性が良く耐硫化性も良い。ドライサーキットにおいては、有機ガスを吸着してポリマーを発生しやすいので
金クラッドなどをする。
Ag(銀) 導電率、熱伝導率は金属中最大。低い接触抵抗を示すが、欠点としては、硫化ガス雰囲気で硫化皮膜を生じやすい。
低電圧、低電流レベルでは接触不良になりやすい。
Ag・Ni(銀ニッケル) 電気伝導度に関しては、Ag に匹敵し、耐アーク性に優れる。電磁接触器接点に使用。
Ag・SnO2(銀酸化錫) AgCdOと同等以上の優れた耐溶着性を有している。接点容量が、15 ~ 30〔A〕のものに採用されている。
Agと同じく硫化物雰囲気では硫化皮膜が生じやすい。
Ag・Sn・ln(銀・錫・インジューム) 耐溶着性、耐消耗性に優れる。
Ag・W(銀タングステン) 硬度、融点は高く、耐アーク性に優れ、溶着、転移に対して強いが、接触抵抗が高く、耐環境性に劣る。
電磁接触器接点に使用。

(9) 接点の両切り
接点の直列接続の場合、接点 ① と接点 ② の開極の時間差は、数〔μs〕程度あります。
接点のアーク電流は最初に開極した接点が負担しますが、数〔μs〕遅れてもう片方の接点も開極します。
2 倍の接点ストロークでアーク電流を切るため接点の遮断能力は 2 倍になります。
接点を並列接続の場合、最初に開いた接点には電流は流れません。数〔μs〕遅れてた片方の接点に全アーク電流を負担することになり、
接点の直列接続の半分の遮断能力です。接点の直列接続切は遮断能力が大きいため直流回路においてよく採用される方式です。
接点の両切り

(10) コントロールリレーのくまとりコイル
くまとりコイルをインターネット検索したら「 Bear coil 」と出てきました。正しくは shading coil です。
交流電磁石は半サイクルに 1 度、電流が 0 になり電磁石の吸引力も 0 になります。このため交流駆動のリレーには「くまとりコイル」を
取り付けることによって、交流波形の同期した磁束と遅れを持った磁束を発生させ、吸引力が 0 にならないようにしています。

同じ型番のリレーでも交流駆動と直流駆動はコイルの作りが異なります。
※小さなコントロールリレーであっても巻線 1 回のコイル電流は相当大きな値になるのでくまとりコイルも太いのが特徴です。
くまとりコイル
くまとりコイル

(2) へライトコア
電気設備用語辞典 フェライトコア を参照してください。

直流回路の接地

(1) 制御回路接地事故時の誤作動防止
直流電源のマイナス極を接地すると N 型 MOS-FET 回路(シンクタイプ)は、接地場所によってはアクチュエーターが誤作動する。
このため安全回路ではプラス接地の P 型 MOS-FET 回路(ソースタイプ)を使用して接地時のアクチュエーターの誤作動を防止する。
アクチュエーター誤作動

(2) ソレノイドの電食防止
ソレノイドの可動鉄心を大地(筐体)と絶縁することが難しい。
直流電源のマイナス極を接地すると N 型 MOS-FET 回路(シンクタイプ)ではコイルの電食が発生する。
ソレノイド設置場所の湿気や腐食性ガズなどが多いとコイルの腐食進度が早まる。
コイル電食

低圧力率改善コンデンサ

低圧進相コンデンサ

【200V トップラン電動機に取り付けるコンデンサ μF】
〔kW〕 周波数 0.2 0.4 0.75 1.5 2.2 3.7 5.5 7.5 11 15 18.5 22 30 37 45 55
HP 出力 1/4 1/2 1 2 3 5 7.5 10 15 20 25 30 40 50 60 75
2極 50〔Hz〕     30 40 50 75 100 150 200 250 300 300 500 600 750 1,000
2極 60〔Hz〕     20 30 40 50 75 100 150 150 200 250 300 400 400 600
4極 50〔Hz〕     40 75 100 150 200 250 300 400 500 800 900 1,200 1,400 1,400
4極 60〔Hz〕     30 40 50 75 100 150 200 250 300 400 500 700 800 900
6極 50〔Hz〕     50 100 100 150 300 300 500 500 700 800 1,200 1,300 1,500 1,900
6極 60〔Hz〕     30 50 75 100 150 200 300 300 400 400 500 750 900 1,100
【200V 汎用電動機に取り付けるコンデンサ μF】
〔kW〕 0.2 0.4 0.75 1.5 2.2 3.7 5.5 7.5 11 15 19 22 30 37 55
HP 出力 1/4 1/2 1 2 3 5 7.5 10 15 20 25 30 40 50 75
50〔Hz〕 15 20 30 40 50 75 100 150 200 250 300 400 500 600 900
60〔Hz〕 10 15 20 30 40 50 75 100 150 200 250 300 400 500 750
【400V トップラン電動機に取り付けるコンデンサ μF】
〔kW〕 0.2 0.4 0.75 1.5 2.2 3.7 5.5 7.5 11 15 18.5 22 30 37 45 55 75 90 110
HP 出力 1/4 1/2 1 2 3 5 7.5 10 15 20 25 30 40 50 60 75      
50〔Hz〕     7.5 10 15 20 25 40 50 50 75 75 125 150 150 250 300 400 600
60〔Hz〕     5 7.5 10 15 20 25 30 40 50 50 75 100 100 150 200 250 300
50〔Hz〕     10 20 25 30 50 50 75 100 125 200 200 200 300 300 500 700 800
60〔Hz〕     7.5 10 15 20 30 40 50 50 75 100 125 150 200 200 300 400 500
50〔Hz〕     10 25 30 40 75 75 125 125 150 200 300 300 300 400 600 900 1,100
60〔Hz〕     7.5 15 20 25 40 50 75 75 100 100 125 150 200 250 300 500 600
【400V 汎用電動機に取り付けるコンデンサ μF】
〔kW〕 0.75 1.5 2.2 3.7 5.5 7.5 11 15 19 22 30 37 55
HP 出力 1 2 3 5 7.5 10 15 20 25 30 40 50 75
50〔Hz〕 7.5 10 15 20 30 40 50 75 75 100 125 150 250
60〔Hz〕 5 7.5 10 15 20 30 40 50 75 75 100 125 200

第 3-6 項:盤内配置設計

(1) ケーブルの最小屈曲半径(最小曲げ半径)
※ D :ケーブル外径

電線・ケーブルの種類 単心 多芯
CV ケーブル、CVT ケーブル --- 6D
IV 電線、KIV 電線 8D ---
難燃性ポリフレックス電線 4D ---
遮蔽なし電線およびケーブル 8D 6D
遮蔽なしキャブタイヤケーブル 6D 4D
遮蔽あり電線およびケーブル 10D 12D

(2) 各種固定方法
鉄製基板(中板)の搭載可能質量水平方向は 60〔kg/m2〕です。
• 水平方向設置は基盤の剛性に関係します。
• 垂直方向設置は距離と質量のベクトルの力がネジに加わるので、基板剛性の他にビスの「引張応力」「曲げ応力」「せん断応力」が関係します。
搭載可能質量

操作パネル(スイッチ、ランプ等)の配置

(1) 関係する JIS 規格
JIS C0447:マンマシンインタフェース-操作の基準を参照してください。

(2) 取付け器具の適切な配列 … メンバーログインするとダウンロードできます。
icon 富士電機(株) インバータ盤の設計 技術資料 資料 No. 24A7-J-0123 を参照してください。

作業スペースの考慮

(1) 盤内部品の必要スペース
部品間隔の目的は、2 つの目的があります。①短絡電流による「ホットガス」対策、②放冷のためのスペースです。

短絡電流の大きさは電圧の大きさによって異なり短絡のエネルギーは電圧の 2 乗に比例します。
400V 回路で短絡事故を起こすとアーク熱による導電性の「ホットガス」が発生し短絡被害は更に大きくなります。

   ホットガスによるアークスペース(絶縁空間)を保つ 

配線用遮断器の絶縁

   電力用半導体機器の放熱スペースを保つ 

第 3-7 項:PLC プログラム設計

小職「漬物屋」。ときどき「電気屋」なので門外漢。
わたしはソフトクリームはわかるけど、シーケンスプログラムは「チンプンカンプン」です。
中国語の「チンプートンカンプートン

漬物屋

IEC 61131-3 の 5 種類のプログラミング言語

(1) LD(ラダー ダイアグラム:Ladder Diagram )
リレーシーケンス回路の置換えや従来プログラミングツールに慣れているエンジニア向けのグラフィック言語で、制御システム開発において
最も普及しているプログラミング言語。

(2) FBD(ファンクション ブロック ダイアグラム:Function Block Diagram )
DCS( Distributed Control System )に慣れているエンジニア向けのグラフィック言語で、 計装分野 を中心に使われている。
最近では制御適用範囲の拡大やプログラムの可読性が向上するという理由で PLC でも使われることが多い。

(3) SFC(シーケンシャル ファンクション チャート:Sequential Function Chart )
製造ラインなどの状態遷移を記述するのに適したグラフィック言語。
SFC は演算機能や入出力機能を持たないため、厳密には言語ではなく「要素」と規定されている。言語要素を併せ持つため言語として扱う。

(4) IL(インストラクション リスト:Instruction List)
従来のプログラミングツールにあるニーモニックに相当する言語で、マイコンで言えばアセンブラのようなテキスト言語。

(5) ST(ストラクチャード テキスト:Structured Text )
PASCAL をベースに設計された構造化テキスト言語。
パソコンの高級言語に慣れ親しんだマイコンボードの開発者や C++ プログラムで複雑な制御ができる。

(6) プログラム 5 言語の適正表

【プログラム 5 言語の適正表】
主な使用状況 LD 言語 IL 言語 ST 言語 FBD 言語 SFC 言語
単純なリレーシーケンス処理 × ×
数式演算処理 × ×
ステップシーケンス処理 × ×
連続的なアナログ信号処理 × ×
複雑な情報処理 × ×
プログラムメモリ制約の厳しい場合 ×
最も高速に性能を求められる場合 ×
運転方案と対応がとりやすい表現 × ×
動作を視覚的に確認したい場合 × ×

◎:最も適している。 ○:適している。 △:困難な場合もある。 ×:適さない。

第 3-8 項:排熱、絶縁対策

電線の発熱

(1) 電線からの発熱
主回路に使用する電線は、電圧変動や始動電流などの変動が大きいので許容電流の 1.2 倍程度(経験値)のものを選定します。
主配線は 3 相で配線長は 2〔m〕。発熱量は回路数× 6 倍と考えると無視できない値です。

制御盤内で使用する配線ダクトは、蓋(カバー)を使うために熱がこもりやすく、塩化ビニル製ダクトは 60〔deg〕を超えると変形します。
配線ダクトの電線占有率に電線管や金属製ダクトの値を代用して考える方法もあるが、電線管や金属製ダクトと形状や使用方法などの条件が
違うため、他の電線占有率は適用できないと考えていまます。

配線ダクト内の熱計算は困難です。熱容量計算は「質量」×「比熱」で、使用する銅線の質量および絶縁体の質量の合計です。
電線の許容電流は規定温度を超えない電流の上限値ですが、絶縁物の厚みが増えると放熱が悪くなり規定温度を超えてしまいます。
さまざまな条件がわからないので、配線ダクト内の電線が何度まで上昇するかは計算できません。
配線ダクトの冷却は配線穴が大きく関係しています。配線穴が塞がると配線ダクト内の温度が 60〔deg〕を超えることもあります。
配線ダクトからの発熱


【 IV 電線の発熱】
公称断面積
〔mm2
〔Ω/m〕 許容電流〔A〕 〔W/m〕
3.5 0.00520 37 7.1
5.5 0.00333 49 8.0
8 0.00231 61 8.6
14 0.00130 88 10.1
22 0.000824 115 10.9
38 0.000487 162 12.8
60 0.000303 217 14.3
100 0.000180 298 16.0
150 0.000118 395 18.4
200 0.0000922 469 20.3
250 0.0000722 556 22.3
325 0.0000565 650 23.9

発熱を考慮した配置

(1) 機器の発熱対策
盤内のインバータユニットや中容量の変圧器を設置する場合、これらの機器は大きな発熱源となるので弱電機器(電子機器側)の熱流を考慮して
配置を決ます。
盤内配置

(2) JEM TR-148:インバータドライブの適用指針汎用インバータから引用 … ※半導体の放熱設計で用いる熱抵抗を計算する。
といっているが、同技術資料には「熱抵抗」の計算式はいっさいありません。

 ①密閉箱に収納する場合
 q = h × A ×( TS - TA )〔W〕
 熱抵抗を 0.17 ~ 2〔℃/(W・m2)〕としている。

q :インバーターユニット発熱量〔W〕
h :熱伝達率〔W/(m2・℃) … 鉄製の箱の場合は、5 ~ 6
TS :箱表面の温度〔℃〕
TA :大気温度〔℃〕
A :箱の表面積〔m2

 ②冷却ファン付き開放箱に収納する場合 
 q = ρ × C × Q ×(TO - TA)〔W〕

q :インバーターユニット発熱量〔W〕
ρ :密度〔kg/m3〕 … 空気の場合、1.057 ~ 1.25〔kg/m3
Q :流量〔m3/s〕
C :比熱〔kg/(kg・K)〕 … 空気の場合、1.0〔kg/(kg・K)〕
TO :吹き出し出口温度〔℃〕
TA :大気温度〔℃〕

 ③冷却ファンの換気能力は、  Q = q
 1.057 × (TO - TA
〔m3/s〕

 ④計算結果  … 1〔kW〕の発熱を放熱するために、約 0.1〔m3/s〕の冷却ファンが必要になる。

(3) 物理学的見地の熱計算
盤内発熱量〔J〕= 制御盤表面からの放熱量〔J〕+強制換気による温かな空気の排熱量〔J〕 のバランスが、
盤内空気温度と外気温の温度差 ΔT〔K〕になります。
熱放出

Rθ1 :放射熱抵抗〔m2/K〕 … ステファンボルツマンの法則で計算可能です。
Rθ2 :対流熱抵抗〔m2/K〕 … 条件により値が変化するが、電卓で計算できるレベルげはない。
Rθ3 :伝導熱抵抗〔m2/K〕 … 条件により値が変化するが、電卓で計算できるレベルげはない。

熱抵抗〔m2/K〕は、熱伝達率〔W/(m2・K)〕の逆数です。
細かなことをいえば、放射熱伝達率以外の熱伝達率の値が不明で、厳密な熱計算は素人には無理です。

電機工業会は、実験的経験値の値で熱計算しています。
インターネット上に盤の熱計算がたくさんありますが、どれも熱計算の安全率を 2 ~ 3 倍しての計算結果です。
熱計算は厳密に計算できないので、盤熱工業会の資料や係数を用いても実務上問題ありません。

(4) 各種機器の許容温度
配電盤・制御盤内で使用する電気機器の許容温度は 40〔℃〕を基準としています。

【盤内で使用する機器の許容温度】
機器名 許容周囲温度
配線用遮断器 40〔℃〕
漏電遮断器 40〔℃〕
電磁開閉器 40〔℃〕
PLC 55〔℃〕
インバータユニット 55〔℃〕
サーボユニット 55〔℃〕
コントロールリレー 55〔℃〕
SSR (ソリッドステート・リレー) 40〔℃〕

第 3-9 項:盤の熱設計

(1) 電気部品の発熱量の目安
発熱量|盤内機器.xlsx

(2) 室内設置盤の自然放熱 … 外箱外面の熱流算出 Q

Q = h × A × (Ts - Ta )〔W〕

Q :盤全体の総発熱量〔W〕
h :熱伝達率(放熱係数) 5 ~ 6〔W/(m2・K)〕 … 板厚 2〔㎜〕の鋼鈑では、約 5〔W/(m2・K)〕
A :盤有効放熱面積〔m2
Ts :盤表面温度〔℃〕
Ta :盤周囲温度〔℃〕

(2) 屋外設置盤の自然冷却放熱量 QBO〔W〕
詳細は、
「屋外盤熱計算に関するガイドライン」@盤用熱関連機器工業会  http://www.tecta.jp/pdf/attention3.pdf

忙しいサラリーマンに代わって、暇なジジイが表を作成しました。
「屋外盤熱計算に関するガイドライン」計算シート.xlsx

計算式の概要
QBOURO( tt ー to )× SROURO・tshSROUSO(ti ー to)× SSOUSO(tesSES + tswSSW + twnSWN + tneSNE
   = URO × 天井面積 × 〔外気盤内温度差 - 屋根温度〕 + USO × 〔各面の面積 × 温度〕 … これに風速による冷却が加わる。

URO :屋外用外箱屋根面鉄板の総合熱貫流率
USO :屋外用外箱垂直面鉄板の総合熱貫流率
SRO :天井面面積〔m2
SSW :南西側垂直面面積〔m2
SSO :垂直面四周面積合計〔m2
SWN :北西側垂直面面積〔m2
SES :南東側垂直面面積〔m2
SNE :北東側垂直面面積 〔m2
ti :外箱内部空気温度の平均値〔℃〕
to :周囲温度〔℃〕
tsh :屋根面の相当外気温度上昇〔℃〕
tes :南東方位の外箱側面における相当外気温度上昇〔℃〕
tsw :西南方位の外箱側面における相当外気温度上昇〔℃〕
twn :北西方位の外箱側面における相当外気温度上昇〔℃〕
tne :北東方位の外箱側面における相当外気温度上昇〔℃〕
tt :外箱内天井部付近の空気温度〔℃〕

風速に対する熱伝達率

(3) 中継ボックスの耐熱設計
放射熱対策として、中継ボックス内に石膏ボードを貼り付ける。
耐熱電線の耐熱温度は、塩ビ製配線ダクトの耐熱温度(60〔deg〕)よりも高いので使用できない。結束バンド等を使った「束ね配線」する。
中継ボックスの耐熱設計

(4) 強制換気による放熱
筐体内の空気の流れが均等でないの安全率を考えて必要空気量は計算値の 1.5 ~ 2.0 倍の値を選ぶ。

強制換気




換気の風量 Q = 60 × q
ρ × Cp × ΔT
〔m3

q :装置発熱量〔W〕
ΔT :筐体内部許容温度上昇〔K〕 … 排気空気温度〔℃〕 - 外気空気温度〔℃〕
ρ :空気密度〔kg/m3〕 … 1.20〔kg/m3
Cp :空気の定圧比熱〔J/(kg・K)〕 … 1007〔J/(kg・K)〕
Q :必要換気風量〔m3/min〕

絶縁を考慮した配置

(1) 絶縁協調とは
電源に異常電圧が発生したとき、配線用遮断器の 1 次側や絶縁端子台間に漏電電流やアーク電流が電流が流れないようにすることです。
通常の配電盤や制御盤でメーカ品を使っていれば、考慮する必要はないと考えています。

(2) 適切な離隔距離 … 空間距離と沿面距離

JIS B9960-1:機械類の安全性-機械の電気装置-第 1 部:一般要求事項より引用
12.7.6 沿面距離各導体間、並びに隣接する導体ワイヤ、導体バー、スリップリング機構及び集電子のシステム間の沿面距離は、意図する環境、例えば、屋外(JIS C 0664 参照)、屋内、及びエンクロージャによって保護される環境における作動に適するものでなければならない。
異常にちりが多い、又は湿気若しくは腐食性が異常に高い環境においては、次の沿面距離を適用する。
  • 保護されていない導体ワイヤ、導体バー及びスリップリング機構は、最小沿面距離 60〔mm〕の絶縁体を備えなければならない。
  • エンクロージャで保護されている導体ワイヤ、絶縁された多極及び単極の導体バーは、最小沿面距離 30〔mm〕をもたなければならない。
    好ましくない周囲条件(例えば、導電性のほこりの集積、化学作用)によって徐々に絶縁値が減少することを防止する特別な方策に関しては、製造業者の推奨に従わなければならない。
空間距離と沿面距離

第 4 節:設計図面および製作仕様書

第 4-1 項:電気設備工事でよく使う図書の種類

作成する図面および資料

(1) 使用目的による種類

(2) 盤構成を表す図面

(3) 電気的内容を表す図面

(4) 機能および情報を表す図面

(5) 盤内配管図( Piping schedule )
盤に取り付けられる各種計器、継電器などの空気配管、油配管などを示す図面。

(6) 取扱説明書( Instruction manual )
動作、原理、性能および取扱い上の注意点を示す資料。カタログで充当させることもある。

(7) 予備品表( Spare parts list )
契約により予備品を納入する場合に用いる図面。部品番号、仕様のほか、特に必要とする場合は、略図を加えて図表とする。
汎用品では、カタログで充当させることもある。

(8) 附属品表( Accessory parts list )
機器の附属品を示す図面。

(9) ケーブル布設図( Cable wiring diagram )
電気機器間を接続する動力・制御ケーブルの布設ルート・仕様を図表の形で示す図面。

(10) 据付図( Installation manual )
電気機器の据付時に用い、据付手順、仕上げなどの諸事項を示す図面。

提出図面の種類

(1) 提出図面の種類
製造業者から提出する図面の種類は、表 1 に示す図面の種類を最大とする。

図面の種類 使用目的
納入仕様書 決定図
1. 盤構成を表す図面 (a) 外形図(外観図)
(b) 組立図
(c) 基礎図
(d) 配置図
2. 電気的内容を表す図面 (a) 単線接続図
(b) 複線接続図
(c) 展開接続図
(d) 裏面接続図または内部接続図
(e) 相互接続図
3. 機能および/または情報を表す図面 (a) 操作ブロック図
(b) システム機能仕様書
(c) システム系統図
(d) 表示項目一覧表
(e) 入出力一覧表
(f) ハードウェア仕様書
(g) 表示画面-覧表
(h) 帳票様式仕様書
(i) ソフトウェア仕様書
盤内配管図
取扱説明書
予備品表
附属品表

第 4-2 項:製作仕様書仕様書

製作仕様書の作成

(1) 製作仕様書の書式、記載項目

(2) 製作仕様書の書き方
図面で書き表すことが難しいことを「表」や「写真」を添えた説明書です。
仕様書作成が不慣れな場合は、「詳細は打ち合わせによる」でも立派な仕様書になります。

(3) 操作画面およびシーケンスプログラムは、プログラム作成前に「操作説明書」を作る。
まずは、操作説明書を作成して発注者の承認を得てからプログラムを作成します。

第 5 節:参考資料

第 5-1 項:JEM 1323:配電盤・制御盤の接地を参照願います。

JEM 1323:配電盤・制御盤の接地

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