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著作権法に抵触しないと思われる範囲内で同規格を引用します。

1. 適用範囲

この規格は、交流 600V 以下または直流 750V 以下の電路に用いる配電盤および交流 1000V 以下または直流 1200V 以下の電路に用いる制御盤
(以下、盤という。)の接地について規定する。ただし、主回路の接地には、適用しない。
低圧金属閉鎖形スイッチギヤおよびコントロールギヤ、コントロールセンタなどのように個別規格が制定されるものについては、該当規格を優先する。

3. 用語および定義

この規格で用いる主な用語および定義は、次による。

3.1 接地端子
盤本体と電気的に接続して、盤内接地線および接地線が接続できる端子。
3.2 接地母線
盤内に取り付けた接地のための母線で、盤本体と電気的に接続して、母線に盤内接地線および接地線が接続できる導体。
3.3 内接地線
盤に取り付けた機器の接地接続部位または接地回路を接続した端子と、盤の接地端子または接地母線との間を接続する盤内の接続線。
3.4 接地線
盤に取り付けた接地端子または接地母線と、地中に埋設した接地極との間を接続する盤外の接続線。

4. 盤の接地

4.1 盤本体の接地
盤本体の接地は、次による。
  1. 盤内には、盤を接地するために溶接または金属ねじ締付けで本体と電気的に接続した接地端子または接地母線を設け、接地端子または接地母線は接地線で接地する。
  2. 機器を取り付ける盤の扉などの外被については、盤本体と電線で接続するのが望ましいが、等価電気的接続(例えば、腐蝕保護を施した金属ヒンジの使用、歯付き座金の使用、金属支持面の金属ねじ締付け方式など)でもよい。
  3. 機器を取り付けない盤の扉、側面板、天井などの外被は、金属ねじの接続および金属ヒンジで導通を確保する。
4.2 盤取付け機器の外被および機器取付け金具の接地
安全および性能保障上、接地が必要な場合は、盤取付け機器の外被および機器取付け金具を、盤内接地線で接地端子または接地母線に接続する。一般の盤取付け機器の外被および機器を取り付ける金具は、盤本体と電気的に接続する手段として、電線による接続または金属ねじ締付けによる接続とする。ただし、可動式の機器取付け金具の場合は、盤本体と電線で接続するのが望ましいが、等価電気的接続(例えば、腐蝕保護を施した金属ヒンジの使用など)でもよい。
4.3 回路の接地
回路の接地を必要とする計測・制御回路は、盤内接地線で接地端子または接地母線に接続する。

5. 接地端子の構造

接地端子の構造は、盤内接地線および接地線が接続し得る、圧着端子締付け方式または電線締付け方式による構造とする。

6. 接地母線の構造

接地母線の構造は、銅製の場合、25mm × 3mm(幅×厚さ)以上とし、かつ、盤内接地線および接地線が接続し得る、圧着端子締付け方式または電線締付け方式による構造とする。接地母線が銅製でない場合は、同等な熱的条件および機械的条件を満足しなければならない。

7. 盤内接地線の太さ

盤内接地線の太さは、表による。

【表-07:盤内接地線の太さ】
適用区分 盤内接地線の太さ〔mm2 接地工事の種類
取付け機器の外被 交流 300V 以下、
直流 300V 以下
2 以上 D 種接地工事
交流 300V 超過、600 V以下、
直流 300V 超過、750V 以下
2 以上 C 種接地工事
交流 600V 超過、
直流 750V 超過
5.5 以上 A 種接地工事
特別高圧計器用変成器の二次回路・三次回路 5.5 以上 A 種接地工事
高圧計器用変成器の二次回路・三次回路 2 以上 D 種接地工事

JEM_1323 2013 配電盤・制御盤の接地 解説

3.2 用語および定義(箇条 3 )
本体の 3.1 ~ 3.4 の定義に対する具体的な接地の一例を、解説図 1 に示す。
図1
3.3 盤本体の接地( 4.1 )
盤本体の接地の考え方を次に示す。
  1. 盤本体を接地するため、盤内接地線が少ない盤には接地端子を設け、盤内接地線が多い盤または列盤になる盤には接地母線を設けることが望ましい。ただし、各盤に接地端子を設けて接地端子間を接地線で接続する場合は、接地母線を設けなくてもよい。盤本体の接地例を、解説図-02に示す。
    図2
  2. 機器を取り付ける盤の扉などの金属外被については、盤本体(または盤本体に設ける接地端子および接地母線)と盤の外被とを電線で接続するのが望ましい。また、導通を確保する等価電気的接続(例えば、腐蝕保護を施した金属ヒンジの使用、歯付き座金の使用、滑動接点の使用、金属支持面での金属ねじ締付け方式など)とする場合は、盤本体と盤の金具類との接地が確保されると考えられる。機器を取り付ける盤外被の接地例を、解説図-03 に示す。
    図3
  3. 機器を取り付けない盤の扉、側面板、天井などの外被については、金属ねじの接続および金属ヒンジに より、導通を確保するのに十分と考えられる〔 JIS C8480の7.4.3.1.5 c 参照〕。また、超低電圧〔 JIS C 8480の7.4.3. 1.5 c 〕の限界を超えない電圧のうち、感電対策を必要としない回路だけで構成された機器だけを取り付ける場合は、機器を取り付けない盤の扉、側面板、天井 などの外被と同様に扱うことができる。機器を取り付けない盤外被および感電対策を必要としない機器だけを取り付ける盤外被の接地例を、解説図4に示す。
    図4a
    図4b
  4. 盤本体が絶縁物の場合は現在極めて少ないが、この場合も接地端子または接地母線を設け、それらを経由して接地することとした。
3.4 盤取付け機器の外被および機器取付け金具の接地( 4.2 )
盤取付け機器の外被および取付け機器の取付け金具が、金属の支持面を備え、かつ、その表面にかかる圧力が十分高い場合は、その表面は保護回路の導通を確保するのに十分と考えられる。したがって、一般の'盤内取付け機器の金属の外被は、金属ねじによる接続で盤本体と電気的に接続しているものとみなせるので、専用の電線での接地は不要と考えられる。ただし、良好な導電性を保証する場合は、次のような点について注意を払わなければならないことがある。
  1. 安全および性能保障上接地の必要な盤取付け機器の外被が、接地接続部位(フレームアース用端子など)を設けている場合は、機器の外被接地接続部位と盤本体の接地端子または接地母線とを、盤内接地線で接続する。例を、解説図 -05 (a) に示す。
  2. 盤取付け機器の外被が、特に接地接続部位(フレームアース用端子など)を設けておらず、金属の支持面を備えている場合は、金属ねじによる接続で盤取付け機器の外被と盤本体は電気的に接続しているものとみなせるので、専用の電線での接地は不要と考えられる。例を、解説図 -05 (b) に示す。
  3. 盤取付け機器の外被を盤本体の接地端子または接地母線と盤内接地線で接続せず、機器を取り付ける取付け金具に接続している場合で、取付け金具が金属の支持面を備えていない場合は、取付け金具と盤本体の接地端子または接地母線とを、盤内接地線で接続する。例を、解説図 -05 (c) に示す。
  4. 盤取付け機器の外被を盤本体の接地端子または接地母線と盤内接地線で接続せず、機器を取り付ける取付け金具に接続している場合で、取付け金具が金属の支持面を備えている場合は、金属ねじによる接続で取付け金具と盤本体は電気的に接続しているものとみなせるので、専用の電線での接地は不要と考えられる。例を、解説図 -05 (d) に示す。
  5. 盤取付け機器の外被を盤本体の接地端子または接地母線と盤内接地線で接続せず、機器を取り付ける可動式取付け金具に接続している場合で、可動式取付け金具と盤本体の導通が確保できない場合は、可動式取付け金具と盤本体の接地端子または接地母線とを、盤内接地線で接続する。例を、解説図-05 (e) に示す。
  6. 盤取付け機器の外被を盤本体の接地端子または接地母線と盤内接地線で接続せず、機器を取り付ける可動式取付け金具に接続している場合で、可動式取付け金具が金属ヒンジで取り付けられており盤本体と導通が確保できる場合は、専用の電線での接地は不要と考えられる。例を、解説図 -05 (f) に示す。
図5ab
図5cd
図5ef
3.5 接地端子の構造(箇条 5 )
本体でいう圧着端子締付け方式とは、電線の端末に圧着端子類を付け、その圧着端子類を配電盤側の金属ねじで締め付ける方式である。
また、電線締付け方式とは、電線の端末を、配電盤側に設けた締付け当て金または金属ねじの先端で締め付ける方式である。接地端子の例を、
解説図 -06 に示す。
図6
3.6 接地母線の構造(箇条 6 )
盤が列盤になる場合で、かつ、接地母線を設ける場合は、その一群にわたって接続する接地母線を設ける。
地母線のサイズは、JEM 1195、JEM 1265 および JEM 1425 により接地母線に流れる短絡電流および短絡時間が明確な場合は、次の計算方法で算出した 30mm2 以上の断面積を持つ接地母線を採用してもよいが、機械的構造強度の面より、従来から使用されている銅製の場合、25mm × 3mm(幅×厚さ)以上とした。
通電時間が 0.2 秒から 5 秒程度までの電流によって生じる熱的ストレスに耐えるようにするために、必要な接地導体の断面積は、次の式を用いて計算する。
ここに、
$S=\displaystyle \frac{ I }{ \alpha } \sqrt{ \displaystyle \frac{ t }{ ⊿\theta } }\ [ mm^2 ] $
S :導体断面積〔mm2
I :電流(実効値)〔A〕
α :材質による係数〔(A/mm2)/(s/H)1/2

ただし、次の値とする。

• 銅の場合 :13
• アルミニウムの場合  :8.5
• 鉄の場合 :4.5
• 鉛の場合 :2.5

t :通電時間〔s〕
⊿θ :温度上昇〔K〕

裸導体で通電時間が 2 秒以下の場合は、180K とする。通電時間が 2 秒超過 5 秒未満の場合は、 215K とする。この値は、熱放散を考慮している。
3.7 盤内接地線の太さ(箇条 7 )
接地用電線の太さは、電気設備技術基準の第 10 条および第 11 条、電気設備技術基準の解釈の第 17 条、第 18 条、第 20 条の各種接地工事の細目の規定に合わせた。盤内接地線が有効な接地となり得るためには、盤内にとどまらず盤外接地工事についても考慮する必要があるので、表 1 の接地工事の種類欄で、接地線に対する接地工事の基準を示した。表-01 の盤内接地線の太さは断面積〔mm2〕だけを示したが、これらに相当する直径〔φmm〕の値は、JEAC 8001 の 1350-3 で解説表 3 および解説表 4 のように示されている。したがって、この規格でも値を同等とみなして実施してよいものと考える。また、表-01 の盤内接地線の太さは、銅線の場合の最低基準値を示しているが、JEAC 8001 による太さの選定基準を、解説表-03 および解説表-04 に示す。
【解説表-03 C 種または D 種接地工事の接地線の太さ】
接地する機械器具の金属製外箱、配管などの低圧電路の電源側に施設される過電流遮断器のうち最小の定格電流の容量 一般の場合 移動して使用する機械器具に接地を施す場合において可とう性を必要とする部分にコードまたはキヤブタイヤケーブルを使用する場合
アルミ 単心のものの太さ 2 心を接地線として使用する場合の 1 心の太さ
20A 以下 φ1.6mm 以上 2 mm2 以上 φ2.6 mm 以上 1.25 mm2 以上 0.75 mm2 以上
30A 以下 φ1.6mm 以上 2 mm2 以上 φ2.6mm 以上 2 mm2 以上 1.25 mm2 以上
50A 以下 φ2.0mm 以上 3.5 mm2 以上 φ2.6mm 以上 3.5 mm2 以上 2 mm2 以上
100 A 以下 φ2.6 mm 以上 5.5 mm2 以上 φ3.2 mm 以上 5.5 mm2 以上 3.5 mm2 以上
【解説表-04 A 種接地工事の接地線の太さ】
A 種接地工事の接地線部分 アルミ
固定して使用する電気機械器具に接地を施す場合および移動して使用する
電気機械器具に接地工事を施す場合に可とう性を必要としない場合
φ 2.6mm 以上 5.5 mm2 以上 φ 3.2 mm 以上

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