前のページに戻る。
配電盤類の塗装技術
塗装工程の名称や塗装の種類・施工の現場で使う「用語」を極力リストアップした。
塗装工程の流れと周辺技術用語(語彙・ボキャブラリー)を知ることで、効率的なインターネット検索ができるように工夫しました。

目次 … 項目をクリックすると該当リストにジャンプします。

第 1 節:配電盤類の塗装技術

第 2 節:塗装に関する JIS 規格

第 3 節:制御盤鋼材について

第 4 節:防錆処理の準備

第 5 節:塗料の種類

第 6 節:塗料の乾燥と試験

第 1 節:配電盤類の塗装技術

(1) 塗装作業の流れ
日本配電盤工業会技術資料 JSIA-T1020 より引用しました。
配電盤類の塗装技術
 無断引用してすみません。
土下座

(2) 配電盤類の塗装仕様

【配電盤類の塗装仕様例】
区分 前処理工程 下塗り塗装の種類 中塗り塗装の種類 上塗り塗装の種類
屋内盤 ①脱脂化成 ①アルキド樹脂系プライマー
②メラミン樹脂系プライマー
③エポキシ樹脂カチオン電着塗料
④エッチングプライマー
①アルキド樹脂系プライマー
②メラミン樹脂系プライマー
①メラミン樹脂塗料
②ポリエステル樹脂粉体塗料

③エポキシ樹脂カチオン電着塗料
④水溶性アミノアルキド樹脂塗料
屋外盤 ①化成 ①メラミン樹脂系プライマー
②エポキシ樹脂カチオン電着塗料
①メラミン樹脂系プライマー
② 1 液形変性エポキシ樹脂プライマー
③メラミン樹脂系プライマー
①メラミン樹脂塗料
②焼付け硬化形アクリル樹脂塗料

③ポリエステル樹脂粉体塗料
耐塩 ①化成
②脱脂
①エポキシ樹脂プライマー
②エポキシ樹脂粉体塗料
③エポキシ樹脂カチオン電着塗料
①エポキシ樹脂プライマー ①ポリウレタン樹脂塗料
②焼付け硬化形アクリル樹脂塗料
③メラミン樹脂塗料
④ポリエステル樹脂粉体塗料
重耐塩 ①化成
②亜鉛溶射
①エポキシ樹脂プライマー
②厚膜形有機ジンクリッチペイント
③ポリエステル樹脂粉体塗料
④エポキシ樹脂プライマー
⑤フェノール変性エポキシ樹脂プライマー
⑥エポキシ樹脂カチオン電着塗料
⑦エッチングプライマー
⑧エポキシ樹脂プライマー
①エポキシ樹脂プライマー
②メラミン樹脂系プライマー
①ポリウレタン樹脂塗料
②焼付け硬化形アクリル樹脂塗料
③ポリエステル樹脂粉体塗料
化学工場(屋内設置盤) ①化成 ①エポキシ樹脂プライマー ①エポキシ樹脂プライマー ①上塗り用エポキシ樹脂塗料
化学工場(屋外設置盤) ①化成 ①エポキシ樹脂プライマー ①エポキシ樹脂プライマー ①上塗り用エポキシ樹脂塗料
②ふっ素樹脂塗料
超重耐塩 ①化成 ①エポキシ樹脂カチオン電着塗料
②エポキシ樹脂プライマー
③厚膜形有機ジンクリッチペイント
①エポキシ樹脂プライマー ①シリコンアクリル樹脂塗料
②ふっ素樹脂塗料

第 2 節:塗装に関する JIS 規格

【塗装に関する JIS 規格】
JIS H8300 亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金溶射-溶射皮膜の品質
JIS H8641 溶融亜鉛めっき
JIS K3151 塗装下地用りん酸塩化成処理剤
JIS K5500 塗料用語
JIS K5531 ニトロセルロースラッカー
JIS K5535 ラッカー系下地塗料
JIS K5551 エポキシ樹脂塗料
JIS K5552 ジンクリッチプライマー
JIS K5553 厚膜形ジンクリッチペイント
JIS K5572 フタル酸樹脂エナメル
JIS K5582 塩化ビニル樹脂エナメル
JIS K5600-1-1 塗料一般試験方法-第 1 部:通則-第 1 節:試験一般(条件及び方法)
JIS K5600-1-4 塗料一般試験方法-第 1 部:通則-第 4 節:試験用標準試験板
JIS K5600-1-7 塗料一般試験方法-第 1 部:通則-第 7 節:膜厚
JIS K5600-4-4 塗料一般試験方法-第 4 部:塗膜の視覚特性-第 4 節:測色(原理)
JIS K5600-4-5 塗料一般試験方法-第 4 部:塗膜の視覚特性-第 5 節:測色(測定)
JIS K5600-4-6 塗料一般試験方法-第 4 部:塗膜の視覚特性-第 6 節:測色(色差の計算)
JIS K5600-4-7 塗料一般試験方法-第 4 部:塗装の視覚特性―第 7 節:鏡面光沢度
JIS K5600-5-2 塗料一般試験方法-第 5 部:塗膜の機械的性質-第 2 節:耐カッピング性
JIS K5600-5-3 塗料一般試験方法-第 5 部:塗膜の機械的性質-第 3 節:耐おもり落下性
JIS K5600-5-4 塗料一般試験方法-第 5 部:塗膜の機械的性質-第 4 節:引っかき硬度(鉛筆法)
JIS K5600-5-6 塗料一般試験方法-第 5 部:塗膜の機械的性質-第 6 節:付着性(クロスカット法)
JIS K5600-6-1 塗料一般試験方法-第 6 部:塗膜の化学的性質-第 1 節:耐液体性(一般的方法)
JIS K5600-6-2 塗料一般試験方法-第 6 部:塗膜の化学的性質-第 2 節:耐液体性(水浸せき法)
JIS K5600-7-1 塗料一般試験方法-第 7 部:塗膜の長期耐久性-第 1 節:耐中性塩水噴霧性
JIS K5600-7-2 塗料一般試験方法-第 7 部:塗膜の長期耐久性-第 2 節:耐湿性(連続結露法)
JIS K5600-7-6 塗料一般試験方法-第 7 部:塗膜の長期耐久性-第 6 節:耐候性
JIS K5600-7-7 塗料一般試験方法-第 7 部:塗膜の長期耐久性-第 7 節:促進耐候性(キセノンランプ法)
JIS K5600-8-1 塗料一般試験方法-第 8 部:塗膜劣化の評価-第 1 節:一般的な原則と等級
JIS K5600-8-2 塗料一般試験方法-第 8 部:塗膜劣化の評価-第 2 節:膨れの等級
JIS K5600-8-3 塗料一般試験方法-第 8 部:塗膜劣化の評価-第 3 節:さびの等級
JIS K5600-8-4 塗料一般試験方法-第 8 部:塗膜劣化の評価-第 4 節:割れの等級
JIS K5600-8-5 塗料一般試験方法-第 8 部:塗膜劣化の評価-第 5 節:はがれの等級
JIS K5600-8-6 塗料一般試験方法-第 8 部:塗膜劣化の評価-第 6 節:白亜化の等級
JIS K5633 エッチングプライマー
JIS K5651 アミノアルキド樹脂塗料
JIS K5656 建築用ポリウレタン樹脂塗料
JIS K5657 鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料
JIS K5658 建築用ふっ素樹脂塗料
JIS K5659 鋼構造物用ふっ素樹脂塗料
JIS K5981 合成樹脂粉体塗装製品の塗膜

第 3 節:制御盤鋼材について

第 3-1 項:鋼板の種類と特徴

盤の板厚は、「 JEM 1459:配電盤・制御盤の構造および寸法」を参照願います。  JEM 1459:配電盤・制御盤の構造および寸法
代表的な板厚は、1.6〔mm〕、2.0〔㎜〕、2.3〔㎜〕、3.2〔㎜〕です。

(1) 熱圧延
制御盤では、主に熱圧延鋼板を筐体の外側や中板、扉などに使用する。

高温下で圧延する事で材料の変形抵抗力が小さくなり、比較的小さい力で圧延することができ、加工性に優れた加工方法といえる。
高温になった材料を大きなロール圧力でつぶすことで、金属の結晶がより強固になり、ねばり強い金属にすることができる。

 熱圧延のデメリット
• 材料を高温にするために膨大なエネルギーを必要とする。
• 材料熱膨張で寸法の不均一が起こる事で圧延後の寸法精度が落ちる。
• 圧延加工中は非常に高温となるため、空気中の酸素と金属表面が結合して酸化膜が形成され、表面が不均一になり、
 見た目も光沢のない表面になる。

(2) 冷圧延
冷圧延鋼板( SPCC )を原板に、電気亜鉛メッキを施したものは、加工性が良くメッキ層が薄いので、屋外より屋内での利用に適している。

 冷圧延のデメリットは、
• 冷圧延のデメリットとしては、熱圧延と比較して加工性が劣る。
• 冷圧延では、常温のまま加工するため、金属の再結晶温度以下で加工することになる。
• 1〔Pa〕当たりの圧下量を大きく取ることができず加工性は劣る。
• 何回も繰り返し圧延を行う事で加工硬化が発生するため、目標の板厚に達するために焼きなまし等の熱処理が必要になる場合がある。

(3) ステンレス鋼
鋼よりも強度が強く、耐食性に優れてるが、粘りが強く加工しにくい。
SUS 304(別名 18Cr-8Ni、18 クロムステンレス)などがある。

(4) アルミニュウム製
アルミを母材に使っている鋼材は「ケーブル導入口」や大電流設備の「ケーブルラック」に使われることが多い。
材質が軽くて錆びにくく、穴をあけるなどの加工にも適している。

(5) FRP 製
FRP(エフアールピー)は、Fiber Reinforced Plastics の頭文字を取った言葉で「繊維強化プラスチック」。
絶縁性が良いことと軽量のため、工場では仮設盤などで使うことがある。

(6) 鋼材の選定 … 耐塩特性(塩水噴霧の比較)
実験からもガルバリウム鋼の耐候性が高いことがわかる。
発錆

(7) 溶融亜鉛めっき … 俗称:ドブ漬け。
溶融した亜鉛中に鋼板を浸透させて亜鉛めっきする。
JIS H8641:溶融亜鉛めっきより引用

【溶融亜鉛めっきの種類と記号】
種類 記号 適用例
1 種 A HDZ A 厚さ 5〔mm〕以下の鋼材・鋼製品、鋼管類、直径 12〔mm〕以上の
ボルト・ナットおよび厚さ 2.3〔㎜〕を超える座金類。
1 種 B HDZ B 厚さ 5〔mm〕を超える鋼材・鋼製品、鋼管類および鋳鍛造品類。
2 種 35 HDZ 35 厚さ 1〔mm〕以上 2〔mm〕以下の鋼材・鋼製品、直径 12〔mm〕以上の
ボルト・ナットおよび厚さ 2.3〔㎜〕を超える座金類。
2 種 40 HDZ 40 厚さ 2〔mm〕以上 3〔mm〕以下の鋼材・鋼製品、鋼管類および鋳鍛造品類。
2 種 45 HDZ 45 厚さ 3〔mm〕以上 5〔mm〕以下の鋼材・鋼製品、鋼管類および鋳鍛造品類。
2 種 50 HDZ 50 厚さ 5〔mm〕超える鋼材・鋼製品、鋼管類および鋳鍛造品類。
2 種 55 HDZ 55 過酷な腐食環境下で使用される鋼材・鋼製品、鋼管類および鋳鍛造品類。
HDZ 55 のめっきを要求するものは、素材の厚さ 6〔mm〕以上であることが望ましい。

(8) 溶融亜鉛めっき皮膜破損部の補修方法

(8) ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム 55〔%〕、亜鉛 43.4〔%〕、シリコン 1.6〔%〕から成る、アルミ亜鉛合金めっき鋼板。
アルミニウムの特徴である耐食性、加工性、耐熱性、熱反射性と、亜鉛の特徴である「犠牲防食機能」により、従来の鋼板よりも、耐久性に優れ、
あらゆる用途に対応できる鋼板。

2010 年版 公共建築工事標準仕様書で、自動制御盤について防錆処理を施したガルバリウム鋼板の使用が記載された。

現役の頃、大容量インバータ盤の中板(基板)に、ガルバリウム鋼板を使っているのを見たことがある。
盤設計のエンジニアは、インバータ機器の接地の容易性を重視したと思われるが、もしもユーザーの立場であれば納得できない。
ガルバリウム鋼板の特徴は、「犠牲防食」と「不動態皮膜」がある。これが、中板(基板)としてデメリットとして働くと思っている。

など、本来の機能(目的)を誤った使い方をしている、と思っている。

第 4 節:防錆処理の準備

第 4-1 項:塗装前の処理

(1) 塗装前処理の目的
金属表面を綺麗で均一に滑らかな表面として塗料が密着しやすい状態とすることで、塗装剥離などを防ぎ金属の耐食性を向上させる。
塗装前処理をしていない状態だと、金属表面に油脂や汚れ、サビなどが付着しており、塗装をしても塗膜がしっかり付かない場合がある。
一見塗装できたと思っても凸凹になったり、後で剥がれやすくなる原因になる。

(2) 塗装前の異物除去処理
鉄素材は、表面が清浄になると発錆しやすくなるため、単に除去するだけでなく除去後できるかぎり速やかに塗装する。
また、塗装するまでの間の短期防錆を行なう。

(3) 塗装前の前処理の工程

(4) マスキング処理
制御盤や配電盤の接地端子部や、発熱機器を中板(基板)と密着させるときなど、任意の部分に塗装したくないときに予めマスキングテープを貼る。
この前処理がない場合は、一文字キリやヤスリを使って塗装をはぐ。 … これが意外と手間がかかる作業。
マスキング

第 4-2 項:パテ工程

(1) パテ材料

(2) パテ塗り処理工程

(3) パテ塗り工程の作業要領

(5) パテ研ぎの作業要領

第 5 節:塗料の種類

第 5-1 項:塗料の種類

(1) プライマー
プライマーは英語で「primer」といい、「最初の」という意味がある。
プライマーは密着を良くするための下塗りで、はじめに下地に塗る「下塗り材」という意味で使われる。

プライマーとは塗装とか接着を行う場合に、第 1 層に塗布する下地処理材料のことをいう。
プライマーは防錆性、金属素地や上塗り塗料に対する付着性、温度変化による膨張、収縮に対する順応性などに優れたものでなければならない。
プライマーは塗装のみでなく接着にも重要な役割をもっている。

(2) サーフェーサー
サーフェイサーは下塗り材(プライマー)が塗られた上に、上塗りの効力がより発揮されるべく施されます。上塗りの仕上がりに重点が置かれた
下塗り塗料がサーフェイサーといえる。塗膜の平滑性を向上させるために塗布されるもので、一般に下塗りと上塗りの中間に使用することが多く、
中塗り塗料を指す場合が多い。

 プライマー/サーフェーサー

(3) 二液形塗料
2 つの成分を混合して塗料の硬化反応を開始させてから塗布する塗料。
硬化反応があまり進まない数時間のうちに塗布を終わらせ、自然乾燥又は強制乾燥する。

(4) 一液形塗料
塗布前に混合を必要としない一般的な塗料で、焼付け塗料はほとんどこの 1 液形。

第 5-2 項:下塗り塗料の種類

🟢 下塗り塗料の主な種類

(1) アルキド樹脂系プライマー
アルキド( alkyd )は、アルキッドとも呼ばれ、ポリエステルに属する樹脂のグループである。

(2) エッチングプライマー … 配電盤類に使用することが少ない下塗り塗料
金属塗装の際に用いる下塗り塗料である。「ウオッシュプライマー」とも言う。
金属表面を科学的に変化させながら塗膜を形成し、金属素地への塗装系の付着性を増加する目的のものと、本格塗装を行うまでの間、一次的に
防錆のために用いるものとがある。

素地の金属と反応するためのジンククロメートりん酸と、プチラール樹脂などのアルコール溶液などが主成分の液状で、主剤と添加剤との
2 液型となっている。

エッチングプライマーは「JIS K 5633」によって 1種、2 種の 2 種類に規定されている。
1 種は、金属素地に対する塗装系の付着性を増加する目的で、塗りつけた後、数日以内に次の塗料を塗り重ねる。
2 種は、本各塗装を行うまでの間、一時的に防錆力を付与する目的で塗り付けた後、数ヶ月以内に次の塗料を塗り重ねる。

(3) エポキシ樹脂カチオン電着塗料
カチオン電着塗装とは、低濃度で水溶性の電着塗料(陽極)の中に、被塗物(エバポレータ等)を浸漬させ陰極とし、直流電流をかけることで
それぞれ違う極性の静電気を負わせることで塗料を行う塗着電着塗装技術である。
カチオンとは陽イオンのことで、非常に高い耐食性を持つことも大きな特徴がある。

電極付近では塗料が化学反応を起こし不溶性の樹脂(ポリマー/重合体)となり、複雑な構造体であってもピンホールなく均一で密着性の
高い塗膜を形成することが可能である。塗膜は防錆性能に優れ、エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂の総称)系塗料で表面がコーティングされるので
耐防食性も高いことが特長である。

(4) エポキシ樹脂プライマー
エポキシとは、熱硬化性樹脂の総称である。

(5) エポキシ樹脂粉体塗料
エポキシ樹脂粉体塗装とは、粉体塗料のうちエポキシ樹脂を主成分とした塗料を用いた塗装法である。
粉体塗料とは固体状の塗料であり、金属表面に密着したのち乾燥することで塗膜を形成する。
エポキシ樹脂粉体塗装は、溶剤を一切含んでない。そのため、有害成分を発生することなく塗装加工をすることができる。
一般的な塗料には溶剤が含まれており、溶剤が揮発する際の有害成分による公害や衛生的問題に配慮する必要がある。

(6) フェノール変性エポキシ樹脂プライマー
エポキシ樹脂塗料は硬化の種類によって常温硬化型と加熱硬化型に分類される。
常温硬化型は、主に二液型塗料として高度の防食性、耐薬品性が要求される用途に使用される。
加熱硬化型は、粉体塗料等としてパイプ内外面、電気、電子部品等に使用される。
変性エポキシ樹脂塗料に対する意味で、ピュアーエポキシ樹脂塗料と呼ばれる場合もある。

エポキシ樹脂に対し、変性樹脂を加えたり樹脂骨格を変えたりした樹脂を用いた塗料である。
フェノール変性することにより、一液での仕様が可能となったり、内部応力の緩和やサビ層への浸透性の向上など、様々な特徴が付加される。

(7) ポリエステル樹脂粉体塗料
ポリエステル樹脂粉体塗装で用いられているポリエステル樹脂の特徴として、耐久力が強く耐候年数が長い点がある。
粉体塗料に共通する最大の特徴として、塗膜の硬さがある。粉体塗装は固体樹脂を顔料とともに金属表面へ直接付着させる表面処理加工であるため、
液状塗装に比べて比較的硬い塗膜を形成することができる。

粉体塗装ならば 1 回の塗装加工で約 100〔μm〕ほどの塗膜を形成することができる。
溶剤塗装による塗膜の膜厚に比べて、約 5 倍の厚さになる。粉体塗装による塗膜は、硬度が高く膜厚も厚いため耐久性が高い塗膜であるといえる。
粉体塗装は防錆効果も高い塗装である。膜厚が厚いこともあり、金属表面と空気を遮断する役割を担う。

(8) メラミン樹脂系プライマー
メラミン樹脂は、網目状に架橋することで熱硬化樹脂となる。

(9) 厚膜形有機ジンクリッチペイント

第 5-3 項:中塗り塗料の種類

🟢 中塗り塗料の主な種類

(1) 1 液形変性エポキシ樹脂プライマー
エポキシ樹脂に対し、変性樹脂を加えたり樹脂骨格を変えたりした樹脂を用いた塗料である。
変性することにより、一液での仕様が可能となったり、内部応力の緩和やサビ層への浸透性の向上など、様々な特徴が付加される。

(2) アルキド樹脂系プライマー
第 5-2 項:下塗り塗料の種類 のアルキド樹脂系プライマーを参照願います。

(3) エポキシ樹脂プライマー
第 5-2 項:下塗り塗料の種類 のエポキシ樹脂プライマーを参照願います。

(4) メラミン樹脂系プライマー
第 5-2 項:下塗り塗料の種類 のメラミン樹脂系プライマーを参照願います。

第 5-4 項:上塗り塗料の種類

🟢 上塗り塗料の主な種類

(1) シリコンアクリル樹脂塗料
シリコン成分を付与したアクリル樹脂を主成分とする塗料。アクリル樹脂塗料よりも耐候性に優れる。
シリコンアクリル樹脂塗料は長期間紫外線を浴びても光沢がよく維持されるが、極めて高価な塗料である。
屋外においては塗膜自身がいくら光沢を維持しても排気ガスなど表面の汚染物質を定期的に除去しない限り製品としての光沢は維持できない。

(2) ポリウレタン樹脂塗料
ウレタン樹脂塗料は、主剤として複数の水酸基を持つ樹脂(ポリオール)と硬化剤としてのポリイソシアネートを組み合わせた塗料の総称で、
使用するポリオールとポリイソシアネートの組み合わせ次第で、様々な特徴を示す。
塗料としては、耐候性が求められる上塗りとしてよく用いられる。一液湿気硬化型の下塗りや低温硬化型塗料としても用いられる。

(3) メラミン樹脂塗料
メラミン樹脂焼付塗装とは、メラミン樹脂塗料を用いて焼付塗装を施す塗装法である。
焼付塗装とは、金属表面への塗装加工の際によく施される加工法であり、主に塗料・塗装の強度を高めることを目的としている。
メラミン樹脂塗料を用いた塗装にはこの焼付塗装加工が用いられる。

焼付塗装の加工方法は、塗料皮膜の樹脂に熱を加えることによって塗料被膜を硬化するという方法である。
焼付塗装の際に加える熱は、一般的に 100〔℃〕以上になる。焼付塗装を行うことによって、塗料皮膜の硬度や耐摩耗性など、
板金加工製品に必要な性質を向上させることができる。

メラミン樹脂塗装の特徴として、表面に光沢があることがあげられる。
メラミン樹脂塗装は、前述した焼付塗装がなされることが多いが、光沢のある焼付塗装として板金製品に用いられる塗装加工法である。
硬度も高く耐水性にも優れており、一般的に使用されている塗装である。

(4) 上塗り用エポキシ樹脂塗料

(5) ふっ素樹脂塗料
フッ素樹脂とは組成内にフッ素原子を含む重合体のことで、原子間の結合力が強いことが知られている。
フッ素樹脂にも様々な種類があり分子構造も細かく異なるが、C-F 間の結合は非常に強力であり、このことがフッ素樹脂最大の特徴である極めて
優れた耐候性を生み出している。
フッ素樹脂の分子構造

(6) ポリエステル樹脂粉体塗料
ポリエステル樹脂粉体塗装で用いられているポリエステル樹脂の特徴として、耐久力が強く耐候年数が長い点がある。
粉体塗料に共通する最大の特徴として、塗膜の硬さがある。粉体塗装は固体樹脂を顔料とともに金属表面へ直接付着させる表面処理加工であるため、
液状塗装に比べて比較的硬い塗膜を形成することができる。

粉体塗装ならば1 回の塗装加工で約 100〔μm〕ほどの塗膜を形成することができる。
溶剤塗装による塗膜の膜厚に比べて、約 5 倍の厚さになる。粉体塗装による塗膜は、硬度が高く膜厚も厚いため耐久性が高い塗膜であるといえる。
粉体塗装は防錆効果も高い塗装である。膜厚が厚いこともあり、金属表面と空気を遮断する役割を担う。

(7) 焼付け硬化形アクリル樹脂塗料

ガラス質である   アクリル樹脂焼付塗装とメラミン樹脂焼付塗装は共にプラスチックであるが、アクリル樹脂焼付塗装はガラス質で
 高級感のある光沢を持つ。
焼付温度が高いため耐熱性に優れる   上述したように、アクリル樹脂焼付塗装では、焼付に 140 ~ 180〔℃〕程度の高温が必要となるため、
 110 ~ 160〔℃〕程度で焼付可能なメラミン樹脂焼付塗装よりも焼付温度が高い。そのため、耐熱性は、アクリル樹脂焼付塗装の方が高いと
 言える。
初期コストが高い   アクリル樹脂焼付塗装は、施工コストと塗料の価格が共にメラミン樹脂焼付塗装よりも高い。
長持ちするため長期的コストは低い。

(8) エポキシ樹脂カチオン電着塗料
第 5-2 項:下塗り塗料の種類 のエポキシ樹脂カチオン電着塗料を参照願います。

(9) ポリエステル樹脂粉体塗料

(10) メラミン樹脂塗料
メラミン樹脂塗装の特徴として、表面に光沢があることがある。
メラミン樹脂塗装は、前述した焼付塗装がなされることが多いが、光沢のある焼付塗装として板金製品に用いられる塗装加工法である。
また、硬度も高く耐水性にも優れており、一般的に使用されている塗装である。

(11) 水溶性アミノアルキド樹脂塗料

第 6 節:塗料の乾燥と試験

第 6-1 項:塗装の乾燥

(1) 焼付け乾燥
塗布後の加熱により塗膜が形成できる塗料を焼付け塗料または焼付け形塗料といい、通常は乾燥設備内で 100〔℃〕以上に加熱して硬化乾燥させる。
塗料によっては 200〔℃〕程度の加熱を必要とするものもある。焼付け塗装が用いられるもの

第 6-2 項:塗装の試験

(1) 耐アルカリ性試験
使用環境例:酸性ガスを発生する場所(化学工場、食品工場等)や重工業地帯、温泉等の特殊ガスを発生する場所を想定。
5〔%〕NaOH 溶液で、1 種:168 時間、2 種:120 時間、3 種:72 時間浸して試験する。

(2) 耐酸性試験
使用環境例:アルカリ性ガスを発生する場所(化学工場、食品工場等)、重工業地帯、温泉等の特殊ガスを発生する場所を想定。
5〔%〕H2SO4に 1 種:168 時間、2 種:120 時間、3 種:72 時間浸して試験する。

(3) 耐塩性試験
使用環境例:海岸から 300〔m〕を超え 1〔km〕以内の屋外、屋側を想定。
耐塩水噴霧性 500 時間の塩水噴霧試験を行なう。

(4) 重耐塩仕様
使用環境例:海岸から 300〔m〕以内の屋外、屋側を想定。
耐塩水噴霧性 1000 時間の塩水噴霧試験を行なう。

(5) 鉛筆硬度試験(旧 JIS K5400 鉛筆引っかき試験)
鉛筆硬度試験はあくまで塗装の性能、性質を表す 1 指針です。

第 6-3 項:塗装の保守

(1) タッチアップペイントの例

• ライトベージュ色(5Y7/1)
• クリーム色(2.5Y9/1)
• ブルーグレー色(7.5BG6/1.5)
• N ベージュ色(5Y8/1)
• グレー色(N7)
• クリーム色(2.5Y9/2)
• クリーム色(7.5Y9/1)
• クリーム色(2.5Y8/2)
• クリーム色(2.5Y9/3)
• ホワイト色(N9.5)
• ダークブラウン色(5YR2/1.5)
• ライトグリーン色(2.5G6/3)
• オレンジ色(2.5YR6/14)
• ペールホワイト色(10YR8.5/0.5)
• ブラック色(N1)

Top_Page Return

inserted by FC2 system