第 6 章:盤外部品の技術情報 |
(1) インバータ回路の回生制動の仕組み
惰性回転中の電動機に回転速度よりも、若干低い周波数の励磁電流を流すと誘導発電機(回生制動)となって、
フライホイルダイオードで三相全波整流で整流されて発電電力を電源に帰還する。
三相誘導電動機の円線図は上半分を見ることが多いが、円線図を全体を見ると下半分は回生領域を表している。
回生電流は励磁電流の周波数に依存し進み力率になることが円線図から読み取れる。
(1) 誘導電動機の無効電力制御
インバーターユニットは、V/F 制御をおこなって電力から動力への効率を高めている。
効率と力率は別もので、インバーター駆動であっても誘導電動機の無効電力は誘導電動機の特性に依存するため運転中は必ず発生する。
(2) 有接点と無接点の違い
機械式接点の導電性は双方向性だが、無接点(半導体スイッチ)は非双方向になるので動作を考えるうえで注意を要する。
(3) インバーター内の(+)側トランジスタと(-)側トランジスタは、内部短絡防止のため同時にオンすることは絶対にない。
(4) インバーター回路の無効電力の説明
• 「領域Ⅰ」では、電圧が 0 → (+)側に増加しているがインバーター電流は(-)領域にある。
• 「領域Ⅱ」では、電圧が 0 → (-)側に減少しているがインバーター電流は(+)領域にある。
いずれの場合も、トランジスタの ON 順方向と逆向きの電流が流れている。(電圧方向と無効電流方向は平面図では分かりにくい。)
トランジスタは逆方向耐圧が小さいので、無効電流はフライホイルダイオードを介して還流する仕組みにしている。(制御でなく垂れ流し状態)
電圧と無効電流は、ベクトル的には時間差があるのでキルヒホフの法則は当てはまらない。
(1) インバータ回路の地絡イメージ
インバーター 2 次側の地絡保護は確実に機能するとは限らない。その理由は、
三相誘導電動機の可変速度制御 | オープンループ | V/F 制御 |
クローズドループ | すべり周波数制御 | |
ベクトル制御 |
三相誘導電動機を直流分巻電動機や AC サーボ並みにベクトル制御するためには、パラメータで定数を設定する必要がある。
V/F 制御
三相誘導電動機の回転速度は電源周波数と極数によって決まるので、電源周波数を変化させれば電動機の可変速運転が可能になる。
周波数変動に伴い誘導電動機内部インピーダンスも変化するので、適正な励磁制御をしないと磁束の過不足でモータ性能が出ないことがある。
V/F 制御は周波数変化に伴い電動機端子電圧も変化させて励磁を一定に保つ制御を行う。
すべり周波数制御
誘導電動機のトルクを発生させるには、励磁電流よりも若干遅い速度(すべり周波数)で回転する。
すべり周波数制御は電動機速度を PLG で検出し、すべり周波数による回転数低下を補正した制御をする方式である。
ベクトル制御
直流電動機は速度制御が良いがカーボンブラシ交換など保全性が悪い。比較的保全が簡単で堅牢な誘導電動機で直流機並みの制御性をもたせたもの。
直流機の界磁電流に相当するものは誘導電動機の界磁電流で同じ。直流機の電機子電流は、誘導電動機のトルク分電流に相当する。
電動機駆動の原理は「フレミング左手の法則」に従う。
(1) 誘導電動機のベクトル制御
誘導電動機は励磁電流とトルク分電流で駆動するので、ベクトル制御は「励磁電流」と「トルク分電流」の合成電流をインバータから供給する。
(2) 電圧制御形 PWM 形インバータと電流制御形 PWM 形インバータの違い。
インバータは電圧制御形 PWM 形インバータ、AC サーボは電流制御形 PWM 形インバータで駆動する。
AC サーボモータは、電流制御することでサーボロックができる。
インバータ | AC サーボ | |
---|---|---|
電圧波形 | ||
電流波形 |
(3) ベクトル制御の種類
三菱電機(株)は「汎用磁束ベクトル制御」「磁束ベクトル制御」、「アドバンス磁束ベクトル」、「ベクトル制御」などがある。
基本は「汎用ベクトル制御」と「高性能ベクトル制御」の 2 種類。
制御モードは AC サーボ並みに「速度制御」、「トルク制御」、「位置制御」がある。
三菱電機(株)INV テクニカルニュース 三菱汎用インバータの各種制御方式より引用
URL: https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/document/technews/inv/mf-p-048/mfp048.pdf
項目 | V/F 制御 | 汎用磁束ベクトル制御 | 磁束ベクトル制御 | アドバンス磁束ベクトル | ベクトル制御 | |
---|---|---|---|---|---|---|
組合せモータ | 標準モータ | 標準モータ | 標準モータ | 標準モータ | 専用モータ | |
チューニング機能 | 不要 | 不要 | 標準 | 標準 | 標準 | |
始動トルク 低速トルク |
1〔Hz〕:30〔%〕 3〔Hz〕:30〔%〕 6〔Hz〕:80〔%〕 |
1〔Hz〕:30 ~ 50〔%〕 3〔Hz〕:150〔%〕 6〔Hz〕:150〔%〕 |
1〔Hz〕:150〔%〕 3〔Hz〕:150〔%〕 6〔Hz〕:150〔%〕 |
0.5〔Hz〕:30〔%〕 3〔Hz〕:30〔%〕 6〔Hz〕:80〔%〕 |
1〔rpm〕:150〔%〕 90〔rpm〕:150〔%〕 180〔rpm〕:150〔%〕 |
|
速度検出器(PLG) | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 | |
速度制御範囲 | 1:10 | 1:15 | 1:20 | 1:120 | 1:1500 | |
すべり補正 | 有無 | なし | なし | あり | あり | あり |
特性 | 速度変動率:2 ~ 5〔%〕 (負荷の大きさで決まる) |
速度変動率:2 ~ 5〔%〕 (負荷の大きさで決まる) |
速度変動率:1〔%〕 (負荷に影響されない) |
速度変動率:1〔%〕 (負荷に影響されない) |
速度変動率:0.01〔%〕 (負荷に影響されない) |
|
トルク特性 | なし | なし | なし | なし | 標準装備 | |
速度制御 ( PLG フィードバック) |
有無 | オプション取付け可能機種は、 PLG +オプションで可能 |
なし | PLG +オプションで可能 | PLG +オプションで可能 | 標準装備 |
特性 | 速度変動率:±0.02〔%〕 (負荷に影響されない) |
なし | 速度変動率:±0.02〔%〕 (負荷に影響されない) |
速度変動率:±0.02〔%〕 (負荷に影響されない) |
速度変動率:0.01〔%〕 (負荷に影響されない) |
|
制御応答性 | 10 ~ 20〔rad/s〕 | 20 ~ 30〔rad/s〕 | 20 ~ 30〔rad/s〕 | 20 ~ 30〔rad/s〕 | 200〔rad/s〕 | |
モータ複数台駆動 | 可 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 | |
用途 | • ファン • ポンプ • 一般産業機械など |
• 一般産業機械 • 搬送機械など |
• 一般産業機械 • 搬送機械 • 昇降用途など |
• 一般産業機械 • 搬送機械 • 昇降用途など |
• 昇降用途 • ライン制御など |
|
適用機種 | 全シリーズ | FR-A024、A044、E500 | FR-A200 | FR-A500 | FR-V200 |
●始動トルク
磁束ベクトル制御は、冷却ファインを軸直結駆動から独立させ、一定速で定冷却することですることで高いトルクを保証する。(赤線)
●すべり補正
誘導電動機の 1 次側と 2 次側の間には「すべり周波数」結合しているが考え方は変圧器と同じ。
単純な電磁結合と違うため、1 次側電流から 2 次側電流(トルク分電流)を測定できない。
このため、インバータの負荷電流に応じたトルク分電流をパラメータで設定する必要がある。
制御方式 | すべり補正方式 |
---|---|
磁束ベクトル制御、 アドバンスト磁束ベクトル制御 |
モータ定数と出力電流からすべり分を予測計算して自動補正 |
汎用磁束ベクトル制御 | 定格すべり分をパラメータに設定し、出力電流からすべり分を 計算して自動補正(パラメータ設定が必要) |
●制御応答性〔rad/s〕
応用性のため回転速度〔rpm〕よりも時間単位の変化の方が馴染みやすい。
1〔rad/s〕= 60/(2・兀)〔rpm〕≒ 9.5493〔rpm〕
• 20〔rad/s〕= 190〔rpm〕
• 30〔rad/s〕= 286〔rpm〕
電動機回転数の 10〔%〕程度の応答性であまり速くない。ベクトル制御は回転速度と同程度の高速応答性がある。
●電流検出回路の例
V/F 制御の電流フィードバック回路は単純だが、アドバンス磁束ベクトルは電圧・電流の両方を検出して制御性を高めている。
ベクトル制御は PLG でフィードバックして更に高度な制御をしている。
(1) AC サーボモータ(永久磁石表面貼付け同期電動機)
中小型 AC サーボは、トルク管理を重視するため永久磁石表面貼付け同期電動機( SPMSM )を使う。
電気自動車などの高トルクを出す場合は、永久磁石埋込み同期電動機( IPMSM )を使う。
(2) 汎用インバーターユニットとサーボアンプの出力制御の違い
汎用インバーターユニットの出力は、電圧制御 PWM 方式で出力波形を制御する。
サーボアンプアンプの出力は、電流制御 PWM 方式で出力波形を制御する。 … 電圧波形や電流波形にはあまり意味がない。
矩形波は PWM (パルス幅変調)を示す。正弦波は誘導性リアクタンスの影響を受けての波形を示す。
電圧波形 | 電流波形 | |
---|---|---|
汎用インバータ | ||
AC サーボアンプ |
(3) AC サーボモータ電流制御の意味
一般の同期電動機は出力調整のため、回転子の界磁電流を調整する。
出力に対して励磁の増減をすることで力率を進めたり遅れたりさせて調整する。
AC サーボモータ(同期電動機)の回転子は永久磁石が貼り付けられているので界磁の強さは一定で、負荷電流が増えると勝手に力率が変わる。
もしも電源電圧が一定で負荷電流が変われば、回転子に貼付けた永久磁石磁極軸とトルク角が変化する。(挿絵はトルク角変動のイメージ図)
AC サーボモータの命は、固定子に直結直結したエンコーダによる位置制御。 … この条件は最重要項目。
誘導電動機の力率角に相当するものと考えている。
回転子磁極軸とトルクベクトルが一定の電気角になるように励磁電流を制御していると思う。
(1) 連続使用 S1
実質的に一定な負荷で、誘導機が熱的平衡に達する時間以上に継続運転する使用
(2) 短時間使用 S2
実質的に一定な負荷で、誘導機が熱的平衡に達しない範囲の指定期間継続運転した後に、誘導機を停止し、
次回の始動時までに誘導機の温度と冷媒温度との差が 2〔K〕以内まで降下する使用
(3) 反復使用 S3
実質的に一定な負荷の運転期間および電圧を印加しない停止期間とを一周期として、これを反復する使用
• N:一定負荷での運転期間
• R:停止して電圧の印加されない期間
(4) 始動の影響のある反復運転 S4
温度上昇に与える影響が無視できない始動期間、実質的に一定な負荷の運転期間および電圧を印加しない停止期間とを一周期として、
これを反復する使用
(5) 反復負荷連続使用 S6
実質的に一定な負荷の運転期間および電圧を印加しない停止期間とを一周期として、これを反復する使用
三相誘導電動機の定格には、220〔V〕50〔Hz〕の表示がない。その理由に対してさまざまな意見がある。
銘板の値から円線図を描き起こして考えてみたが、決定的な結論は得られなかった。
(1) 3 定格の比較 … 三菱電機(株)3 相誘導電動機 7.5〔kW〕 200〔V〕 4 極のデータを引用。
3 定格の値をプロットすると 50〔%〕負荷、75〔%〕負荷、100〔%〕負荷を結ぶと微妙に円弧を描いている。
200〔V〕 50〔Hz〕の電流が大きく、200〔V〕50〔Hz〕と220〔V〕60〔Hz〕の虚数電流(無効電流)の大きさは比例している。
このことから、220〔V〕50〔Hz〕の無効電流が大ききなることが推測できる。
(2) L 形簡易等価回路から220〔V〕50〔Hz〕の電流、トルクなどを考える
三相誘導電動機を △ → Y 変換して 1 相分のみを考えると、周波数は、50〔Hz〕のままなので励磁回路のインピーダンスは変わらないが、
電圧を 200〔V〕 → 220〔V〕にすると算数的には励磁電流は 1.1 倍になる。しかし、励磁回路の磁束密度曲線は非直線形です。
電圧を大きくすると磁束飽和に近づくため、励磁電流は 1.1 倍以上になると考えられる。
励磁電流が大きくなると発熱量も大きくなる。
(3) 電流軌跡と円線図
電流軌跡が微妙に円弧になってっている。3 つのデータがあれば、三相誘導電動機の円線図が描けるのではないかと考えた。
電気設備でよく目にするベクトル図と円線図は実数電流・虚数電流のベクトル図が異なり、一般的なベクトル図を 270〔deg〕回転させた
「共役複素数」で描かれている。円線図が描ければ「無負荷励磁電流」がわかる … はず。
(4) 3 点を通る円を描くための方程式アルゴリズム(計算式)を考える。
3 点を通る円の方程式は、「標準形」と「一般形」がある。
🟠 標準形方程式:( x - a )2 + ( Y - b )2 = r2 … 電気で使う方程式
🟢 一般形方程式:x2 + y2 + $ \ell $ x + m y + n = 0 … 受験生が使う方程式
3 点を通る円の軌跡の方程式は、一般形方程式を求めから標準形に変換する。この計算過程で「平方完成」の手法を使う。
①一般形方程式( 1 次 3 元連立方程式)の $ \ell $ と m は、関数電卓を用いれば簡単に計算できる。
② Excel の MINVERSE 関数および MDETERM 関数を使っても計算できる。
③プログラミングするには、行列式と掃き出し法などがある。
出力 〔kW〕 |
電圧 〔V〕 |
周波数 〔Hz〕 |
50〔%〕負荷 | 75〔%〕負荷 | 100〔%〕負荷 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
電流〔A〕 | 効率 η | 力率 φ | 電流〔A〕 | 効率 η | 力率 φ | 電流〔A〕 | 効率 η | 力率 φ | |||
5.5 | 200 | 50 | 13.3 | 86.4 | 68.9 | 17.1 | 87.7 | 79.6 | 21.5 | 87.4 | 84.6 |
5.5 | 200 | 60 | 11.8 | 87.3 | 77.4 | 15.9 | 88.3 | 85.0 | 20.6 | 87.6 | 88.0 |
5.5 | 220 | 60 | 11.8 | 86.2 | 70.8 | 15.2 | 88.0 | 80.8 | 19.2 | 88.1 | 85.5 |
7.5 | 200 | 50 | 17.4 | 87.7 | 71.1 | 22.6 | 88.6 | 81.2 | 28.7 | 88.0 | 85.8 |
7.5 | 200 | 60 | 15.4 | 88.7 | 79.1 | 21.1 | 89.3 | 86.2 | 27.6 | 88.5 | 88.8 |
7.5 | 220 | 60 | 15.4 | 88.2 | 72.4 | 20.1 | 89.5 | 82.0 | 25.5 | 89.3 | 86.4 |
(4) プログラムで円線図がうまく描けなかった
電動機の容量ごとの 200〔V〕50〔Hz〕、200〔V〕60〔Hz〕、220〔V〕60〔Hz〕を 3 つの方法で「 3 点を通る円の方程式」を計算した。
同じ容量の電動機であれば、$ \ell $ や m はどの条件でも同じ値にになるはずだが、計算結果がばらつく。
その理由は、m(虚数・無効分)が非線形が原因ではないかと思います。
CAD で電流ベクトルをプロットしてみると、励磁電流(虚数分・無効電流分)が大きいことが読み取れる。
(1) 電動機損失の分類
誘導電動機回転子のスキューが回転方向に直角に設置すると磁気的にスムーズに起動できない。
ガソリンエンジンのノッキングに近い動作を起こすのでスキュー 1 ピッチ傾けている。
損失の分類 | 損失低減対策 |
---|---|
1 次銅損 | 導体断面積を大きくする |
1 次電流を減らす | |
コイル端長さを短くする | |
コイル占有率を大きくする | |
2 次銅損 | 導体断面積を大きくする |
2 次電流を減らす | |
鉄損 | 磁束密度を小さくする |
低損失鉄心の採用(方向性電磁鋼板など) | |
電磁鋼板の厚みを小さくする | |
浮遊負荷損 | 回転子スロット数、スキューの最適化 |
エアーギャップの磁束密度を小さくする | |
エアーギャップを小さくする | |
回転子溝の絶縁処理 | |
機械損 | 冷却ファンの低損失化 |
最適グリースの採用 |
(1) 単相誘導電動機の種類と結線
始動巻線および補助巻線側にコンデンサが入っている。
(2) 単相誘導電動機の電圧波形と回転ベクトル
補助巻線内にコンデンサがあるため、約 90〔deg〕進んでいる。
(3) 単相誘導電動機の回転方向は最初に回転させた方向に回る。
「フレミングの右手の法則」により磁界中の導体を動かすと起電力(渦電流)が発生する。
発生した渦電流と磁束の関係(フレミングの左手の法則)で回転子は回転を継続する。
コンデンサ始動形単相誘導電動機は、90〔deg〕進んだ補助巻線電流方向に回転をさせその後、遠心力スイッチで始動巻線を開放している。
三相誘導電動機が軽負荷運転中(定格の約 25% 以下)に欠相しても運転を継続する理由がここにある。
(1 単相誘導電動機の最大出力
三相誘導電動機の L 形等価回路は、1 相分のみを表示している。単相誘導電動機の等価回路は、三相誘導電動機の等価回路とまったく同じ。
最大出力 P2m =$ \displaystyle \frac{ V_{1}^2 }{ \biggl( r_{1} + \displaystyle \frac{3}{2} r_{2} \biggr) + \sqrt{ \biggl( r_{1} + \displaystyle \frac{3}{2} r_{2} \biggr) ^2 + \bigl( x_{1} + 2x_{2} \bigr)^2 }} $ 〔W〕
最大トルクは最大出力とほぼ同じなので、トルクは電圧の 2 乗に比例する。
(2) 単相誘導電動機の保護
単相誘導電動機の中には、1〔kW〕を超えるものもある。
(株)日立産機システムの「単相モータ」を参考に、単相誘導電動機の過電流保護が心配されるので少し調べてみた。
日立産機システムの「単相モータ」
URL:https://library.hitachi-ies.co.jp/assets/pdf/SM-487Q.pdf
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
適用規格 | JIS C4203、JEC-2137-2000 | |
定格 | 連続 | |
耐熱クラス | 120(E) | |
電圧 | 400~750W | 100V 50/60Hz、110/220V 60Hz、200V 50/60Hz |
1,000W | 100V 50/60Hz、200V 50/60Hz | |
口出し本数 | 400~1,000W | 6本 |
特長 | 始動トルクが大きく、しかも始動電流が比較的少ない。 特に大きな始動力を必要とする機械に適する。 |
(3) トルク特性曲線
始動時に始動コンデンサを接続して大きなトルクを作っている。三相誘導電動機のトルク特性に比べて始動トルクが大きい。
業務用掃除機や農家が使う唐箕など使用者に「ダンパーを完全に閉じてから始動してください。」などと言っても何のこと?
単相誘導電動機のコンデンサ始動形電動機は、羽根車(インペラ)の大きな慣性モーメントや送風動力などで、始動時から大きなトルクが
要求されるので停動トルク以上の始動トルクが出る。
単相誘導電動機の過電流は、始動時の拘束くらいなもので運転中の過負荷は考えにくい。せいぜい軸受の異常くらいだと思います。
電技解釈 第 153 条【電動機の過負荷保護装置の施設】(省令第 65 条)
屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
一 電動機を運転中、常時、取扱者が監視できる位置に施設する場合 … 業務用掃除機などはこれに該当する。
三相誘導電動機の熱動形過電流継電器は、ホットスタート(運転時の過負荷)とコールドスタート(始動時の拘束)と 2 つの過電流から
電動機を保護している。
コンデンサ始動形単相誘導電動機と三相誘導電動機(トルク特性図の点線)の始動特性が大きく異る保護器を取り付けるのは非常に危険ですね。
(1) 逆起電力
直流電動機をオン・オフのスイッチング制御すると、電流を遮断した瞬間に逆起電力が発生する。
逆起電力は回転速度ωに比例する。逆起電力の計算式は、e = BLRω。
ω | :回転速度〔rps〕 |
R | :回転半径〔m〕 |
逆起電力定数 KE で表す。
e = KEω … 回転速度と逆起電力は比例するので、逆起電力の大きさを測定すれば、直流電動機の回転速度がわかる。
正確に言えば、逆起電力は「負荷トルクの大きさ」に比例する。
e | :逆起電力〔V〕 |
KE | :逆起電力定数〔Vs/rad〕 |
ω | :回転速度〔rps〕 |
(2) 特性曲線図
(1) 回路図
ハンドドリルやディスクサンダーのように交流電源で動くが原理的には整流ブラシが付いたモータ。
(2) 特徴
(1) 主な蓄電池の種類と化学反応 … 産業用・家庭用蓄電池
名称 | 電池の構成 | 起電力 | ||
---|---|---|---|---|
負極 | 電解質 | 正極 | ||
鉛蓄電池 | Pb | H2SO4 | PbO2 | 2.0〔V〕 |
ニッケル・カドミウム電池 | Cd | KOH | NiO(OH) | 1.2〔V〕 |
ニッケル水素電池 | MH(水素吸蔵合金) | KOH | NiO(OH) | 1.2〔V〕 |
リチウムイオン電池 | Liをふくむ黒鉛 | リチウム塩 | LiCoO2 | 3.7〔V〕 |
種類 | 負極(電極反応式) | 正極(電極反応式) | 全反応式 |
---|---|---|---|
鉛蓄電池 | Pb+SO42- PbSO4+2e- | PbO2+4H++SO42-+2e- PbSO4+2H2O | Pb+PbO2+2H2SO4 2PbSO4+2H2O |
ニッケル・カドミウム電池 | Cd+2OH- Cd(OH)2+2e- | NiOOH+2H2O+2e- 2Ni(OH)2O+2HO- | Cd+2NiOOH+2H2 Cd(OH)2+2Ni(OH)2 |
ニッケル水素蓄電池 | M+H2O+e- MH+OH- | Ni(OH)2+OH- NiOOH+H2O+e- | Ni(OH)2+M NiOOH+MH |
リチウムイオン蓄電池 | LixC C+xLi++xe- | Li(1-x)MO2+xLi++xe- LiMO2 | Li(1-x)MO2+LixC LiMO2+C |
※反応式中のMは、水素吸蔵合金を表す。
(1) ベント式据置鉛蓄電池
ベント式据置鉛蓄電池は、蓄電池の中に液体の電解液(希硫酸)が入っている。
この電解液中の水分は時間とともに徐々に気化して量が減っていくため、様子を見ながら定期的に精製水を補充していく必要がある。
電槽(蓄電池の容器)の色が透明で、電解液の減り具合を見ることができるようになっている。電槽には、蓄電池に適切な電解液量が入っているか
確認するための目印(上限、下限)が入っており、この目印の中間を超える電解液が入っていれば、適切な量といえる。
正極 | 電解液 | 負極 | 正極 | 電解液 | 負極 | |
PbO2 | 2H2SO4 | Pb | 放電 充電 |
PbSO4 | 2H2O | PbSO4 |
二酸化鉛 | 硫酸 | 海綿状鉛 | 硫酸鉛 | 水 | 硫酸鉛 |
(2) ベント形の特徴
(3) 制御弁式の特徴
制御弁式据置鉛蓄電池はふたの排気口部に制御弁が設けられた密閉構造となっており、精製水の補充の必要がないメンテナンスが容易な蓄電池。
電解液はガラス繊維からなる不織布にしみこませてあり、構造はベント式とは異なる。
電槽(蓄電池の容器)は不透明のため中の構造は見えない。ベント式と比較して自己放電が極めて少ないため均等充電が不要。
※均等充電とは:蓄電池の品質を維持するために行う充電方式のひとつ。
長期間使用することで発生するセル電圧のばらつきを補正し、均一化するために行う充電のこと。
保守作業としては、年に 1 ~ 2 回、接続部分に緩みがないか確認を行う必要がある。
(4) サルフェーション(sulfation)
鉛蓄電池が放電したまま放置されると、負極表面に硫酸鉛が結晶化して付着する現象。
極板の表面積が小さくなり、充放電の性能が著しく低下する。白色硫酸塩化。
※白色硫酸塩化 … 電気を通さない鉛となり結晶化、それがマイナス極板(負極板)表面にこべりつくことをいう。
(5) 浮動充電(フロート充電)
充電装置(整流器)に対して蓄電池と負荷機器を並列に接続した状態で、蓄電池に定電圧を送り、負荷機器を作動させながら蓄電池も充電をおこなう方式のことをいう。停電時には負荷機器に並列に接続されている蓄電池から負荷機器へ電力を供給して負荷機器を作動させる。
仮に蓄電池が放電しても電流値を多くして蓄電池を充電するので、蓄電池の容量が無ければ電流値大で充電を行い、容量がいっぱいなら電流値は
極小になる。
蓄電池には常に電力が供給され常時満充電状態を保持し、満タンの時の電流値はほぼゼロにして蓄電池の寿命を延ばす仕組みになっている。
蓄電池と負荷機器が常時繋がっていて停電時の電源瞬断が無いので、一瞬でも電源が切れたくない(電圧を保証したい)機器に採用されている。
(6) トリクル充電
トリクル充電は浮動充電とは異なり、上記の図の様に蓄電池を負荷機器を別回路で接続し、通常時負荷機器は常用電源のみで使用し蓄電池を微弱な
電流で充電している。
停電を検知すると切替装置が働き、蓄電池の電源を負荷機器へと接続して蓄電池の電力で負荷機器を使用する方式になる。
浮動充電方式は蓄電池が満タンでも電圧を供給(電流はほぼゼロ)しているが、トリクル充電方式は微弱な電流を流して蓄電池を常に満タンにする。
(7) 均等充電
均等充電は上記の浮動充電方式のものに採用されていて、浮動充電システムは充電装置に蓄電池を並列に接続する為蓄電池のセルごとの電圧に
ばらつきを生じやすい。(制御弁式蓄電池を除く)。
この電圧のばらつき(電位差)を放置しておくと蓄電池に悪影響を及ぼすので、この各セルの電圧値のばらつきを均等化する目的(蓄電池の
品質保持の目的)で均等充電をおこなう。充電装置の供給電圧を通常より高くして(過充電状態)電圧の低いセルを規定電圧まで戻すが、
すでに規定電圧になっているセルは水素ガスを多量に発生させるため、均等充電後は電解液のレベル確認を行って必要に応じて補水をおこなう。
(8) 鉛蓄電池の充放電特性
(1) ニッケル水素電池
用途 … 乾電池タイプの蓄電池・ハイブリッドカーのバッテリー・鉄道やモノレールの地上蓄電設備。
(2) リチウムイオン電池
用途 … ノートパソコンや携帯電話などのモバイル機器の蓄電池
日本電機工業会技術資料 JEM-TR237「モールド変圧器の過負荷耐量」より引用
(1) 単相 20kVA 以下及び三相 30kVA 以下の場合の過負荷耐量
過負荷運転前の負荷率 | 0.5 | 0.7 | 0.9 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
等価周囲温度〔℃〕 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | |
過負荷運転時間〔Hr〕 | 0.5 | 146 | 140 | 133 | 126 | 119 | 140 | 133 | 126 | 118 | 111 | 131 | 124 | 117 | 109 | 101 |
1 | 125 | 120 | 114 | 109 | 103 | 123 | 118 | 112 | 107 | 101 | 121 | 115 | 110 | 104 | 98 | |
2 | 118 | 113 | 108 | 103 | 98 | 118 | 113 | 108 | 103 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | |
4 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | |
8 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 |
(2) 単相 20kVA を超え 50kVA 以下及び三相 30kVA を超え 100kVA 以下の場合の過負荷耐量
過負荷運転前の負荷率 | 0.5 | 0.7 | 0.9 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
等価周囲温度〔℃〕 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | |
過負荷運転時間〔Hr〕 | 0.5 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 143 | 132 | 150 | 142 | 131 | 120 | 108 |
1 | 146 | 140 | 133 | 126 | 119 | 140 | 133 | 126 | 118 | 111 | 131 | 124 | 117 | 109 | 101 | |
2 | 125 | 120 | 114 | 109 | 103 | 123 | 118 | 112 | 107 | 101 | 121 | 115 | 110 | 104 | 98 | |
4 | 118 | 113 | 108 | 103 | 98 | 118 | 113 | 108 | 103 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | |
8 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 |
(3) 単相 50kVA を超え 150kVA 以下及び三相 100kVA を超え 200kVA 以下の場合の過負荷耐量
過負荷運転前の負荷率 | 0.5 | 0.7 | 0.9 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
等価周囲温度〔℃〕 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | |
過負荷運転時間〔Hr〕 | 0.5 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 146 | 130 | 114 |
1 | 150 | 150 | 150 | 144 | 135 | 150 | 148 | 140 | 131 | 121 | 142 | 133 | 124 | 114 | 104 | |
2 | 136 | 130 | 123 | 117 | 111 | 131 | 125 | 119 | 112 | 106 | 126 | 119 | 113 | 106 | 99 | |
4 | 121 | 116 | 111 | 105 | 100 | 120 | 115 | 110 | 104 | 99 | 119 | 114 | 108 | 103 | 97 | |
8 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 |
(4) 単相 150kVA を超え 500kVA 以下及び三相 200kVA を超え 2000kVA 以下の場合の過負荷耐量
過負荷運転前の負荷率 | 0.5 | 0.7 | 0.9 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
等価周囲温度〔℃〕 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | |
過負荷運転時間〔Hr〕 | 0.5 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 141 | 121 |
1 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 143 | 132 | 150 | 142 | 131 | 120 | 108 | |
2 | 146 | 140 | 133 | 126 | 119 | 140 | 133 | 126 | 118 | 111 | 131 | 124 | 117 | 109 | 101 | |
4 | 125 | 120 | 114 | 109 | 103 | 123 | 118 | 112 | 107 | 101 | 121 | 115 | 110 | 104 | 98 | |
8 | 118 | 113 | 108 | 103 | 98 | 118 | 113 | 108 | 103 | 97 | 117 | 112 | 107 | 102 | 97 |
種類 | JIS C2520 種別、記号 | 最高使用温度〔℃〕 | 特色及び使用上の注意事項 | |
---|---|---|---|---|
NTK | No.1 | ニッケル・クロム電熱線 および帯 第 1 種 NCHW-1 NCHR-1 |
1150 | 高温強度が大きく、冷間加工も容易で高温使用後もくならないなど、 Ni-Cr 系電熱合金の代表品種であり、電熱合金としてあらゆる用途に適す。 |
NTK | No.2 | ニッケル・クロム電熱線 および帯 第 2 種 NCHW-2 NCHR-2 |
1000 | No.1 に比べ低熱性は幾分劣るが冷間加工性および耐食性が良好なので 使用温度以外の点については No.1 に準じて種々の電気炉、電熱器および抵抗器用に 使用できる。 |
NTK | No.30 | 鉄・クロム電熱線 および帯 第 1 種 FCHW-1 FCHR-1 |
1300 | 耐酸化性の良い Fe-Cr-Ai 電熱合金中、特に寿命値が優れている。 加工性も No.3 に比べ優れており高温電気炉、家電用ヒーターとして広く使用できる。 |
NTK | No.3 | 鉄・クロム電熱線 および帯 第 1 種 FCHW-1 FCHR-1 |
1250 | 高温使用の目的適するもので耐酸化性が優れている。 冷間加工性は Ni-Cr 系電熱合金に比べ劣り、温間加工を必要とする場合もある。 |
NTK | No.4 | 鉄・クロム電熱線 および帯 第 2 種 FCHW-2 FCHR-2 |
1100 | No.30、No.3 に比べ冷間加工が容易であり電熱器、電気炉及び抵抗器用として 適している。高温使用の加工は No.30、No.3 同様困難であり、高温における 軟化は使用上注意を要する。Fe-Cr-Ai 電熱合金として広く使用できる。 |
温度〔℃〕 | 抵抗値〔Ω〕 |
---|---|
0 | 0.2978057 |
50 | 0.2771160 |
100 | 0.2560084 |
150 | 0.2366771 |
200 | 0.2182863 |
250 | 0.2016719 |
300 | 0.1866249 |
350 | 0.1726228 |
400 | 0.1596656 |
450 | 0.1479624 |
500 | 0.1376176 |
550 | 0.1277952 |
600 | 0.1194357 |
650 | 0.1117032 |
700 | 0.1061651 |
750 | 0.1025078 |
800 | 0.1015674 |
850 | 0.1032393 |
900 | 0.1063741 |
950 | 0.1099269 |
1000 | 0.1142111 |
1050 | 0.1191223 |
1100 | 0.1236155 |
1150 | 0.1284222 |
1200 | 0.1335423 |
1250 | 0.1387670 |
1300 | 0.1435737 |
1350 | 0.1493208 |
1400 | 0.1551724 |
1450 | 0.1615465 |
1500 | 0.1672936 |
1550 | 0.1732498 |
1600 | 0.1776385 |