第 9 章:半導体デバイス |
パワーエレクトロニクスは、パワー(電力機器)、エレクトロニクス(電子・半導体)、コントロール(制御)の 3 つの技術の上に立つ。
(1) 金属シリコンどうやってつくるのか
珪砂(Si)は地殻では酸素についで 2 番目に多い元素で珪石(二酸化ケイ素:SiO2 海砂や水晶など)として存在する。
ケイ素と酸素を主成分とする珪石を炭素などと一緒に電気炉で融解、還元して作る。
具体的には電気炉に珪石、炭素などの炭材を配合投入し、そこに大電流を流して炉心温度を上げると、炭材から出るガスが珪石から酸素を奪い、
ケイ素が金属状に遊離して金属ケイ素ができる。
SiO2 + C | Si + CO2 | |
SiO2 + 2C | Si + 2CO |
(2) シリコン単結晶の製造
【参照】 グローバルウェーハズ・ジャパン株式会社
URL: https://www.sas-globalwafers.co.jp/jpn/products/wafer/crystal.html
FZ 法( Floating Zone 法)
石英ルツボを使用せずに、誘導加熱でシリコンを溶融し、シリコン融液を表面張力で保持する。
高温領域が他の材質と接触しないため、高純度化が容易であり、ごく低い酸素濃度の結晶が作れるが、大口径化が難しいという問題がある。
結晶の半径方向の抵抗率分布にばらつきがあるため、中性子照射により均一な抵抗率を生成する。
FZ 法によるシリコン単結晶は、主にパワー半導体やディテクターに用いられる。
CZ 法( チョクラルスキー Czochralski 法)
LSI 用シリコン単結晶の製造方法としては最も一般的に用いられている方式。
CZ 法では、シリコン融液は石英ルツボで保持されるため、石英( SiO2 )からの酸素の溶け込みが不可避で、低酸素化には限界があるので、
パワー半導体には余り用いられていなかったが、この発展技術として磁界をかけながら結晶成長を制御する MCZ 法がある。
MCZ 法(縦磁場型)
電磁石によりシリコン融液表面と直交する方向に磁場をかける CZ 法のバリエーション。
高温で溶けているシリコンは導電体であるため、融液の流れと磁場の相互作用によって力を受け、磁場をかけない場合とは流れ方が変化する。
(1) N型:シリコンにリン(P)を添加
(2) P型:シリコンにボロン(B)を添加
シリコンは炭素と同じ非金属。
(3) p 形半導体、n 形半導体
(4) p 型半導体に電流が流れる仕組み
参考:新電元工業株式会社 > 半導体基礎知識 > n 型半導体、p 型半導体とは
URL: https://www.shindengen.co.jp/products/semi/column/basic/semi/rectifying_action.html
p 形半導体・n 形半導体に電圧をかけると、電子は+極に引き寄せられて近くのホールに移動する。
電子の移動で空いたところが新たなホールができ、隣の電子が移動する。 電流が流れる。
これを繰り返すことで電子は+極の方へ移動し、同時にホールは-極の方へ移動していく。
(1) パワーデバイスの分野
交流電気設備のサイリスタ( SCR )は、数 100〔A〕のものが市販品があるので簡単に使用できる。
直流電気設備に使うパワーデバイスの場合、大電流ものが少ないので部品選定から設計する必要がある。
信号の増幅器もスイッチング回路も基本は同じ。
ベース電流(またはゲート電圧)を適度の大きさ(オン領域)で制御すると「増幅器」になる。
ベース電流(またはゲート電圧)を飽和領域で制御すると「オン」「オフ」制御になる。
(2) 安全動作領域( SOA:Safe Operating Area )
バイポーラ・トランジスタや MOS-FETでスイッチング動作をさせる場合に、動作軌跡が電圧、電流、電力の制限領域内であることを確認するための定格。安全動作領域には、順バイアス SOA( FBSOA )と逆バイアス SOA( RBSOA )がある。
時定数の長い装置を駆動する場合、電流が収束する時間が長くなり、損失 × 時間積が大きくなる。
(1) pn 接合に順方向に電圧を掛けたとき電子はプラス極に向かって移動する。
実際に移動しているのは電子だが、ホールがマイナス極に向かって移動しているように見える。結果、順方向に接続したとき電流が流れる。
(2) ダイオードの種類・分類
ダイオード | pn 接合ダイオード | 整流ダイオード |
ファストリカバリダイオード( FRD ) | ||
TVS ダイオード( ESD 保護用ダイオード) | ||
定電圧ダイオード | ||
可変容量ダイオード | ||
高周波スイッチ用ダイオード | ||
金属-半導体接合ダイオード | ショットキバリアダイオード( SBD ) |
(3) ダイオードの絶対最大定格
項目 | 記号 | 定格 | 単位 | 説明 |
---|---|---|---|---|
せん頭逆電圧 | VRM | 420 | 〔V〕 | カソード-アノード間に印加できる最大ピーク電圧 |
逆電圧 | VR | 400 | 〔V〕 | カソード-アノード間に印加できる直流最大電圧 |
せん頭順電流 | IFM | 300 | 〔mA〕 | アノードからカソードへ流せる最大ピーク電流 |
平均整流電流 | IO | 100 | 〔mA〕 | アノードからカソードへ流せる平均最大電流 |
サージ電流(10ms) | IFSM | 2 | 〔A〕 | 瞬時に流すことが出来る最大サージ電流 |
許容損失 | P | 100 | 〔mW〕 | 許容される最大損失で、周囲温度が上がると減少する。 |
接合温度 | Tj | 125 | 〔℃〕 | 許容される最大接合部温度で順方向、逆方向印加時に発生する損失により増減する。 |
(4) ダイオードの記号 … JIS C0617-5:電気用図記号-第 5 部:半導体及び電子管
記号 | JIS 番号 | 名称 |
---|---|---|
05-03-01 | 半導体ダイオード(一般図記号) | |
05-03-02 | 発光ダイオード (一般図記号) | |
05-03-04 | 可変容量ダイオード | |
05-03-06 | ツェナーダイオード/定電圧ダイオード | |
05-03-07 | 双方向性降伏ダイオード |
(5) ファストリカバリダイオード( FRD )
ファストリカバリダイオード( FRD:Fast Recovery Diode )の構造や働きは整流ダイオードと同じ。
整流ダイオードが、500〔Hz〕以下の低周波応用に使用されるのに対し、FRD は数〔kHz〕 ~ 100〔kHz〕の高周波のスイッチングに使用される。
ダイオードのスイッチング性能である逆回復時間( trr )を速くしてある。
一般の整流ダイオードの trr が数〔μs〕 ~ 数十〔μs〕に対し、FRD は数 10〔ns〕~ 数 100〔ns〕となる。
(6) 定電圧ダイオード
定電圧ダイオードは、pn 接合の逆方向特性を利用したダイオード。
pn 接合ダイオードの逆方向電圧を上げていくと、ある電圧で大きな電流が流れ始め電流に関わらず一定の電圧が得られる。
(これを降伏現象、その電圧を降伏電圧という)
この特性を利用したのが定電圧ダイオード。この降伏電圧をツェナー電圧と呼ぶことから、ツェナーダイオードともいう。
(7) ESD 保護用ダイオード
ツェナーダイオードの一種。ESD 対策用途に使用されるダイオード。ピーク逆動作電圧 VRWM は、0.1 ~ 600〔V〕の種類がある。
一般的に信号ラインなどから入る ESD (静電気)の大きな電圧から集積回路を保護する目的に使用する。
片方向 TVS および双方向 TVS がある。インタフェースなど外部端子から侵入する異常電圧( ESD )を吸収し、回路の誤動作防止およびデバイスを保護する。
(8) ショットキーバリアダイオード( SBD )
pn 接合ではなく、金属と n 型半導体の接合をダイオードとして使用する。ショットキーバリアダイオードは非常に順方向電圧 VF が小さい。
ホールを使わないため非常に高速動作が、逆電流 IR が大きいので高耐圧の素子には向かない。
(1) バイポーラトランジスタの構造
ベースに順方向電圧を印加すると、エミッタ側の n 形半導体からベースの p 形半導体に向かって電子が流れ込む。
この電子はエミッタ電流となり、一部はベースの正孔と結びつき消滅した電子はベース電流となる。
このときベース層の厚さが数 10〔μA〕以下であると、流れ込んだ電子のほとんどはベースとコレクタ の接合部に達する。
ベースとコレクタの電位差によってコレクタ内に拡散しコレクタ電流となる。
ベースに注入された電子のうち、ベース側の正孔と結びついたものはベース電流となるが、これはエミッタ電流の 5〔%〕以内程度でほとんどは
コレクタに流れ込む。ここが原理の大事なところです。ベース電流はエミッタに流れる電流の 5〔%〕程度なので残りの 95〔%〕はコレクタ電流ということになる。トランジスタに流れる電流の 5〔%〕で残りの 95〔%〕を制御する。(直流増幅度)
コレクタに流れる電流は IC = =IE - IB となるが、コレクタ電流はエミッタ電流の 0.95 ~ 0.99 倍程度なのでエミッタから注入された電子は
ベースを通り抜けコレクタに達する。エミッタから注入される電子の数はベースエミッタ間の電圧によって左右さる。ベース電流 IB の増減で
エミッタ電流が変化しコレクタ電流 IC の変化として現れる。
(2) バイポーラトランジスタの静特性
● IB-IC 特性:コレクタ電流 IC は、ベース電流 IB に比例する。この直線の傾きが、電流増幅率 hFE である。
● VCE-IC 特性:コレクターエミッタ間の電圧 VCE が変わっても、コレクタ電流 IC はあまり変わらない。
コレクタ電流は、ほぼベース電流 IB のみに依存する。
● VBE-IB 特性:ベース端子から入力する電流 IB を流すためにエミッタ-ベース間の電圧 VBE が必要である。
一定値以上の電圧( 0.6〔V〕程度)が加われば、その電圧の大きさにかかわらず、ほぼ一定値である。
トランスジスタで増幅するためには、入力電圧を少なくとも 0.6〔V〕程度以上にする必要がある。
● VBE-IB VCE-VBE 特性:VBE の大きさは、ほぼ 0.6 ~ 0.8〔V〕であり、VCE に影響されない。
(3) バイポーラトランジスタの動作
工場の電気設備関連でバイポーラトランジスタの用途は、①スイッチング、②増幅器などがある。
スイッチング駆動の場合は、コレクタ電流および直流増幅度 hFE から求めたベース電流 IB の 3 倍程度の過電流を流して飽和領域を使う。
● スイッチング回路のベース駆動回路は、
直流増幅度 hFE を用いて計算する。直流増幅度 hFE はバラツキがあるので注意する。
直流増幅度 hFE = | コレクタ電流 IC
ベース電流 IB |
2SC1815 の hFE 特性の例
• O( Orange ) | :70 ~ 140 |
• Y( Yellow ) | :120 ~ 240 |
• GR( Green ) | :200 ~ 400 |
• BL( Blue ) | :350 ~ 700 |
(4) 増幅器
● A 級増幅器:IB-IC 特性の中心にベース電流 IB をバイアスして架電する。A 級増幅回路の効率は最大50〔%〕。
入力信号がないときも電源電圧の 1/2 の電力を消費する効率の悪さもある。
● B 級増幅器:コレクタ電流 IC がゼロになるところにベース電流にバイアスをかける。半サイクルだけ増幅するので波形が歪む欠点がある。
(1) MOS-FET の構造
ソース・ゲート間のシリコン表面に 0.1〔μm〕程度の薄い酸化膜( SiO2 )を介してゲートを形成する。
バイポーラトランジスタのコレクタ電流 IC はベース電流 IB を流すことで制御するが、MOS-FET はゲート電圧 VG を印加することで
ドレイン電流 ID を制御する。①ゲート電極に電流が流れない。②ゲート電圧印加時のオン抵抗が小さいので、バイポーラトランジスタと
比較して省エネのデバイスといえる。
(2) MOS-FET の動作原理
n 形半導体のドレイン・ソース間に電圧をかけても電極間に p 形半導体が存在するので電流は流れない。
(3) n チャンネル MOS-FET および p チャンネル MOS-FET の動作原理
(4) 無信号導通状態による分類
• ゲート・ソース間電圧が 0〔V〕で導通している素子を「ノーマリーオン形」(デプリーション形)という。
ディプリーションとは「枯渇」の意味。
• 非導通の素子は「ノーマリーオフ形」(エンハンスメント形)と呼ぶ。エンハンスメントとは「増加」の意味。
(5) MOS-FET の取り扱い上の注意
ゲート・ソース間のシリコン酸化膜の厚さは 0.05 ~ 0.1〔μm〕で耐圧が 30 ~ 60〔V〕程度である。
ゲート・ソース間のシリコン酸化膜が静電気で簡単に壊れる恐れがあるので取り扱いには注意する。
(6) MOS-FET の寄生容量
パワー MOS-FET には構造上、寄生容量が存在する。MOS-FET の G(ゲート)端子と他の電極間は酸化膜で絶縁されている。
DS(ドレイン・ソース)間には pn 接合が形成されたダイオードが内蔵された構造になっている。
CGS、CGD は酸化膜の静電容量により、CDS は内蔵ダイオードの接合容量により容量が決まる。
Ciss は入力容量、Crss は帰還容量、Coss は出力容量。この容量は、MOS-FET のスイッチング性能に影響を及ぼす。
(7) ミラー効果 … ゲート駆動回路設計に大きな影響を与える。
MOS-FET 素子がオフしている状態では、電源電圧がそのまま VDS に印加される。
MOS-FET 素子がオンした状態では、VDS = RDS(on) × ID になる。
MOS-FET 素子がオフからオンに移行する過程で「ゲート・ドレイン容量 CGD = Crss 」も変化する。
見かけの入力容量 Ciss が VGS の変化によって CGD を経由して本来の Ciss よりも大きく変化する。この変化を「ミラー効果」という。
• Ciss = CGS +( 1 - Av )× CGD
• Av:増幅度
(8) MOS-FET 出力特性
MOS-FET 出力はゲート電圧を印加するとドレイン電流が流れ始める。
この電圧をゲート・ソース間しきい値(スレッシュホールド)電圧 VDS という。
ゲート・ソース間電圧は、直線部のオン領域(線形領域)とドレイン電圧を増加してもドレイン電流がほぼ一定の飽和領域からなる。
ゲート電圧に対するドレイン電流の傾き( gm=⊿ID/⊿VGS )を相互コンダクタンス という。
(9) MOS-FET の絶対最大定格
項目 | 記号 | 説明 |
---|---|---|
ドレイン・ソース間電圧 | VDDS | ドレイン・ソース間に印加できる最大電圧 |
ドレイン電流 | ID | 直流電流の最大値 |
ドレイン電流パルス | IDP | パルス電流の最大値。通常パルス幅は安全動作領域に記載している。 |
アバランシェ電流 | IAR | アバランシェ動作時に通電できる最大の電流値 |
アバランシェエネルギー 単発と連続 | EAS | 指定の条件下で許容できるエネルギーの最大値 |
ゲート・ソース間電圧 | VGSS | ゲート・ソース間の絶縁膜に印加できる最大電圧。 ゲート駆動印加電圧がサージを含め、この電圧を超えないように設計する。 |
許容損失 | PD | 規定の放熱条件において、MOSFET に連続的に消費させることのできる MOSFET の損失の最大値 |
動作温度 | Tj | |
熱抵抗(チップ・ケース間) | RthJC | 熱抵抗値は、熱の伝わりづらさを表す数値 |
熱抵抗(チップ・周囲) | RthJA | 熱抵抗値は、熱の伝わりづらさを表す数値 |
安全動作領域 | SOA |
東芝デバイス&ストレージ株式会社 2SK2232 の絶対最大定格
項目 | 記号 | 定格 | 単位 |
---|---|---|---|
ドレイン・ソース間電圧 | VDSS | 60 | 〔V〕 |
ドレイン・ゲート間電圧( RGS:20〔kΩ〕) | VDGR | 60 | 〔V〕 |
ゲート・ソース間電圧 | VGSS | ± 20 | 〔V〕 |
ドレイン電流 | DC( ID ) | 25 | 〔A〕 |
パルス( IDP ) | 100 | 〔A〕 | |
許容損失 | PD | 35 | 〔W〕 |
アバランシェエネルギー(単発) | EAS | 156 | 〔mJ〕 |
アバランシェ電流 | IAR | 25 | 〔A〕 |
アバランシェエネルギー(連続) | EAR | 3.5 | 〔mJ〕 |
チャネル温度 | Tch | 150 | 〔℃〕 |
東芝デバイス&ストレージ株式会社 2SK2232 の電気的特性
項目 | 記号 | 測定条件 | 最小 | 標準 | 最大 | 単位 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ゲート漏れ電流 | IGSS | VGS = ± 16〔V〕、VDS = 0〔V〕 | - | - | ± 10 | 〔μA〕 | |
ドレイン遮断電流 | IDSS | VDS = 60〔V〕、VGS = 0〔V〕 | - | - | 100 | 〔μA〕 | |
ドレイン・ソース間降伏電圧 | V(BR)DSS | ID = 10m〔A〕、VGS = 0〔V〕 | 60 | - | - | 〔V〕 | |
ゲートしきい値電圧 | Vth | VDS = 10V、ID = 1〔mA〕 | 0.8 | - | 2.0 | 〔V〕 | |
ドレイン・ソース間オン抵抗 | RDS(ON) | VGS = 4〔V〕、ID = 12〔A〕 | - | 0.057 | 0.08 | 〔Ω〕 | |
VGS = 10〔V〕、ID = 12〔A〕 | - | 0.036 | 0.046 | 〔Ω〕 | |||
順方向伝達アドミタンス | |Yfs| | VDS = 10〔V〕、ID = 12〔A〕 | 10 | 16 | - | 〔S〕 | |
入力容量 | Ciss | VDS = 10〔V〕、VGS = 0〔V〕、 f = 1〔MHz〕 |
- | 1000 | - | 〔S〕 | |
帰還容量 | Crss | - | 200 | - | 〔S〕 | ||
出力容量 | Coss | - | 550 | - | 〔S〕 | ||
スイッチング時間 | 上昇時間 | tr | 図は割愛 | - | 20 | - | 〔Ns〕 |
ターンオン時間 | ton | - | 30 | - | 〔Ns〕 | ||
下降時間 | tf | - | 55 | - | 〔Ns〕 | ||
ターンオフ時間 | toff | - | 130 | - | 〔Ns〕 | ||
ゲート入力電荷量 | Qg | VDD≒48V、VGS = 10〔V〕 ID = 25〔A〕 |
- | 38 | - | 〔nC〕 | |
ゲート・ソース間電荷量 | Qgs | - | 25 | - | 〔nC〕 | ||
ゲート・ドレイン間電荷量 | Qgd | - | 13 | - | 〔nC〕 |
(9) MOS-FET データーシートの見方
東芝デバイス&ストレージ株式会社 2SK3767 スイッチングレギュレータ用より引用
URL: https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/product/mosfets/400v-900v-mosfets/detail.2SK3767.html
(1) サイリスタの構造と特性
pnpn の 4 層で構成される半導体デバイス。ゲート電流でサイリスタをオンさせると保持電流以上でゲート・トリガ電流にてオンした
サイリスタはサイリスタをオン状態を持続する。
一度オン状態となったサイリスタは、ゲート電流を止めても保持電流が流れていればオン状態を持続する。
オフさせるためには、アノード電流を保持電流以下にするかアノードをある時間-(逆バイアス)にする。
(2) サイリスタの最大定格
【参考資料】三菱電機(株)半導体「一般用サイリスタ」FT1500AU-240 より引用 … サイリスタも定格が細かく規定されている。
換言すれば、サイリスタは過酷な条件で使うデバイスといえる。
URL: https://www.mitsubishielectric.co.jp/semiconductors/content/product/highpwdevice/thyristor/general/ft1500au-240a_j.pdf
• IT(AV):平均オン電流 … 1,500〔A〕
• VDRM :ピーク繰返しオフ電圧 … 12,000〔V〕
記号 | 項目 | 耐圧クラス | 単位 |
---|---|---|---|
VRRM | ピーク繰返し逆電圧 | 12,000 | 〔V〕 |
VRSM | ピーク非繰返し逆電圧 | 12,000 | 〔V〕 |
VR(DC) | 直流逆電圧 | 9,600 | 〔V〕 |
VDRM | ピーク繰返しオフ電圧 | 12,000 | 〔V〕 |
VDSM | ピーク非繰返しオフ電圧 | 12,000 | 〔V〕 |
VD(DC) | 直流オフ電圧 | 9,600 | 〔V〕 |
記号 | 項目 | 条件 | 定格値 | 単位 |
---|---|---|---|---|
IT(RMS) | 実効オン電流 | 2,360 | 〔A〕 | |
IT(AV) | 平均オン電流 | 商用周波数、正弦半波 180 度連続通電、Tf=88〔℃〕 | 1,500 | 〔A〕 |
ITSM | サージオン電流 | 60〔Hz〕正弦半波 1 サイクル波高値、非繰返し | 34 | 〔kA〕 |
I2t | 電流二乗時間積 | 1 サイクルサージオン電流に対する値 | 4.8 × 106 | 〔A2s〕 |
diT/dt | 臨界オン電流上昇率 | VD=1/2 VDRM、IG=2.0A、Tj=125〔℃〕 | 100 | 〔A/ms〕 |
PFGM | ピークゲート損失 | 30 | 〔W〕 | |
PFG(AV) | 平均ゲート損失 | 8 | 〔W〕 | |
VFGM | ピークゲート順電圧 | 20 | 〔V〕 | |
VRGM | ピークゲート逆電圧 | 10 | 〔V〕 | |
IFGM | ピークゲート順電流 | 6 | 〔A〕 | |
Tj | 接合温度 | -40 ~ +125 | 〔℃〕 | |
Tstg | 保存温度 | -40 ~ +150 | 〔℃〕 | |
- | 圧接力強度 | 推奨値:118 | 108 ~ 132 | 〔kN〕 |
- | 質量 | 標準値 | 4,000 | 〔g〕 |
記号 | 項目 | 測定条件 | 規格値 | 単位 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
最小値 | 標準 | 最大値 | ||||
IRRM | 逆電流 | Tj=125〔℃〕、VRRM 印加 | - | - | 1,200 | 〔mA〕 |
IDRM | オフ電流 | Tj=125〔℃〕、VDRM 印加 | - | - | 1,200 | 〔mA〕 |
VTM | オン電圧 | Tj=125〔℃〕、ITM=3,000A、瞬時測定 | - | - | 4 | 〔V〕 |
dv/dt | 臨界オフ電圧上昇率 | Tj=125〔℃〕、VD=1/2 VDRM | 2,400 | - | - | 〔V/μs〕 |
VGT | ゲートトリガ電圧 | Tj=25〔℃〕、VD=6〔V〕、RL=2〔Ω〕 | - | - | 2.5 | 〔V〕 |
VGD | ゲート非トリガ電圧 | Tj=125〔℃〕、VD=1/2 VDRM | 0.2 | - | - | 〔V〕 |
IGT | ゲートトリガ電流 | Tj=25〔℃〕、VD=6〔V〕、RL=2〔Ω〕 | - | - | 350 | 〔mA〕 |
Rth(j-f) | 熱抵抗 | 接合-フィン間 | - | - | 0.005 | 〔℃/W〕 |
(3) サイリスタの電圧定格
サイリスタの陽極特性は、順方向・逆方向とも所定の電圧まで電圧を阻止できるが、更に電圧を上げると順方向でオンする(ブレークオーバ)が
起こりサイリスタはオンする。逆方向では急激に電流が増加する降伏(ブレークダウン)が起こる。順方向・逆方向ともこの領域まで電圧を高くするとサイリスタは破壊する。
順方向では「定格ピーク繰り返しオフ電圧 VDRM 」、逆方向では「定格ピーク繰り返し電圧 VRRM 」と呼ぶ。
交流電圧 1 サイクル以下の短時間で繰り返しのない(突発パルス)場合、定格値より高い電圧に耐える。
この電圧値を「定格ピーク非繰り返しオフ電圧 VDSM 」、「定格ピーク非繰り返し逆電圧 VRSM 」と呼ぶ。
(定格値の 10 ~ 20〔%〕値が規定されている)
(4) 電流定格
サイリスタがオンのとき、1 サイクル期間の電流を「定格平均オン電流 IT(AV) 」と呼ぶ。
サイリスタが破壊せず使い続けることができるサージ電流値を「定格サージオン電流 ITSM 」と呼ぶ。許容印加回数は 100 回程度と
いわれている。
(5) 定格臨界オン電流上昇率( diT/dt 定格)
サイリスタのターンオンはゲート近傍から広がる。このためターンオン初期は電流がゲート近傍に集中し単位面積あたりの電力損失が
大きくなる。ターンオン損失が定格を超えるとサイリスタ素子は破損するので電流上昇率を規定している。( diT/dt 定格)
サージ電圧からパワー半導体を守るには、「スナバ回路」がある。しかし di/dt を下げることになり動作速度は遅くなる。
電気設備用語辞典|す 「スナバ回路」
(1) 太陽電池の原理
pn 接合部の光には接合部の禁制帯幅 EG より大きなエネルギーを持った光量子がある。
光量子は pn 接合の価電子帯の電子を励起し、電子・正孔対を生成する。これらの電子および正孔は、負荷が接続されていれば pn 接合部に
形成されている拡散電位差に起因する電界のため、電子は n 領域へ、正孔は p 領域へ送り出され電流として流れる。
太陽エネルギーは太陽が南中のとき 925〔W/m2〕。太陽光の角度が 30〔deg〕のとき太陽光発電の平均値とされ 691〔W/m2〕ある。
セルの一つの起電力は 0.6〔V〕程度であるので、セルを直列接続して高電圧を得る。